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グラミー賞前日、Doechiiについて

明日のグラミー賞で4部門にノミネートされているDoechii。Cardi Bがプレゼンターだと発表されてからはラップアルバム賞はDoechiiに行くのではないかと話題になっているけど、どんなパフォーマンスを披露するのかもめちゃくちゃ注目してる。

Late Showでのパフォーマンスは未経験にも関わらず本人が数日の間に振り付けを作り、3人が髪でつながっているコンセプトも黒人女性の歴史とヒップホップからウケる影響にリスペクトを込めて考案したもの。こうしたストーリー性を構築して伝える天才だと思う。

「私はヒップホップの系譜から大きなインスピレーションを受け、それが今日の私自身にどのように貢献しているかを強く感じています。これは私が初めて自分で振り付けたパフォーマンスであり、最も強調したかったことのひとつは、ヒップホップを通じての黒人女性とのつながりだった。ヘアアーティストのマルコム・マルケス氏の協力により、私たちはこの象徴的なアートパフォーマンスをわずか1週間の間に実現することができた。」

ストーリー性でいうと、DENIAL IS A RIVERの楽曲自体も物語り調だし、MVもまるでテレビ番組のような構成になっていたり、色々な演出やこだわりが詰まっているのも「一貫性のある伝え方」として一気にSNSを中心に広まった。コーラスのない曲がビルボードHOT100入りするという快挙も達成。

リリース1週間目よりもリリース後19週目の方がアルバムのセールスが好調であることも、瞬間的なバズばかりが注目されがちな現代において重要な成果。アルバムを出しても終わりじゃなくて、継続してクオリティの高いパフォーマンスやコンテンツを出し続けたことで、やっとアーティストとしての認知度が定着する。

大きいステージでもタイニーデスクのような場所でも、全力かつ磨かれたパフォーマンスを届けられること自体が注目されるべきポイント。楽曲の新しさ、面白さだけじゃない。その点は今年のグラミー新人賞でノミネートされているチャペル・ローンと共通するところ。

(こう見えても)私はとってもハングリー、絶対にベストになりたい。24時間あったら、もっと良いパフォーマンスのためにできる努力をする。とインタビューでも宣言している姿は、「チルな姿勢の方がウケる」と言われている現代ではかなり新鮮に映る。

GeniusでのパフォーマンスはIssa Raeが登場、曲中の「心の中のセラピスト」役を演じた。クィア性やメンタルヘルスについて、ストーリーテリングやユーモアを用いて、かつ高スキルのラップで届けるDenial Is a Riverは、リアルさが本当に面白い

Doechiiはindustry plant(業界にゴリ押しされてるぽっと出)と言う人が結構出てきたが、実際彼女はかなり下積みの歴が長い方で、今やっとTDEのPRによって一般人の目にも止まるようになった。確固たるスキルとクオリティがあるからこそ、プッシュをされても輝ける。


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竹田ダニエル
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