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レモネードで物価上昇による賃上げを継続的なものにする

物価上昇で賃上げを表明する大企業

春季労使交渉が本格化する2月に先立って、賃上げを前倒しで表明する大企業が増えている。JR東日本やSUMCO、AGCなどが、物価上昇を踏まえて、それに見合った大幅な賃上げをすると発表している。
日本企業の給与は長年、大きな変動もなく、物価上昇や税金の増加などで、実質的な給与水準は低下しているとまで言われてきた。特に、給与が上昇しなくなったと言われるのは消費税が5%になった2002年からで、消費税だけで見ても2倍の10%になっている。2002年当時だとホンダのシビックが新車価格で152.3万円~であり、現在の319万円~とは大きな差がある。つまり、物価上昇に対して、賃金はほとんど連動してこなかった。
それが、2023年になって物価上昇に対して給与も連動するようにしようという動きがみられるようになった。

中小企業まで賃上げができるかは微妙なところ

働く個人としてみると、賃上げできるのなら、もっと早くにして欲しかったという思いもでるだろう。しかし、多くの企業にとって、そう簡単に賃金を上げることができなかった厳しい状況もある。日本企業の労働分配率(企業の生み出した付加価値のうち労働者の所得の割合)は、欧米企業と比べて大きな差はない。つまり、企業の生み出す付加価値の低さが賃金水準の低さに結びついてしまっている。経済産業省の通商白書でも指摘されていることだ。

一般的に、中小企業よりも大企業の方が資金力もあれば、付加価値も高い傾向にある。そのため、大企業では可能な賃上げも、多くの中小企業では厳しい状況にある。それどころか物価上昇のためにコストが上がり、現在の給与水準を維持することもやっとな中小企業は少なくない。

「レモネード」で賃上げを継続的なものとしよう

大企業はもちろんのこと、中小企業にとっても付加価値を上げることは重要な課題だ。しかし、付加価値をあげるためには、既存の事業とは異なる新規事業を立ち上げなくてはならない。そして、新規事業が成功するかどうかは確証がなく、一般的には上手く行かないリスクの方が大きい。

既存のビジネスの延長線上で行うのであれば、付加価値の上昇は望めないが、事業を安定させることが出来る。そして、その収益が従業員の給与の源泉となる。一方で、リスクをとることが難しいために付加価値を上げることが困難で、従業員の給与水準を上げることに結びつかない。

一方で、スタートアップの給与水準が大企業を上回ったというニュースも流れている。優秀なエンジニアを雇用するためには給与水準を上げる必要があるという労働市場の事情もあるが、リスクをとって市場に新たな価値を提供しようとするスタートアップのビジネスは付加価値が高く、給与水準を引き上げることができる。

英語に『人生がレモンをくれたら、レモネードを作ればいい(When life gives you lemons, just make lemonade.)』という諺がある。意味は「辛いことがあってもくじけることなく、良いものに変えよう」だ。この諺は、熟達した起業家によくみられる思考法でもある。そして、厳しい状況で事業転換をすることで付加価値を上げてきた中小企業の例は多い。鶴巻温泉の『陣屋』やDIYのECサイトの『大都』が代表的だ。

物価上昇で厳しい中、守りに入るのか、攻めに転じて賭けるのかは難しい経営判断だ。しかし、賃上げの流れと要望が来ている中、厳しい状況で打って出ることが、多くの経営者に求められている。


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