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求められる温暖化ガス排出量の計測・可視化の動き

3月を振り返った際、ロシアによるウクライナ侵攻、エネルギー・食料価格の値上げ、東北地方の地震で火力発電所が止まったことによる電力需給の逼迫など、安全保障、エネルギー、気候変動・脱炭素等のリスクについて考えさせられる機会が多い1ヶ月でした。本当にこの21世紀に信じられない出来事の連続ですが、状況が改善することを心から願ってます。

そんな中、関連していくつか気になった出来事、ニュースがあったので備忘録的に記録しておきたいと思い、今回は書いてみます。

==最近気になっているいくつかのトレンド==
【1】ウクライナ侵攻により短期的な化石燃料の需要は高まっているものの、中長期的には安全保障的な観点からも再生可能エネルギーへの期待、転換に拍車がかかっている点。原発に関しても日経新聞の世論調査において『原発再稼働「進めるべき」53%』(2022年3月28日)という報道がありました。

【2】気候リスク、温暖化ガス排出量の計測・可視化を求める声が世界中で高まっている点。国内では4月の東証プライム市場設置を控えた気候リスク開示の必要性が目の前に迫り、アメリカではSEC(米国証券取引委員会)が先週3月21日に上場企業への気候変動リスクの開示を求める新ルール案を提案し、大きな流れの変化が感じられます。

【3】企業側の対応として温暖化ガスの排出量の測定・開示を行うべく、昨年から今日に至るまで、数多くの企業がサービスを導入している点。複雑な規制のルールに対し、今まで存在しなかった二酸化炭素排出量の可視化を行うための数多くのサービスが急ピッチでリリースされてます。

外資系調査会社によると、CO2排出量を管理するソフトやサービスの世界市場は25年に122億ドル(約1兆3000億円)規模と、20年の1.4倍に拡大する見通しと言われています。以下はそれらのリリース等に関する記事の一部です。

こうした事象を理解しようと思い、記事を読んでようとするものの、そもそもの開示ルールが統一されてなかったり、複雑だったり、ソフトウェアもいままで存在してなかった類のものであるため、混沌としている様子が伺えます。

企業内でも急遽ESGに関する社内委員会を設置したり、オンラインセミナーに駆け込みながら理解をし、各企業の状況に応じた対策、そしてソフトウェアサービスの選定などが求めらているものと思います。余力のある大企業ならば外部のコンサルティング会社等に依頼できるかもしれませんが、今後こうした動きが取引企業、下請け企業等の中小企業まで広がった際にどのようにそれぞれの企業が対応するのか。急ぎ対応が必要になるのでは、と感じます。

また、こうした急速なサービスを担う人材の不足から、今後世界中で「サステナビリティ・コンサルタント」や炭素会計等の専門知識を持った人材が求められることになりそうです。
2月中旬には、大手会計事務所のアーンスト・アンド・ヤング(EY)が独自のESGコンサルタント会社「EY Carbon」立ち上げる予定で、今後3年間で1,300人を採用する計画し、1億ポンド(約156億円)を投資予定と報じられていました。

また、同じくEYは約31万人いる世界の従業員向けに、サステナビリティー(持続可能性)について包括的に学ぶ大学院修士プログラムの無料提供を始めたことも今月上旬に報じられてます。気候変動対応などのコンサルティング需要が拡大するなか、顧客支援に必要な能力を身に付けてもらう、とのことです。

3月30日には金融情報サービス会社のQUICKと日本取引所グループ(JPX)が共同で、企業向けESG(環境・社会・企業統治)問題の解説集(159ページ)を作成し、ホームページ上で公開されてます

「JPX-QUICK ESG課題解説集 ~情報開示推進のために~ 」


こうした動きは今年後半、来年にかけてますます加速していくことと思われます。その先には個人単位でもCO2排出量を計測把握することが求められる日も訪れることになりそうです。

[2022年2月16日]CO2排出、個人単位で把握 環境省が10万人実証〜家庭で66%減へ、削減分の売却制度も検討

まだまだ先行き不明瞭な部分もあり、大きな試行錯誤が待ち受けていると思いますが、一つ一つ、世界的な大きな価値観、時代感覚の変化に適応していくことの必要性を感じます。

Photo by Austin Distel on Unsplash

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