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複数のロールモデルをブリコラージュする ーこれからのキャリアデザイン

「あなたにとって理想のキャリアを歩んでいるロールモデルはいますか?」

キャリア面談や雑談など、仕事をしているとときどき聞かれますが、そのたびにこたえを口籠ってしまいます。この問いかけのようにロールモデルという言葉は、ビジネスにおけるキャリア形成の際に頻繁に使われます。

私たちが新たなキャリア/生き方のかたちを生み出していくには、単一のロールモデルを追いかけるのではなく、さまざまなロールモデル像をブリコラージュしていく必要があるでしょう。

「ブリコラージュ」とは、寄せ集めの道具や素材を修繕したり、組み合わせたりして物を作り出していく方法のことです。フランスの文化人類学者クロード・レヴィ=ストロースの著書『野生の思考』のなかで提唱されています。

こうしたロールモデルのコラージュの例として、太鼓奏者の林英哲さんの人生がつづられたこちらの記事が挙げられます。

横尾忠則さんに憧れ、グラフィックデザイナーを目指していた林さんは、偶然の出会いから和太鼓奏者の道を歩み始めます。葛藤しながらもその道を歩み続けていったなかには、横尾忠則、ビートルズ、ゴッホ、マン・レイ、といったさまざまなロールモデルの存在があったことが読み取れます。

誰かと同じになることは難しいというよりも、ほぼ不可能でしょう。私たちは複数のロールモデルを自分なりに寄せ集め、修繕しながら組み合わせ、作り出していくことができる。林さんの記事から、そのような希望が読み取れます。

しかし、少し話題がそれますが、既存の「ロールモデル」は、男性が優位であったり、学歴が影響していたり、活躍の仕方が一元的であることが課題であると考えています。

たとえば、「女性総理大臣」「トランスジェンダーの俳優が日本アカデミー賞主演賞を受賞」といったロールモデルは、まだ日本には存在しません。そしてこのロールモデルが存在しないという事実は、そのまま社会の不均衡を可視化しているともいえます。ロールモデルは社会的なイシューでもあるといえます。

もちろん、こうした課題を前に、新たなロールモデルを作り出すべく歩む先人たちがいます。このような先人たちをリスペクトしながらも、自分の身体や今いる場所にあわせて「ブリコラージュ」するキャリアデザインの考え方を取り入れる必要を感じています。

#日経COMEMO #NIKKEI

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