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コロナが落ち着いた後に、ビジネス・働き手が向かう先は?

G 7が開催され、主要国ではワクチンの接種が進み感染拡大の抑制が視野に入ってきていることから、いわゆるコロナ後の動きについて各国首脳の議論が行われたようだ。

日本はワクチン接種においては大きく出遅れているが、それでも少しずつ接種は進んでいる状況にあり、以前に予測した中ではどちらかといえば早い方で希望者への接種が進みそうな気配にはなってきた(希望者が少ないと思われるという事情もある)。

こうなってくると、経済活動を正常化する動きが今後徐々に活発化してくる。この時に、2019年までと同じスタイル、「元に戻ろうとする企業」と「新しいビジネススタイルにシフトする企業」に、二極化してくるのではないかと思っている。

どちらかといえば、「元に戻ろうとする企業」が多いのだろうが、その行動を具体的に象徴するのは、リモートワークからオフィスワークへの回帰だろうと思っている。

オフィスへの回帰によって、長期にわたるリモートワークで孤独感に苛まれオフィスワークの利点を身にしみた人達は、オフィスで働ける利点を再び取り戻すことになるだろう。

一方で、リモートワークになってオフィスワークによる精神的肉体的な負担から解放されパフォーマンスが上がった人たちもいる。例えば、通勤移動に苦労していた障害を持つ人たちにとっては、移動のストレスから解放されていたものが、再びオフィスで働くことのデメリットに苛まれることになる。

一般的には、レベルの差の差はあれどのような会社であっても、今回の新型コロナウィルス流行の1年半ほどの間に、いわゆるリモートワークやリモート会議について多かれ少なかれそのメリットもあることを認識し、一定の慣れが生じたことだろう。このためオフィスワーク中心に戻る会社であっても、例えば遠隔地との会議においてオンライン会議を辞めてしまうということはおそらくないのではないだろうか。また部分的にではあってもリモートワークを必要に応じて認める、一時的ではない恒久制度化するという動きもおそらく出てくるのだろう。

問題はその度合いで、今後もほとんど2019年までと変わらないという企業も少なくないのではないか。厚労省が就業規則モデルの変更まで行って副業解禁にかじを切っても、それに呼応しなかった多くの企業のことを思うと、そう思わざるを得ない。

一方、新しいビジネススタイルにシフトする企業は、例えばオフィスを都心の一等地から地方に、とまではいかなくても、郊外の比較的賃料が安く環境の良い場所に移すなど、オフィスへの出社が必要であるとしてもこれまでよりもリーズナブルなコストでより良い労働環境を実現する可能性がある。また、リモートワークについてもオフィスワークと同等かそれ以上の価値を生むものと位置づけ、どちらを選択するかは働き手の裁量を認める方向に行くことになる可能性がある。

特に、スタートアップを中心とする企業規模が比較的小さくて小回りが利く企業においては、このような新しいスタイルが定着していく可能性が高いと思われる。

そうなると、もともとオフィスワークにデメリットを感じていた人たちは、オフィス中心のワークスタイルに戻った企業から、新しいビジネススタイルを目指す企業に転職する、という動きが出てくるかもしれない。

おそらく前者のこれまでのスタイルの働く形に戻る企業が数としては多いのだと思うが、それとは別に、企業は今後定年の70歳までの延長を見据えて一層中高年の早期退職など人員整理に向かって動くことになるのではないかと思われる。まして、当面コロナの影響も受けて企業業績が思わしくないところも多いであろうことを考えれば、この動きはなおさら強まることになるだろう。

一方で若い人たちの間では大企業や公務員志向が弱まり、どちらかといえばここで私の言う小回りのきく企業や組織に活路を見いだす人たちが増え始めているという分析もある。


大企業を中心とした元のビジネススタイルの企業からは、やる気のある若い人と出世できなかった大多数の中高年の社員が抜け、トップに上り詰めたシニア社員とミドルの人たち、そして上の記事の言いかたに倣うなら「見限らなかった」ワークライフバランス志向でホワイト企業志向の若い人たちが残るということになるだろうか。

一方で、新しいビジネススタイルにシフトする企業に関しては、若年層を中心に、やる気のある人材獲得の絶好のチャンスが今後生まれてくる可能性がある。

そして数は限られるかもしれないが早期退職など広い意味での人員整理の対象となったシニアの中でも、新たな社会の趨勢の中で新たな活路を見いだすことができる人たちにとっては、新しいビジネススタイルにシフトする企業がその受け皿になりうる。

もしこのようなシナリオが本当に今後の日本において進んでいくのであれば、元の姿に戻ろうとする組織は活力を失っていく一方で、新しいビジネススタイルにシフトする企業はさらに有能な人材を獲得し、次の日本経済の担い手として育っていくということになるかもしれない。

これは単に、働き方がオフィスに戻るか戻らないかというだけの話ではない。例えば NIKKEI Asiaで、ジャック・アタリ氏が、旅行業界はもう元には戻らないという趣旨の論考を寄稿していた。

この論考の予測が正しいのだとすれば、2019年までインバウンド需要に沸いていた日本の旅行業界は、今後再びインバウンドによって復活するかといえば別なシナリオが必要になってくるということになるだろう。いうまでもなく、日本のインバウンド需要を支えていたのは中国人観光客だ。単にコロナや環境の問題だけではなく、冒頭のG7の記事にもあるとおり、日本及びアメリカなど自由主義諸国と中国との間に壁ができつつあり、中国でも外国人の資産凍結やビザの取消しを許容する法律が成立したことを見ても、今後日中間の人的交流は、コロナの影響がなくても当面元には戻らないと見るのが妥当な情勢である。

今後、日本は中国と近い距離にあるだけにその政治的・経済的バランスは非常に難しくなっており、中国に頼り切る形の経済活動は大きなリスクを抱えていると判断するべき状況にあると思う。

いずれにしても、コロナの感染拡大が落ち着いた時にどのような方向にビジネスを持って行くのか、まだ感染が落ち着いているとは言えない今のうちから十分に考えておき、感染が収まった時にどちらに向かって走り出すのかを考えるべき時は、今である。


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