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出社日数を研究すると、ビジネス・パーソンを取り巻く社会環境変化が見えてくる!


「週5日出社義務付け」がニュースになる時代!

皆さんは、以下のニュースを、悲観的に思うだろうか、それとも何も思わないだろうか?

アマゾン・ドット・コムは16日、世界の社員に原則として週5日出社するよう求めた。2025年1月に適用する。新型コロナウイルス感染拡大後、在宅勤務が続くなかで人員が急増した。企業文化に緩みが出たとみて引き締めを図る。米テクノロジー大手によるオフィス回帰の決定は他社にも影響しそうだ。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN163PR0W4A910C2000000/

私の感想は、出社日数が大きなニュースになるといことは、「今は働き手が働き方を選択する自由が芽生え始めた」ことだと認識し、好意的に思うのです。

ところで、この週の勤務日については、コロナ前までの考え方と、コロナ後での考え方に少し違いがありそうなので、整理してみましょう。

BC(Before Covid-19)は、勤務時間・休暇の変化

Covid-19前を、BCと呼ぶことにします。BCでは、テレワークという言葉はそれほど認知されていませんでした。そして、「勤務=出社」とおもっていました。

BCの時代では、勤務時間、休暇の整理、変化が、進みました。

  1. 明治時代〜第二次世界大戦前

    • 週6日勤務が一般的

    • 日曜日のみ休日(週休1日制)

  2. 戦後〜1950年代

    • 労働基準法制定(1947年)により、週48時間労働制が法制化

    • 多くの企業で依然として週6日勤務

  3. 1960年代

    • 月2回の土曜休日(隔週休2日制)が徐々に普及

    • 1965年に公務員の隔週休2日制が開始

  4. 1970年代〜1980年代

    • 1972年: 完全週休2日制を実施する企業が出始める

    • 1980年代前半: 大企業を中心に月3回の土曜休日が普及

  5. 1980年代後半〜1990年代

    • 1988年: 改正労働基準法施行、法定労働時間が週40時間に

    • 完全週休2日制の導入が加速

  6. 1990年代後半〜2000年代

    • 1997年: 完全週休2日制の企業が全体の半数を超える

    • 2002年: 完全週休2日制の企業が約60%に達する

  7. 現在

    • 多くの企業で完全週休2日制が定着

    • 一部の業界(小売、サービス業など)では変則的な週休2日制も存在

このように過去を振り返ると、週休2日という制度も、まだ新しい制度なのです。
そしてここまでは、労働者の健康のため、さらに労働者の権利としての休暇制度の定着が、働き方を変化させていました。

AC(After Covid-19)になり、働く場所もテーマになる

それが、Covid-19という感染症になり、会社への出社が抑制され、今のように働く場所も、労働者のひとつのテーマになり始めたのです。

グローバルには、以下のような変化が見られます。

  1. リモートワークの定着

    • COVID-19パンデミックを機に、多くの企業がリモートワークを導入

    • 技術の進歩により、在宅勤務の効率が向上

  2. ハイブリッド型勤務の増加

    • 週2-3日の出社と在宅勤務を組み合わせるモデルが主流に

    • 柔軟性と対面コミュニケーションのバランスを重視

  3. 4日勤務制の試験導入

    • 一部の企業で週4日勤務の実験的導入が進行中

    • ワークライフバランスの改善と生産性向上を目指す

ここで、お気づきのように言葉に変化がみられるのです。BCの時には登場しなかった、「生産性向上」という言葉です。

日本でも、

  1. 伝統的な勤務体系からの緩やかな移行

    • 週5日出勤が依然として主流

    • リモートワークやフレックスタイム制の導入が徐々に進行

  2. ハイブリッド型勤務の増加

    • 大手企業を中心に、週2-3日の在宅勤務を認める動きが拡大

    • 中小企業でも徐々に導入が進む

  3. 働き方改革の影響

    • 長時間労働の是正や有給休暇取得の促進

    • 柔軟な勤務体系への移行が進むも、進度は業界により異なる

のような変化が起き始め、「ワークライフバランス」という、BCには、登場しなかった言葉を、頻繁に使うようになりました。

Covid-19をキッカケに、労働者を取り巻く環境変化、特に社会環境の変化を整理することで、もっと良い労働環境の構築が行えるのでしょう。

日本の休暇制度もACで見直しては?

ところで、少し話を広げると、以下の日本の伝統的な休暇制度は、今後も持続するのでしょうか?

  1. ゴールデンウィーク

    • 1948年に祝日法制定、5月連休が定着

    • 1980年代以降、大型連休として定着

  2. お盆休み

    • 伝統的な休暇期間として存在

    • 企業による正式な休暇制度化は1960年代以降

  3. 年末年始休暇

    • 戦後、徐々に定着

    • 1970年代以降、多くの企業で正式な休暇として認知

「お盆休み」と「年末年始休暇」は、祝日法により運用されているものではなく、企業独自の休暇制度で運用されています。

特に「お盆休み」は、「夏季休暇制度」としている企業もあります。

海外では、「サマーフライデー」や「フレックス・バケーション」など、さまざまな休暇の制度もあるので、こちらの議論もそろそろ始めてみてはいかがでしょうか。

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本間 充 マーケティングサイエンスラボ所長/アビームコンサルティング顧問
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