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マンガ出版各社、無料配布で地域の書店を応援=ドイツ

ドイツのマンガ出版各社は、日本のマンガを無料配布するイベント「Manga Day 22」を初開催します。配布先は地域の書店に限定することから、いわゆる「街の書店」を応援する効果もありそうです。今回はそんなドイツの出版業界の取り組みについて考えてみたいと思います。

ドイツ、フランクフルトの「街の書店」(筆者撮影/加工)

日本では地域の住民が利用する「街の書店」が消えつつある一方で、残そうという取り組みも盛んです。日本経済新聞でも作家が経営に協力したり、地域に貢献する事例が報じられています。

では、ドイツの出版社が仕掛ける8月27日に開催される「Manga Day 22」とはどういうイベントなのでしょうか。

「Manga Day 22」は、日本のマンガをドイツで翻訳、出版するカールセン社、エグモント社といった老舗大手や、altraverseやManga Cultといった新興勢力など、出版社7社(8レーベル)が、選りすぐりのタイトル25本の特別版を無料で配布する1日限りのイベントです。配布先は地域の書店となっており、ドイツと同じドイツ語圏のオーストリアで、720カ所を超える一般書店やコミック専門店がイベントに協力すると書籍業界のメディアが伝えています。

筆者の住むフランクフルトでも参加書店があると知り、様子を見てきました。

すでに無料配布マンガは陳列されており(タイトル画像参照)、入り口にはポスターもあり準備は万端のようです。無料配布マンガは特別版ということで薄い冊子を予想していたのですが、1冊1作品でページ数は120ページほどあり、「タダでもらっていいの?」というレベルでした。といっても、1日限りのイベントで配布仕切ってしまうのでしょうか。余ったら翌日以降も配布するのかなと思い、お店の人に聞いてみました。すると、「あっという間になくなるわよ」とのことで、マンガ人気をうかがえる瞬間でもありました。

「Manga Day 22」の参加店であることを示すポスター(筆者撮影)

さて、この「Manga Day 22」にはどういう意図があるのでしょうか。書店/書籍業界紙によるとおよそ、出版社が地域の書店と協力することでメディアとしてのマンガメの価値を高め、成長ジャンルをさらに推し進めるものと説明されています。

考えてみると、出版社にとってはあくまで販売促進の一環なのかもしれません。一方で、近年、町の書店はオンライン販売や電子書籍の拡大により、経営が厳しいとされるのはドイツも日本も大差はないと思います。さらにドイツではコロナ禍による規制で、書店も一部の特例はあったものの基本的には小売店として厳しい営業制限を課されてきました。書店側にとっても、お店に足を運んでもらう機会が増えることは大歓迎なのです。書店、出版社の双方にメリットがありそうです。

え、だから?と思われる方もいるかもしれません。マンガの無料サンプルの配布は今までも日本やドイツで行われてきました。

あえて今回取り上げたのは、ドイツでは本来はライバル同士である出版各社が協力して、マンガ出版業界全体で書店業界とコラボするという「規模」に筆者が魅力を感じたからです。1日限りのイベントとすることで祝祭要素が加味されるわけですが、そういった経済・文化の営みに日本のマンガが貢献するという構図はもっと注目されてもよいのかなと思いました。

皆さんはどう考えますか?


<おまけ>「Manga Day 22」の公式サイトから無料配布されるタイトルの一覧ページのスクリーンショット(記事作成時)を作成してみました。ドイツのマンガ・トレンドがうかがえるかも。

「Manga Day 22」の配布タイトル一覧

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写真撮影・Kataho

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