出社日数を研究すると、ビジネス・パーソンを取り巻く社会環境変化が見えてくる!
「週5日出社義務付け」がニュースになる時代!
皆さんは、以下のニュースを、悲観的に思うだろうか、それとも何も思わないだろうか?
私の感想は、出社日数が大きなニュースになるといことは、「今は働き手が働き方を選択する自由が芽生え始めた」ことだと認識し、好意的に思うのです。
ところで、この週の勤務日については、コロナ前までの考え方と、コロナ後での考え方に少し違いがありそうなので、整理してみましょう。
BC(Before Covid-19)は、勤務時間・休暇の変化
Covid-19前を、BCと呼ぶことにします。BCでは、テレワークという言葉はそれほど認知されていませんでした。そして、「勤務=出社」とおもっていました。
BCの時代では、勤務時間、休暇の整理、変化が、進みました。
明治時代〜第二次世界大戦前
週6日勤務が一般的
日曜日のみ休日(週休1日制)
戦後〜1950年代
労働基準法制定(1947年)により、週48時間労働制が法制化
多くの企業で依然として週6日勤務
1960年代
月2回の土曜休日(隔週休2日制)が徐々に普及
1965年に公務員の隔週休2日制が開始
1970年代〜1980年代
1972年: 完全週休2日制を実施する企業が出始める
1980年代前半: 大企業を中心に月3回の土曜休日が普及
1980年代後半〜1990年代
1988年: 改正労働基準法施行、法定労働時間が週40時間に
完全週休2日制の導入が加速
1990年代後半〜2000年代
1997年: 完全週休2日制の企業が全体の半数を超える
2002年: 完全週休2日制の企業が約60%に達する
現在
多くの企業で完全週休2日制が定着
一部の業界(小売、サービス業など)では変則的な週休2日制も存在
このように過去を振り返ると、週休2日という制度も、まだ新しい制度なのです。
そしてここまでは、労働者の健康のため、さらに労働者の権利としての休暇制度の定着が、働き方を変化させていました。
AC(After Covid-19)になり、働く場所もテーマになる
それが、Covid-19という感染症になり、会社への出社が抑制され、今のように働く場所も、労働者のひとつのテーマになり始めたのです。
グローバルには、以下のような変化が見られます。
リモートワークの定着
COVID-19パンデミックを機に、多くの企業がリモートワークを導入
技術の進歩により、在宅勤務の効率が向上
ハイブリッド型勤務の増加
週2-3日の出社と在宅勤務を組み合わせるモデルが主流に
柔軟性と対面コミュニケーションのバランスを重視
4日勤務制の試験導入
一部の企業で週4日勤務の実験的導入が進行中
ワークライフバランスの改善と生産性向上を目指す
ここで、お気づきのように言葉に変化がみられるのです。BCの時には登場しなかった、「生産性向上」という言葉です。
日本でも、
伝統的な勤務体系からの緩やかな移行
週5日出勤が依然として主流
リモートワークやフレックスタイム制の導入が徐々に進行
ハイブリッド型勤務の増加
大手企業を中心に、週2-3日の在宅勤務を認める動きが拡大
中小企業でも徐々に導入が進む
働き方改革の影響
長時間労働の是正や有給休暇取得の促進
柔軟な勤務体系への移行が進むも、進度は業界により異なる
のような変化が起き始め、「ワークライフバランス」という、BCには、登場しなかった言葉を、頻繁に使うようになりました。
Covid-19をキッカケに、労働者を取り巻く環境変化、特に社会環境の変化を整理することで、もっと良い労働環境の構築が行えるのでしょう。
日本の休暇制度もACで見直しては?
ところで、少し話を広げると、以下の日本の伝統的な休暇制度は、今後も持続するのでしょうか?
ゴールデンウィーク
1948年に祝日法制定、5月連休が定着
1980年代以降、大型連休として定着
お盆休み
伝統的な休暇期間として存在
企業による正式な休暇制度化は1960年代以降
年末年始休暇
戦後、徐々に定着
1970年代以降、多くの企業で正式な休暇として認知
「お盆休み」と「年末年始休暇」は、祝日法により運用されているものではなく、企業独自の休暇制度で運用されています。
特に「お盆休み」は、「夏季休暇制度」としている企業もあります。
海外では、「サマーフライデー」や「フレックス・バケーション」など、さまざまな休暇の制度もあるので、こちらの議論もそろそろ始めてみてはいかがでしょうか。