いい加減年寄りより若い子たちの支援と後押しに注力してほしい
このところ(てか、ずっと)、政府の少子化対策が的外れすぎているので、その問題点を指摘した記事をプレジデント、東洋経済に連続して寄稿しました。
ふたつの記事で訴えたいことはひとつで、子育て支援と少子化対策と似て非なる別物であって、どれだけ子育て支援を充実させても、それが出生数の増加には結び付かないという話です。もちろん、何度も言うように子育て支援をやめろという話ではない(そういう読解力のない輩も大勢いて閉口するが)。それは少子化があろうがなかろうがやるべきで、そんなことは当たり前なんだが、子育て支援=少子化対策というのは違うでしょ?どんだけ子育て支援したって一人の母親が産む子どもの数には限界があるでしょ?という話です。
おかげさまで、両記事とも大きな反響になりました。
とはいえ、いくら外野で騒いでも、相変わらず「何かやりました感」だけ出してお茶を濁すいままでの少子化対策同様、何も変わらないのだなと思っていたのですが、そんな中、今日こんなニュースに触れました。
これはよい判断だと思います。
内閣府が実施した「結婚・家族形成に関する意識調査」で20-30代の既婚者に対して「結婚生活に必要な夫婦(世帯)年収はいくらか?」を聞いたものがありますが、20代の場合430万円、30代であれば470万円が中央値です。平均値で見てしまうと高く出てしまうが、20-30代の夫婦はこのくらいの世帯年収で半分を占めている。逆をいえば、この政策による拡大支援で少なくとも半分の若い夫婦が助かるということになります。
同時に、これは高望みで婚期を逸している未婚者に対して、これくらいの年収でも生活は支援があるから大丈夫と背中を押すことにつながります。
そりゃ全員支援しろというのは簡単ですが、どこにボトルネックがうるのかをきちんとデータから判断して政策は行うべきで、この方針は大いに賛同できます。
てか、まさにその通りの内容の記事をこないだ書いたばかりだった。大臣、記事読んでくれたんかな?
これは、結婚する層の中間層を底上げする方向性になります。そして、実際に2人以上産んでいる500万円所得世帯の夫婦に向けての助走にもなる。
夫婦で1400万円超えているパワーカップルとかどうでもいいんですよ。別に政府の支援なんかなくたって自分らでなんとかするし。日本の新婚夫婦の中央値は400万なんです、ということの認知が広がるだけでも随分とアホな高望みは減ると思います。一生400万で過ごせという話ではなく、賃金をあげる経済対策はまた別物でちゃんとやるべき。
ただ、少なくとも、現在結婚している夫婦は2人以上産んでいるし、なんなら3人以上産んでいる比率は1970年代と同様に多いわけで、そこにプラス1名、2名を求めるより、単純にひとつ婚姻が成立すれば、計算上自動的に1.6人の子どもが産まれるわけだから(仮に離婚があっても)、そっちを優先するのが当然の道理。そして、どっちかといえば結婚の半分以上を占める20代の夫婦を支援する方向になる方が少子化対策という面で奏功するのも当たり前。
「うちらだって大変なんだよ~」と文句言いたい夫婦の気持ちはわかる。みんな、個々の事情で大変でしょう。それはほかるが、政治・政策というものは「最大多数の最大利益」が原則なんだからしようがない。
というか、いい加減、高齢者とかいいから、若い人たちへの支援を重視すべき時にきていると思うのですよ。いつまで若者を犠牲にすれば気が済むのって話。
子ども・若者貧困研究センターの試算結果によれば、20-24歳の相対的貧困率は男女とも約20%で、子どもの貧困率よりも高いし、現役世代の中でもっとも貧困率が高い。65歳以上と同等だけど、老人はいいよ、もう。せめて若者全体を中間層へあげていかないと。
そして、今この中間層がやせ細っていることが今の景気も含めた日本の全体の低迷にもつながっているわけで、中間層の充実と底上げが少子化に限らず、経済や消費においても、国さらには、国の税収という面においても、重要な視点だと思います。
何はともあれ、よい政策はよいと認めるべきだし、的外れには違うと異を唱えればいい。ヤフコメでは、あいかわらずそういった「なんでもかんでも反対」という人たちのコメントも羅列されていますが、なんでもかんでも自民党だから反対とか、岸田政権のいう事はすべて否定とかいう変なフィルターをかけてしまう方が判断を誤る。
とはいえ、人口減少は不可避だし。少子化は抜本的には解決しないという結論は変わらない。それでも、少なくとも、結婚したいと希望する20~34歳の若者の6割しか結婚できていないという現実がある以上、そういう不本意未婚の4割の若者が一歩踏み出せるような手助けをしてあげることはとても大事。なんてたって彼ら・彼女らは「子ども産んだら支援するよ」以前の問題なのだから。なお、結婚したくない人、結婚が必要ない人は別にそのままでたくましく生きて行ってくれればそれでいい。