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ARアートはホンモノか?

今年もいよいよ夏本番。
今夏も、各地でアートイベントが目白押しです。
それも、かなり注目の芸術祭が、今年〜来年に集中していて、アート関係者やアートファンにはたまらないけど忙しい年になりそう。

もちろん、地域芸術祭の大家であり、国内外問わず多くの人がお盆休みに大挙すること間違いなしの『瀬戸内国際芸術祭2019』はもちろんのこと、

宮城県の牡鹿(おしか)半島と石巻市街地を主な舞台とした、
「アート」「音楽」「食」を楽しむことのできるお祭りとして、今回が2回目とは思えないほど定着している『Reborn-Art Festival』

はまず筆頭に上げられると思いますし、
それ以外にも岡山を始めとして各地で重要な芸術祭が目白押しです。

そんな中、個人的に今年気になっているのは『あいちトリエンナーレ2019』。
津田大介さんがフェスティバルディレクターになるという斬新な人事で話題、そして盛り上がってます。

津田大介さんの「情の時代」をテーマに掲げたディレクションによって、定期的に議論が巻き起こっているので、ちょっとこれまでの芸術祭とは一線を画した盛り上がりになっている感がありますが、それはまさに津田さんの面目躍如といった感じがします。

慰安婦をめぐって日本と韓国との間で論争になっている少女像が展示されたり、

参加アーティストのうち半数が女性となるような、アファーマティブアクションとも思える方針を打ち出したり。

アートのコンセプトや作品や招聘作家という話題ではなく、
ジャーナリスティックな観点での話題が喚起されている印象です。
でも、かといってそれがアートとして変なのか、間違っているのかと言われれば、むしろ時代批評性というアートの持つ1つの側面にスポットを当てているわけであり、正しい姿勢な気もしています。

私自信、来年開催される『さいたま国際芸術祭2020』のキュレーターをしていて、まさに作家選定や作品企画などに右も左も分からない中奮闘している最中であり、そして地域芸術祭にどうやって耳目を集めて人に来てもらえるのか、どんな形で新規性を獲得すればいいのかを考えていると、この様な動きにとても注目してしまいますが、
今もう一つ個人的に、知らなすぎて興味を持っている領域が、”ARアート”です。
ちょうど今日こんな記事が出てました。

記事の中で、Jeff Koonsの読み方が(ジェフ・クーノス)となっていたのは、テックメディアのご愛嬌だと思いますが、すでにこのARアート領域は各地で盛り上がりを見せつつあり、世界を代表するアーティストであるジェフ・クーンズも参戦している現状であり、そしてアップルが主体で新宿を含む世界の主要都市でARアートイベントをやるというニュースを聞いて、これは体感するチャンスだと、各地の芸術祭並に楽しみになっています。

というのも、ちょっと面倒くさい話になりますが、
ARアートが、本当にアートになりうるのかがいまいちよくわかってないところがあるからです。
議論を呼んでいる『あいちトリエンナーレ2019』は、アートが孕む、時代批評性がベースになっているので理解の範疇ではあるのですが、
ARアートは、これまでのアートの文脈で理解できるのかが分からないという感覚が個人的にあります。

例えば、「作る側」「見る側」の身体性がどのような形で現れるのかが、私自身が全く理解できていません。
テクノロジーがどんどん進歩していくなかで、身体性の伴ったテクノロジー(職人技)とともに発展してきたアートが、デジタルテクノロジーが進化する現代のなかで、作品の身体性をどのように担保するのか(そもそも担保する必要があるのか)が、今一つの大きな論点になりつつあるのではと感じています。
それがわかりやすく起こったのが、写真の世界だったわけですが、フィルムからデジタルに移行し、デジタル加工もバンバンできる中でのアート写真とは何かという問いには、トマス・ルフなどが一つの回答を出ました。
その様な事が、既に起こっているのか、それともこれから起こるのか。

そして、もう1点興味があるのが、これからARアートが広まっていく過程で、相性の良さそうな広告やコマーシャル寄りの表現媒体になるのか、はたまた、バスキアやバンクシーの様なカウンターカルチャー・ストリートカルチャーとしての発表の媒体となるのか、その方向性にも興味があります。

ARアートは、恐らくARの中で表現する必然性の確立や身体性への言及などが進んだなかで、もしかしたらこれから本格的にアートの世界で主要な表現媒体になっていくのかもしれません。

そう言った観点で、ARアートとても注目しています。
もしかしたら、ギャラリーや美術館ではなく、テックベンチャーがアートを主導する未来がくるのかもしれない。そんな妄想をいだきなから、ARアートイベントに参加してみたいと思います。

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