成人年齢が20歳から18歳に引き下げられた中、唯一引き上げられた結婚年齢
今月から成人年齢が18歳からとなった。飲・たばこ・ギャンブルなどは今までと同様20歳からのままとなるが、親の同意なく契約を結べるようになった。今まで未成年ということで保護されていたものもなくなり、自由の代わりに責任を負うことになる。
注目したいのは、唯一年齢が引き上げられた結婚年齢の変更。
今までは男18歳、女16歳からの結婚だったが、これからは女も18歳以上の結婚となる。つまり、18歳未満で女性は結婚できなくなるということだ。
といっても、晩婚化でそもそも18歳未満で結婚している女性なんて数少ないんじゃないの?と思っているかもしれない。実際、2020年の人口動態調査によれば、18歳未満で結婚しているのは年間590人、全婚姻数に占める構成比は0.18%にすぎない。ちなみに、1995年では年間2509人、0.39%だった。
さらに以前の統計を見ればもっと多かったのかもしれないが、まあ全体的に見れば少ないといえる。
都道府県別に見るとどうだろう。
ダントツで沖縄が多い。続いて、鳥取、和歌山と続く。逆に、少ないのは東京である。全体的に西日本の方が高いのは、若年婚姻率と相関している。
しかし、なぜ18歳未満で結婚するのかと深堀すると見えてくる問題もある。少し古いデータだが、2012年都道府県別の貧困率と2012年の18歳未満婚姻構成比とを照合すると、貧困率が高い県ほど18歳未満の婚姻も多い。
若気の至りで結婚したという本人の意識よりも、そうした貧しさ(親の貧しさ、地域の貧しさ)という社会環境との関係性も見ていく必要がある。
結婚年齢を18歳以上にしたからといって、若者の貧しさが解消されるわけではないのだ。
こんなデータもある。2020年18歳未満で出産した子のうち、嫡出子は449人。2020年の婚姻数と比べるのは妊娠期間を無視しているので妥当ではないが、婚姻数は590人なので、婚姻した18歳未満女性のうち76%は出産していることになる。
しかし、もっと着目すべきは非嫡出子である。2020年18歳未満の非嫡出子は嫡出子よりも多い893人もいる。つまり、18歳未満で結婚もしないで出産した女性が893人もいるということだ。
繰り返すが、法律を制定したからといって、18歳未満の女性が妊娠しなくなるわけではない。むしろ、結婚できないという法律によって、より多くの非嫡出子が発生してしまう可能性もある。無戸籍子が発生してしまうリスクもある。
今までなら16歳でも親の同意や協力で結婚して出産できたかもしれない女性が、親にも言えず、誰に相談していいかわからず、一人で悩み、産んで、途方にくれてしまうケースも増えてしまうかもしれない。中絶も増えるかもしれない。
「18歳以上は成人」に関しては基本的に賛成する。しかし、どさくさに紛れて婚姻年齢も18歳以上としてしまうことで起きる問題もあるのではないか、という危惧もある。
18歳未満と婚姻していた相手の男性も若い人が多い。決しておっさんが若い女性と結婚しているわけではない(40歳以上で18歳未満と結婚したのは4人いるが…)。
若くして結婚や出産をしてしまう人たちが必ずしも親の庇護のもとにあるわけではない。誰も頼る人がいないから、せめて若くても同い年くらいで家族になろう、頼れる相手と生きていこうと考える若い人たちもいることを忘れないでほしい。