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中国の教育問題。教育内卷「鸡娃」について、日本の皆さんは理解できますか?

今週の月曜日と火曜日は中国で一年に一度のセンター試験(高考)の日です。がんばれ学生の皆さんと応援してますが、最近の中国では常識外れの教育強要が問題になっていたりします。

先日のnoteで中国の大学生や社会人が競争社会に巻き込まれるている社会問題「内巻」についてと、これからの発展について書きましたので、こちらもあわせて読むとより理解が深まるかもしれません。

この「内巻」ブームは社会人や大学生だけの問題ではなくなっていて、幼稚園や小学校低学年にまで浸食しています。もちろん小さい子供はこの社会問題までは理解できていないでしょうが、彼らの親が教育熱心という次元をはるかに超えるほど勉強させてます。そして娃」(Jī wá)という専用の言い方まで生まれ社会に定着してます。日本語に訳すと「熱狂的な教育理念で子供を育てること」です。

具体例として、先日Weiboで話題になった書き込みから紹介しましょう。

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とある北京の幼稚園から小学生への入学履歴で、合格した2つの例がピックアップされました。それぞれ

漢字5000以上、古詩1000以上習得し、独自で(中国の古文で書いた)「弟子規」などを理解している。サッカーチームの中心メンバー、囲碁初段レベル、ルービックキューブを1分以内で完成できる、汽車や機械に夢中で自ら関連知識を勉強している。
漢字4000前後、長編の小説や古典名作を自力で読める。課外で読んだ本は1200冊を超える。北宋の古詩300あまりを習得。100文字程度の作文を書ける(中国語なので日本の100字とは情報量違う)。英単語1300以上習得、英語の物語や大衆科学の内容が読める。4桁の加減と3桁の乗除に熟練。課外活動が活発、ピアノ、バスケット、ローラースケート、武術の専門指導を受けている。

恐ろしい6歳です。。そしてもっと恐ろしいことに、このような教育を受けてる子供がたくさんいるのですよ。

さらに、下記のような話も。この信じられない内容に対してみんなが納得しています↓

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−聞きたいですが、4歳の子供の英単語量が1500くらいしかなくて...足りないですよね?
−アメリカにいる場合は十分です。海淀(北京で最も良い教育資源が集まるエリア)にいるなら絶対足りないです。

週7で毎日課外授業、音楽や美術、運動まで専門家の指導の下に行われてます。このような状況なので、一部の幼稚園児は996のIT企業の社員(ブラック企業労働の表現)よりもずっと忙しいのが現実です。そしてあまりにも幼いことから、母親が専業主婦の場合が多いです。

競争がここで終わるのかといえば、全くそんなことはないです。小学校に進学してからも競争は変わらない。この状況について、社会人の内巻と同様に「よくない」という認識が社会にも親にもありながら、親も子供を簡単にそのレールから降りることができません

とある調査報道が、「鸡娃」の親のフリをして関連するグループチャットに潜入し、第三者としてより身近に彼らを観察しました。これもまた非常に興味深かったので、一部を共有したいと思います。

タイトルには「10個の鸡娃グループチャットに潜伏し、子供がいない私が自分自身を熱狂的に教育したくなった」と潜入しての本人のリアルな感想が書かれていました。

まず、グループチャットに潜入するために「北京のママで上の子供が小学5年の男の子、下の子が幼稚園年中組の女の子、どっちもあと1年で進学する」という設定をしました。

これでうまくいくと思いきや、学年番号や子供の教育に有意義な経験を提供できないと判断され、なんとグループチャットに入れてもらうことができなかったところから始まります。恐るべし...
その後、「鸡娃」に関する専門用語をたくさん勉強して、やっとグループチャットに入れるようになりました。ここからは日記調で

その次の朝は携帯の振動音で目覚めた。6時前後からグループ内の親たちの交流が活発になった。主な内容は自分の子供の今日のスケジュールの展示や教育資源(内容)の共有、そして鸡娃の成果などだ。

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↑教育項目、手書きのものもあり

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↑当然デジタルのものも。(ボクの仕事のスケジュールこの半分くらいかな...)

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↑無断だが、教育資源の共有もある。非常に活発に情報共有されていて、古詩や英語勉強、KUMON数学まである。

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そしてしばらく潜入したら、「鸡眼」のグループチャットに招待された。最初は鸡娃の中の優秀な人として入ったのかと思いきや、近視の予防に熱狂するグループチャットだった。そしてその理由は

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↑近視になるとピアノの譜面がよく見えなくなるぞ。

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↑お母さんの多いグループチャットでたまにお父さんもいるが、ここではおばあちゃんもいた。教育はもはや両親だけではなく祖父母も積極的に取り組まなければならない

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↑娘が孫への教育への力の入れ方が不十分だったから自ら参加したとのコメント

ついこの間、コロナで北京の塾がしばらくオフラインの授業が中止されることになるという情報もあった。それに対して「鸡娃」のグループチャットにもまた思わぬ展開があった。

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↑北京が全部ダメなら天津の塾に行きましょうとの相談で、バスを貸し切って出迎える案まで(ちなみに北京と天津は120kmほど離れている)。

といったものです。続きやネット民の皆さんの感想が気になる方はこのリンクからご覧ください。中国語ですが頑張って読めるかと思います↓

中国の教育社会問題「鸡娃」は日本と比べてどうでしょうか。Twitterなどでたまに極端に熱心な教育を行なっている日本の親がいるって投稿を目にしますが、中国のはそれよりも刺激的なものが多くてびっくりしました。3人目の出産までが認められ、教育コストについても連日話題になっています。

これらは社会問題として盛んに議論されているので、また興味深い投稿や討論があったら紹介しようと思います。ぜひフォローしてお待ち下さい。

(参考資料)


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