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副業解禁、を単なるトレンドにしないために

みなさん、はじめまして。今月から、日経COMEMOのキーオピニオンリーダーを拝命した原田と申します。

簡単に自己紹介をしておきますと、株式会社ローンディールという会社で、大企業の人材にベンチャー企業で働く機会を提供する「レンタル移籍」という事業を展開しています。「日本的な人材の流動化を創出する」ということをミッションに掲げ、個人と組織がより活き活きと働ける社会の実現に貢献していきたいと思っています。日経COMEMOでは働き方に関するテーマを中心に、レンタル移籍という事業を通じて得てきた知見を踏まえて考えを共有してまいります。昨今、副業解禁やリモートワークなど、働き方が大きく変わろうとしています。私たち一人ひとりが、どのように「働く」ということと向き合っていくべきか、よりよい「働き方」とはどんなものか、皆さんと一緒に思考を深めてまいりたく、お付き合いいただければ幸いです。よろしくお願いします。

ということで早速ですが、記念すべき一本目の記事を始めたいと思います。

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先週は副業解禁に関するニュースが多い1週間でしたね。第一生命HDさんが大手生保で初めて副業を解禁したというニュースや、カシオ計算機さんがシニア活用の一環で副業を推奨するといった話がありました。

私は、日本の社会や企業に適した形で人材の流動性が高まっていくといいなぁと考えていますので、このような流れは歓迎です。働く人にとって副業という選択肢が増えることは、流動化の一つのきっかけになるだろうと期待しています。

副業解禁の目的について、多くの企業は「専門性を獲得してくれること」「社内外の繋がりが相乗効果を生むこと」などを掲げています。旧来、閉鎖的な傾向の強い日本企業において、人材が社外に出ることで獲得できる知見は少なくないでしょうし、それを自社に持ち帰ることによって新結合、つまりイノベーションの種が生まれる可能性も高まるはずです。

しかし、社内の規則として副業を「解禁」したら目的が達成されるかというと、当然そんなに簡単な話ではないと思います。あくまでも、副業という新たな働き方の扉が開いたにすぎません。その先にどのような課題が待ち受けているか、少し整理をしてみたいと思います。

①そもそも、みんな副業をしたいのか?
労働時間が短縮される、週休3日になるといったことがあれば、もしかすると副業を積極的に探してみようかなと思う人は出てくるかもしれません。しかし、果たして5日間みっちり仕事をしている人の中でどれくらいの人がアドオンで仕事をしたいと思うでしょうか?副業をすることが、個人のキャリアにとって有益なものだということを粘り強くコミュニケーションしていく必要がありそうです。

ただ、この点においてはコロナ禍はプラスに作用するかもしれません。リモートワークなどによって通勤時間が減っていること、自分の働き方やライフスタイルを見直すひとも増えていることは、副業の広まりには追い風です。
また、副業も含めた「リカレント教育」が、結果的に収入を増やすといったニュースもあり、こういった事実から働く人の意識も変わっていくとよいですね。

②企業が期待するような副業を選べるのか?
では実際に副業をしてみようかなとなったとして、個人が選択する仕事が、果たして企業の期待するようなものになるでしょうか?本業で収入が安定しているのだから、副業では金銭を目的とせずキャリアを広げるような経験を選択したほうが良いのではないかな、と思います。でも、やはり効率的にお金を稼ぎたいというマインドになってしまう方も現れるのは自然ですよね。また、そもそも「キャリアを広げられる副業ってどこにあるの?」「どうやって見つければいいの?」というのは、今まで外との接点を持ってこなかった人にとって相当難しいところです。

あまり難しく考えず、ボランティアでもよいのでまずは何かを始めてみる、ということが良いのではないかなと思いますが、はじめの一歩というのはなかなかハードルが高いですよね。

③副業を受け入れる企業はあるのか?
副業を考えるときに、視点として抜けがちなのは受け入れる側の話です。週に1回、数時間しか稼働できない人材をうまく活用できる業務ってどのようなものがあるでしょうか?情報共有など、コミュニケーションコストもかかるはずです。それでも今は、人材を確保したいというニーズから、「うちでも副業を受け入れてみようか」という判断はしやすいかもしれません。

どのように業務を割り振ればよいか、コミュニケーションツールは何を使えばよいか、情報管理はどうするかなどなど、おそらく受け入れる側も従来とは業務プロセスを変える必要があると思います。副業が事業推進の手段として効果的になるためにはどうすればよいか、ノウハウが共有され、成功事例が増えていくとよいですね。

④副業をする人と受け入れる企業をWin-Winにできるのか?
②に記載したように個人にとって「キャリアを広げられる副業」が良いのですが、一方で③に記載したように受け入れる側として「事業に貢献できる」という要件を満たす必要もあり、これを両立させられる状態を作ることはできるのでしょうか。

例えば私たちの組織だと、副業でかかわっていただく方に対しても、日々のコミュニケーションはクイックにとれることを期待します。例えば土曜日にしか稼働しないから土曜日以外は遮断されてしまう、となるとお互いにリズムが悪くなってしまう。このあたり、解禁する側の組織としても柔軟性があるとよいかもしれません。

⑤外の知見を得てきた人材を、元の組織は活かせるのか?
①~④までは副業を始める個人や受け入れる側の課題でしたが、改めて副業を解禁した企業の目的に立ち返ってみると、最大の問題は「人材の多様性を、組織が活かせるのか」ということに尽きると思います。副業を解禁するということは多様性が増すことになるわけですから、それを活かすために、マネジメントの意識変革がセットで必要ではないかと思うのです。それがなされなければ、もしかすると離職率の増加など、負の影響ばかりが目立ってしまうことになりかねません。もはや多くの組織において、上意下達で意見をさしはさむ余地のないトップダウン型のマネジメントでは、組織が立ち行かなくなってきているように見えます。副業解禁を一つのきっかけとして、マネジメントを見直す契機としてみるのもよいのではないでしょうか。

以上、今回は副業解禁に際して、その先に立ち現れるであろう障壁について整理をしてみました。これらは決して越えられない壁ではありません。実際に私たちの会社では(小さな会社の事例ではありますが)30人以上の方に副業・業務委託としてサポートいただいていたりします。私たちなりのノウハウも機会があれば紹介していきたいと思いますが、「これが正解!」みたいなものはないはずです。いろいろなアイディアや意見、事例などをみんなで持ち寄って共有し、試行錯誤していくことで、真に社会で機能する仕組みとして浸透していくのではないかと思っています。

ということで、①~⑤の問題について、皆さんはどんな解決策を思いつきますか?はたまた皆さんの組織はどのようにしてその壁を越えていきますか?ぜひいろいろなお考えをお聞かせいただければ嬉しいです。


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