「2%」未達でもデフレ脱却宣言
足元の感じだと、実質成長率は17年度2.0%、18年度1.5%程度が見込まれそうです。仮に17年度、18年度と潜在成長率が1.0%のままとしましょう。その場合にはGDPギャップは17年度、18年度とプラス基調が続き、景気回復を背景にした「良い物価上昇」が現実のものになる可能性が高まってきます。
それでも政府・日銀が掲げる、消費者物価上昇率でみて2%という物価目標を、19年度ごろまでに達成するのは難しいでしょう。その際に問題となるのは、景気と物価が上昇しだした局面での金融政策のカジ取りです。
今の2%目標は、安倍首相がデフレ脱却に動かぬ日銀に業を煮やし、2%を脱デフレのシンボルとしたものです。言い換えれば、物価が着実に上向き、安定的に1%台の物価上昇率が達成できれば、まだ2%に到達しなくても「デフレ脱却」を宣言したい――。この辺りが首相の胸の内でしょう。
その際、日銀はデフレ対策の象徴になっているマイナス金利を解除し、長期金利の誘導目標も現在のゼロ%から0.25%くらいにする。ただし金融の引き締めへの転換ではなく、あくまでもデフレ脱却に伴う微調整。物価目標の2%は堅持する。
そんな選択肢が安倍首相と黒田総裁のベストシナリオのようにみえます。もちろん、内外の政局や北朝鮮情勢、市場の反応など、道は平坦ではないでしょうが。そんな話を日経電子版に記しました。ご笑覧までに。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO20724570U7A900C1000000/
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO20724570U7A900C1000000/
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