半育休を成功させるための3つの鍵~新米パパ起業家の #半育休 日記④~
Potage代表 コミュニティ・アクセラレーターの河原あずさです。1歳1ヶ月の息子を妻とタッグを組んで育てている、育児中のパパ起業家です。
男性育休の取得が義務化されたにも関わらず、なかなか取得率が上がりませんね。取得した中でも「義務的にとって結果何もしない」という「なんちゃって育休」になってしまった方もそれなりにいらっしゃると推察されます。社会的なバイアスの壁の高さを感じる日々です。(実際に義務化が施行された2022年の数値が爆上がりすることを祈ってはいますが、なかなか難しそうですよね…)
しかし保育園の息子と同クラス(0歳児クラス)の保護者さんの送り迎えの様子をみると、半数は男性保護者が送迎しています。通勤とタイミングをかぶせられ、体力的にも勝る傾向のある男性がもともと負う傾向のあるタスクだとしても「何らかのかたちで育児には参画すべし」という認識が、少なくとも都市部においては増してきている印象はあります。
ここで息子の保育園のお迎えの際にデレられたときの写真をご覧ください
半育休についての相談を受けて気づいたこと
さて先日、COMEMOのKOLで、一緒にお仕事をしている西村創一朗さんから、とある起業家さん(Nさん・男性)を紹介され、Zoomで面会することになりました。紹介してくれた西村さん曰く、Nさんは、音声配信関連の仕事をされている方で、2022年明けに会社を立ち上げたばかりなのだけど、秋に子どもが生まれる予定があり、その境遇が去年のぼく自身とほぼまったく一緒だと言うのです。どういう風にバランスをとっていったらいいのか聞いてみたいという趣旨で、ご紹介いただく流れになりました。
去年、いくつかのCOMEMOでも記事で書きましたが、僕は長男が2021年6月に生まれてから2か月半ほど「半育休」を自主取得していました。
半育休の定義は様々ですが、自営業フリーランスである僕の場合は、出産後数ヶ月の期間は案件をセーブし、その空いたリソースで育児にしっかり向き合うというかたちにしていました。その記事をNさんは見ていて「半育休に興味があります。つきましてはどういう風にしたらいいのか相談したいです」という趣旨で紹介に至りました。
育児と起業の両立の難しさに関しては、僕自身完全なる当事者で、Nさんの悩みは、会う前から手に取るように分かります。僕の場合は2021年1月に法人設立した時点で、6月に長男が生まれることはわかっていたので、その後どれくらい育児と仕事のバランスをとっていこうかすごく悩み、その結果自分なりに「半育休」というものを組み立てて実践してみたという経緯がありました。仕事もクライアントさんの期待に応えたいし、子育てにもちゃんとコミットしたい。ちょっとした天秤状態だったのですが、Nさんも同様のことに悩んでいました。
そういうわけで6月にZoomでお会いして、1時間ほど話をしました。たくさん質問を受けたのですが「仕事をどういう風にマネージしていくか」という相談が前半のメイントピックでした。年間契約などしていて月額をいただいているお客様への対応をどうするか、新しい案件をどれくらいセーブするか、期間中急遽ミーティングしてほしいと言われたらどうするか、仕事をどれくらい生まれる前に前倒ししたか、などなど相談を受けてたのですが、話しているうちに、経験からして、もっと大事なことがあるなという気持ちになってきたのです。
それが何かというと、僕が半育休でいちばん悩んだのは、クライアントさんとの関係性ではなくて、家族、すなわち妻との関係性だったということです。Nさんとの話も、後半は、奥さんとの協力体制をいかにつくっていくかのほうが大事ではないか、という話にシフトしていきました。
※当記事の下敷きになっているVoicy放送です。興味ある方はぜひ聴いてみて下さい
半育休で欠けていた妻とのコミュニケーション
僕の半育休の場合、既存のクライアントさんの仕事に限定して、新しい仕事をセーブするというかたちで実践していたのですが「難しい」と思うことが多かったというのが現実でした。なぜ難しくなったかというと「仕事をしている自分に対して妻にどう向き合ってほしいか」の合意形成が十分に取り切れずに見切り発車してしまったからだと思っています。
我が家で起きたことを例に解説します。新生児はだいたい3時間に一度起きて、ミルクがほしいと泣きわめき、それが深夜も絶えずに続きます。その対応を誰がするかという問題がたいていの新生児育児をしている家庭では発生するのですが、我が家の場合は、妻がそれを引き受けていました。
我が家は母乳ミルク併用のため、僕でもミルクをあげることはできます。そのため「僕もやるよ」と妻に伝えていたのですが、「いや、私がやるから」と率先して引き受けてくれていたのです。理由を聞いてみると「半分とは言え、あずさんは日中に仕事をしているし、そこに眠気や辛さで影響させたくない。私は全育休をとっているけど、あずさんはそうではないから、仕事を充実させてほしいし、夜中の対応で疲労を与えたくない」ということでした。完全に良かれと思って、引き受けてくれていたのです。
しかし、当然のように、妻にはどんどん疲労がたまっていきました。結果的に、関係性がぎくしゃくしてきたのです。僕としても、育児に参画できていないという感覚がつのっていたし、どんどん疲労がたまっていく妻をみてすごくつらい気持ちになっていました。誰も幸せになっていない状況だったのです。
また、セーブしているとはいえ、ミーティングやイベント、ウェビナーが入ることがありました。その時は、妻が子供を仕事部屋から遠ざけて、子どもをあやしたり寝かしつけたりするのですが、それが頻発する時期がありました。それに対して、とてもありがたいと思う一方で、すごく後ろめたい気持ちも正直ありました。
イベントなどは、来ている人たちに前向きな気持ちになっていただくために、自分も楽しい気持ちでやりたいし、ポジティブモードに自分自身を持っていく必要があります。しかし、イベントが終わって、その空気のまま日常に戻っていくと、ポジティブな空気の自分と、疲れ切っている妻の間のギャップが生まれて、その気圧差のようなものがすごくしんどく思えたこともありました。顔を合わせるとぎくしゃくするし、その積み重ねが口論につながるということもありました。
やるべきだったのは、事前に仕事に対して、この半育休期間中、どのように臨もうとしているかを、妻にしっかり共有することだったと今振り返ってみて思います。
また、後で妻から聞いたことですが、もともと共働きだった自分が専業主婦状態になっていて、僕がその分一家の収入の柱にならざるをえない状態になり、そこに後ろめたさを感じていたということでした。その後ろめたさが、彼女のプレッシャー(不要なプレッシャーなのに!)につながっていたのです。そこの、お金に対するスタンスや見通しについても、あわせて共有すべきだっと感じています。
大事なのは、事前のイメージのすり合わせです。また、イメージと実際起きることにも進めていくうちにギャップは必ず生まれるので、そのすり合わせを定期的にするべきだったとも思います。
そのために、今思うと、半育休にのぞむにあたって、夫婦でやれることが3つあったなと感じています。順番に解説していきますね。
やれること① スケジュール感の共有
去年の半育休では、Googleカレンダーは共有されていて「こういう予定が入るよ」という話は妻に伝わっていたのですが、事前準備がどれくらい必要か、子ども同席で大丈夫なミーティングなのかどうか、音が入ってはいけないアポイントメントなのか、などなど、そのあたりの詳細が直前にバタバタと共有されていました。そのあたりも含めたスケジュールの見通しを、負荷と共に妻に伝えて「これくらいの範囲で育児にコミットしたい」という希望をしっかりと妻に伝えるべきだったと振り返ってみて思っています。
やれること② 請け負うタスクの見える化
家事スキルや育児経験があると、なんとなくやれることが見えるもので、暗黙で夫婦で共有することはできます。しかし、当たり前の話として、僕たちは夫婦共に育児に関して未経験の新人でした。おまけに僕自身は家事能力が低いので、家のことをまわすにあたって経験値がまったくない状態だったのです。
そんな状態で「なんとなく」で分担しようとしていたのですが、妻の「迷惑はかけたくない」という性格を考えると、そのやり方では破綻するに決まっているのです(今思うと、ということですが…)。「このタスクは負うよ」とか「いったんはこのタスクは分担しよう」とか、妻に対していい意味での「ごり押し」をすべきだったと感じています。それができていれば妻の疲労の蓄積も緩和されただろうし、半育休のために確保した時間をもっと有効に使えたな、と思うのです。
やれること③ お互いの負荷状況の定期的な確認
自分の仕事の負荷がこの程度だとか、子どもに起こされて疲労度が高いとか、体力的なしんどさや、育児や仕事のストレス状態など、お互いの負荷状態を毎日確認すべきだったと感じています。そういうことをお互いに冷静に客観的に可視化しておけば、結果的に感情的になりすぎずに、出産直後の状況においてもタッグをしっかり組めたと思うのです。
再び半育休がやってくる
最初につまずくとなかなかリカバリーが難しいのが第一子出産後の夫婦の一般的な傾向です。それを防ぐためには(起業している人だけではなく、自宅でリモートワークをしている人もそうですが、特に自宅で仕事をする以上は)お互いの納得感のために、家族にも自分自身の仕事への向き合い方のスタンスを共有して、その上で育児や家事にも向き合ったほうが、より家族の一体感につながっていきますし、育児がはじまった後の感情的なギャップが生まれづらくなると思うのです。
育休や半育休をとるにあたり、会社の人やクライアントなどの「外の人」の調整が気になるのは当然のことです。しかり、やはり大事なのは「中の人」つまり家族とのコミュニケーションなのです。家族との関係構築からまず入ること、これが鉄則ではないかなと感じています。
相談下さったNさんにもそのような話を共有して共感を頂いたのですが、一方で僕の方もこの経験を活かす機会がすぐにやってくるのでした。実は今、待望の第2子が妻のお腹の中にいて、8月初旬の出産を予定しています。
半育休が再びやってくるのです。
うまくいかなかった半育休の後、夫婦の間では数々の対話が繰り広げられ、年齢的に考えても早いうちがいいだろうということで、第2子を迎えようと決めた結果、幸いにも子宝に恵まれることになりました。この対話を経て、育児や家事の向き合い方がちょっとずつ是正され、その結果、「年子を迎える」という決断ができるに至りました。正直に言うと「うまくいかなかった前回の半育休のリベンジ」という意味あいも個人的にはあります。
おかげさまで、仕事もなんとかうまくこなしながら、第一子育児をとても楽しくやっています。第2子の存在が更なる新しい発見につながればとワクワクする日々です。
最後に。育休をとろうか悩んでいる男性の皆様へ。文末の写真をみてください。日々、こんな感じで可愛い子どもと向き合えるのは最高ですよ。仕事に邁進し続けていたら1歳の今頃はパパを嫌がる季節ですが、すっかり長男はパパっ子なのです。ぜひ万難を排して、制度をしっかり活用して、育児と向き合いましょう!
※というわけで、8月第2週目より、1年ぶり2度目の半育休を1か月半程度取得します。契約が継続しているクライアント様におかれましては、やりくりをしながら対応いたしますが、新規の案件については9月いっぱいまでうけられませんのでご留意ください(※10月以降の案件の問い合わせ対応は致します。但しレスポンスが遅れる傾向が強まるのでその点ご容赦下さい。問い合わせは下記のホームページのフォームよりよろしくお願いします)
また、2023年3月までの打合せに際しては子ども同席の上実施の可能性があります。できるだけご迷惑をかけないかたちで行いますが、男性と女性が共に活躍できる社会づくりを体現し、次世代の働き方を推進すべく、なにとぞご了解のほどお願いいたします。
それでは最愛の第一子の育児の様子をご覧くださいませ。では!