科学と社会とのコミュニケーション
科学未来館の館長が、変わりました。
私の好きな博物館の一つに、東京の「科学未来館」があります。皆さんは訪れたことがあるでしょうか。「科学」の好き嫌いにかかわらず、一度訪問していただくと、大きな学びがあります。
私の一番の学びは、個人差のある科学知識の量に関係なく、難しい科学を平易に説明しようとしていることです。科学館の一つの役割は、子供たちへの教育の意味があるのでしょうが、まさにこの科学館は、科学を簡単に学べるようにすることで、将来の科学者を育成するのに相応しい活動をしています。
そして、この度、館長が変わりました。
これは、大きな変化と進化を、「科学未来館」にもたらすのではないでしょうか。通常、「科学未来館」の展示物は、見て理解するものが多かったです。しかし、浅川智恵子 館長は、全盲です。そして、科学を見なくても理解してきた人でしょう。きっと、新しい形式の展示物や、新たな説明方法が登場するのではないでしょうか?
このように「科学」を、科学に関係するかしないかに関係なく、多くの人が理解するというのは、人間の「知」の進化には、絶えず必要なことです。そして、今回、大きな壁にぶつかっています。
コロナという「未知」なものの「説明」と「理解」
現在、私たちが直面している「コロナ」の「説明」は、科学者の仕事でしょう。その説明がうまく行えているのか。そして、多くの国民が「理解」しないといけません。私たちは、「理解」しようとしたのか。このような問題が、今起きています。
この問題は、「コロナ」でも直面しましたが、過去にも類似の経験をしています。
東日本大震災以後は、「原子力」の問題で、かなりの時間、原子力発電の科学的な理解と、そして私たちとの生活の関係を理解しようとしています。
この問題は、昔から何度も起きており、繰り返しています。そろそろ抜本的な解決策を見つけないといけない時期なのでしょう。
科学とコミュニケーションを結びつける工夫
「科学未来館」の基本的な取り組みも、「コロナ」の問題も、「サイエンス・コミュニケーション」や「科学コミュニケーション」という言葉で、研究、実践されるようになっています。
例えば、「科学未来館」では、「科学コミュニケーター」という仕事が存在しています。「科学未来館」の「科学コミュニケーター」の説明には、
科学コミュニケーターは展示の企画やフロアでの解説、イベントの実施などをとおして積極的に社会に関わる役割を担っており、科学技術の専門知識とコミュニケーションのスキルを活かして、館の内外で幅広い業務に携わっています。
とあるように、まさに社会を意識した活動なのです。科学は社会との連携が、ますます増えています。そして、これからも続くでしょう。
一つのアイディアがあります。それは、「専門家委員会」に「サイエンス・コミュニケーター」を配置してみてはというアイディアです。
この後も、日本政府のもとで、科学に関わる専門家委員会が、設置されることが多くなるでしょう。現在では、委員会の記者会見は、委員長の仕事になっていることが多いでしょう。しかし、本来の役割は委員長は、委員会の運営と、関係部署との調整でしょう。外部へのコミュニケーションまで、その職責に入れるのは、負荷が高いのかもしれません。これからは、「サイエンス・コミュニケーション」を理解し、経験した方に、外部への情報発信を委託するのも、一つのアイディアではないでしょうか?
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