人類の英知、それは計算能力 量子コンピューターが変える世界
「計算力」「計算能力」という言葉からみなさんは何を思い浮かべますか?
「そろばん」「暗算」「計算ドリル」ーー? もちろんそのような身近な「算数力」も含まれるでしょうが、今回は「難題を解決する力、能力」という定義がふさわしいでしょう。歴史を振り返ると、人類は計算能力を磨くことで「手に負えない問題」を克服してきました。
あきらめていた問題に光
計算能力が世界を変える――そんな視点に立ったのが、日経電子版の大型連載「Disruption 断絶の先に」の新シリーズ「時は金なり」の第1回です。
科学技術が進んだ現在でも、選択肢やその組み合わせが多すぎて解決できない問題は数多くあります。みなさんが職場や家庭、ひいては人生のなかで「なんとなくすんなりいかないこと」がありませんか? 私にも思い当たる節はいくつも……。それらの根底には同じ問題が横たわっているようです。
記事では「渋滞の解消(多数の車の最適ルート検索)」「新薬や素材の開発(基礎研究が開発に結び付く確率)」「工場のコストダウン(製造装置の最適配置)」といった例をあげ、これら「計算能力の不足であきらめていた問題」に一筋の光が差し込んだと指摘しています。
所要1万年が3分余りに
その光とは、これまでのスーパーコンピューターで1万年かかる乱数の計算を3分あまりで解ける量子コンピューターの誕生です。
「量子コンピューター」って? こちらもご参考に
そんな量子コンピューターが一般的になったら、世界はどう変わるのでしょうか? 2019年にスパコンの性能を上回る計算能力「量子超越」を証明したと発表した米グーグルのピチャイCEOは「気候変動から病気まで、世界で差し迫った問題を解決できると信じている」とコメントしています。
負の側面にも目を
量子コンピューターがもたらすディスラプション(創造的破壊)は人類が直面する問題解決の切り札になるかもしれない一方、「できないはずのこと」が「できてしまう」マイナス面も記事では指摘しています。さて、どんなことでしょうか? 皆さんも本編記事をお読みになって、量子コンピューターの「超計算力」が変える世界のありようをお考えいただければ幸いです。
先端技術から生まれた新サービスが既存の枠組みを壊すディスラプション(創造的破壊)。従来の延長線上ではなく、不連続な変化が起きつつある現場を取材し、経済や社会、暮らしに及ぼす影響を探ります。
「Disruption 断絶の先に」まとめ読みはこちら
(日本経済新聞社デジタル編成ユニット 澤田敏昌)