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【複業にトライ④】ニッチなスキルで世の役に立つ

「コントロールとエンターのキーを使ってメールを送信して下さい」
「ショートカットはビジュアルで覚えましょう」

午前7時半、東京・銀座のリクルートGINZA8ビルで開かれた「アウトルック講座」。約3倍の抽選をクリアしたリクルートスタッフィング社員が参加し、講師の指示にしたがってパソコンのキーボードを操作していた。講師を務めるのは森新さん(30)。自称、ショートカットキー&アウトルック研究家だ。森さんは各テーブルを回っては、メールやスケジュール管理などアウトルックの使い方を懇切丁寧に指導する。「えー、こんな機能が!」「なんで知らなかったんだろう」。毎日使っているアウトルックの効率的な使い方を教えられると、参加者のあちこちから歓声が上がった。

森さんの本業は飲料メーカー社員。アウトルック講習は、去年2月からはじめた複業だ。

アウトルック講習は、はじめは本業の会社でスタートした。人事部にいた森さんは「社員の生産性を上げる」という課題にぶち当たった。森さんが思いついた解決策は2つ。社員の昼休みの可処分時間の少なさを改善することと、メールのために割いている時間を短縮することだ。

このうちメールにかける時間を短縮するために、アウトルックを使いこなすノウハウを自分で積み重ねた。自分で徹底的に調べたり、同僚の机をみて指使いをのぞき込んだり。社内講習でその成果を披露すると「とても喜ばれた」。と同時に「課題の根の深さを感じた」という。

森さんがアウトルック講習で提案するのは画面遷移のムダをなくすこと。メールと予定表を行ったり来たりするのが積もり積もれば大きな時間のロスになる。画面を自分でカスタマイズしてしまえば、こうした無駄がなくなる。

もう1つが脱マウス依存だ。これが最も簡単で成果が出やすいという。森さんは脱マウス依存のために10の必須ショートカットを使いこなすよう提案している。

こうして積み重ねた成果を世に問うべく、ストリートアカデミー(東京・渋谷)を通じて、社外で複業として始めたアウトルック講習。だが初回は「大失敗だった」。緊張してしまったのに加えて、受講費を2時間500円と非常に安く設定したのが裏目に出て「あまり興味のない人が来てしまった」。この反省から現在は1人3900円ほどに引き上げ、ストアカで個人11人前後を集めて1回2時間かけて講習する。だいたい週1回のペースだが、月1回はリクルートのように企業での講習が入る。

3月下旬にはアウトルック講習のノウハウをまとめた「アウトルック超時短術」(仮)を出版する予定だ。森さんは自身の複業について「日本全体の生産性をほんのすこしでも上げていければ」と語る。アウトルックを効率的に使った場合、平均的な働き方で労働時間を1日30分から60分短縮できるという。「ニッチなスキル」が世の中を変える力は意外に大きいかもしれない。




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山田豊(COMEMOスタッフ)

日本経済新聞社のCOMEMO担当。日経記者、デスクをへて2017年10月からCOMEMOスタッフ。※投稿する内容は個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

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