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経産省での執務経験から思う官僚のやりがい向上と「官僚叩き」

以下の日経新聞にも掲載されているとおり、人事院は25日から、公務員制度の在り方について議論する「人事行政諮問会議」を設置したようです。

論点としては、
(1) 行動規範の導入
(2) 職場環境の改善
(3) 兼業の在り方
(4) 業務見直し
などが上がっているようです。

兼業の在り方については注目したい

副業・兼業について色々研究し、発信している身としては、やはり兼業の在り方は気になるところです。

これまでnoteでも書いてきましたが、私企業においては原則として副業・兼業は自由とするのが裁判例・学説の考え方です。
他方で、公務員については、法律によりこれが原則として禁止されており、私企業における社員とは逆の方向にになっています。

この点については、職業選択の自由の観点から、批判的な見解も示されています。

今回触れたいのはこのテーマではないので深くは触れませんが、個人的にはこのテーマにも注目していきたいところです。

確かに国家公務員の働き方はハードだった

私は、2年間、経済産業省に任期付き職員として着任し、執務していましたが、確かに、官僚の方々の働き方はなかなかハードだったように思います。
特に、国会シーズンはかなり遅くまで残って待機しており、デスクの椅子で眠っている姿も見かけました。
基本的に国会対応を任せられていない私は「大変だな…」と思って見ていました。

モチベーションは「やりがい」が大きい

もうひとつ、私が官僚の方々の働き方を見て思っていたのは、私が一緒に働いていた方々は心の底から「国がもっと良くなるにはどうすればよいか」ということを考えて、常に勉強し、頭を悩ませていたことです。

ハードな仕事のなかで官僚の皆さんを動かしていたのは純粋に「国や国民のために何かをしたい」という想いだったように思います。

冒頭の記事の以下の記載のように、「パーパス」を定め、「やりがい」を再認識させることは、非常の望ましい方向性だと思われます。

もちろん、「やりがい」だけで給与や労働環境の改善をしないのは「やりがい搾取」になるので、その他の条件の改善も必要だろうと思われます。

民間企業で導入が進むパーパス(存在意義)に相当するような行動規範の導入は目的の一つだ。国家公務員法は職務内容を定めるものの、公務員のあるべき姿を明示していない。
めざすべき方向性を共有し、職員それぞれが「やりがい」を再認識する――。そうすれば職場が活気づき、離職の防止につながるとの期待が人事院にはある。

世の中の見る目も優しくなることを願う

こうした「やりがい」という観点から気になるのは、時折見かける官僚叩きです。

どことなく「官僚はエリートだから叩いてもいいのだ」という風潮で官僚叩きをしているSNSの投稿や記事なども見かけます。

もちろん、健全な批判はあって良いと思われますが、中にはちゃんと政策をみることなく叩いているものも見られます。

そもそも、一言で「官僚」と言っても、中身は他の皆さんとおなじ一人の人間なのです。
しかも、上記のように、必死に国、国民のためを想って仕事をし、ずっと新しい知識を獲得するために勉強し、努力をしている人たちです。

2年間、しかも経産省を見ただけではあるものの、国家公務員として一緒に働いてきた者として、そういう投稿や記事を見るととても悲しい気持ちになります。

現在人事院で進められている改革と共に、官僚叩きが無くなることも祈っています。



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