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2020年をGOOD SURVIVEする

早いもので、2020年もあっという間に半月が過ぎた・・・!

2020年というのは、人口動態を含めた日本の大きな転換期になる年。オリンピック開催というビッグイベントもあり、本当に重要な年になるのだと思う。
お陰様で2011年から約10年で大きく成長させて頂いたMOTION GALLERYも、世界がNEXTDECADE(次の10年)という新しい周期に向かっているのと同様に、新しい10年の社会に何ができるかを改めて考える時にきたなと思い、新年のご挨拶も兼ねて所信表明のページを公開した。

取り組みたい「3つの課題」

・ 新しい公共
・分断から連帯へ
・更なる新しいものづくり

なぜMOTION GALLERY新たなる10年で取り組みたいのがこの「3つの課題」なのか、というのはページでぜひご確認いただきたい。
この3つの課題に対して具体的にどの様なアクションをとっていくかというのはこれから順次発表していくが、すでに動き出しているアクションもある。

『GOOD SURVIVE』が始まる!

・更なる新しいものづくり

に対する1つのアンサーとなるべく株式会社ロフトワークさんと一緒に、足立区でスタートする足立区産業支援プロジェクト。
足立区で活躍する地域産業の担い手が次のステップに踏み出すためのプロジェクト。ここでは、産業とまちに関わるさまざまな人とともに、新しいつながりと事業の可能性を見つける場を作っていく。プログラムづくり自体からコミットしたのでとても今から楽しみ。

足立区は製造業が多く、多くの製品をメーカーに納めている、まさにtoBの事業者が犇めいている地域だ。この足立区の魅力と新しい産業の未来を考えていくなかでは、toBに留まらず、直接自分たちの作っているものや技術を受け取る生活者の顔が見える関係性の獲得も確実に必要になってくると思う。

そう、足立区は実は、今世界的に勃興している新しい市場『D2C』の可能性に満ちあふれている場所でもあると思う。

そんな未来に向けてチャレンジしていきたい本プロジェクト。
少しでもピンと来たら、ぜひ1月26日 (日)に開催の
これからの足立の仕事と暮らしを考える作戦会議
GOOD SURVIVE “TALK” Vol.1
にお越しください。


これからの”地域振興”の目指す場所

この新しいプロジェクト『GOOD SURVIVE』は、”suburbia(郊外)で心地よい形で生き残る”という意味を宿している。

心地よい形で生き残っていくとはどういう意味なのか。
それは、

・中心 VS 郊外
・メーカー VS サプライヤー

というような”境界”が明確だった時代の「発展」という言葉が持つ「中心に向かわなきゃ」「成長して大きくならなきゃ」という、過度のプレッシャーを伴った拡大再生産のテーゼから脱し、デジタルトランスフォーメーション(DX)の時代に入り生まれた”境界”が曖昧になる/曖昧に出来る状況を生かしもっとオーガニックでサスティナブルなエリアリノベーションというテーゼに向かうのが未来的なのではという考えがベースになっている。

地域・地球環境・働き手・ユーザーみんなに優しく、相互に心的な結びつきのある関係性があり、持続的にゆるやかに成長していく様に事業をデザインする人が多くいるユニークなエリア。そんな青写真が描けるプロジェクトになれればと思っている。

やはり、もともとものづくりのまちであり技術があるという足立エリアに、
DXによるD2C市場の急激な勃興という今の環境が掛け合わさると、
メーカーでもありサプライヤーでもあり、中心でもあり郊外でもあるという特異な面白いエリアになるポテンシャルがめっちゃくちゃあるのではとワクワクしている。

まさに、2020以降に生きる上でのQOLの高い生存戦略として、
拡大再生産による急激な成長・規模の成長というテーゼではなく、
エンゲージメントを高めた、オーガニックでコミュニティーベースのサスティナブルな成長というテーゼへの転換、それが2020年をGOOD SURVIVEする思考だと思う。

GOOD SURVIVEする為に向き合わなくてはいけない社会の分断

しかし何でも表裏一体というのか、DXによる様々な境界の融解が起こるのと同時に、移民問題や格差社会などここ数年で社会の分断という問題に加速が進んでいる感覚がある。もちろん人類史のレベルでみると「格差」がすくない社会の方が歴史が浅いかもしれないし、「格差」が開いている社会の方が常態だという説もある。しかし、「素晴らしかった時代」といわれるのはどの国でも、中産階級が厚く格差が少なかった時代ではあるのは間違いない。

自分たちがGOOD SURVIVEしていくためには、今起きている様々な境界の融解という現象が、「分断」ではなく「調和」の方向に向かわせる必要がある。それが、先に挙げた取り組みたい3つの課題に

・分断から連帯へ

がある理由でも有る。
GOOD SURVIVEとして打ち出した新しい成長の概念は、「調和」がその活力の根源であり、パーマカルチャーの様にすべての調和が整うと、ローコストでハイパフォーマンスの暮らしができて、しかもサスティナブル!という理想の様な形に向けた挑戦なので、自分たちだけが最適化できても社会が分断されて調和されていないとそもそも成立しない。

実際、半歩位先の社会を映し出すのが映画だとすると、今世界的に話題になっている作品が軒並み社会の分断への危機感が詰まっていることは偶然ではないだろう。この年末年始に映画を見ていてそこに更に自分は危機感を持った。

現在、公開中の映画『フォード vs フェラーリ』は、ローコストの車を大量生産する事で、まさに「中産階級」という発明とその拡大を実現し、”アメリカらしさ”を作り出したフォード社の話。中産階級が拡大し未来に希望あふれる輝かしい時代ではありつつも、同時にブルーカラーとホワイトカラーが明確に区別され始めた時代。この映画で描かれているアメリカを、現代の我々がどう捉えるべきかとても示唆深い映画であった。トランプ政権誕生以降のアメリカへの処方箋を示している(レーサーのキャロル・シェルビー(マット・デイモン)とケン・マイルズ(クリスチャン・ベール)のチームが、誰とわかりあえず誰とわかりあえて居たのかというのが重要だと思う。)様な映画でもあり、それがすごいと思った。

(フォードとフェラーリがレースで競い合う映画だと思っていたら、ほとんどフォードとフォードが戦い、シェリフと流れ者が戦う映画であって、全然イメージと違って驚いた。『3時10分、決断のとき』などを撮った僕の大好きな監督、ジェームズ・マンゴールドの面目躍如な素晴らしい映画。胸アツな西部劇が好きな人にはおすすめ。始まったばかりの2020年の私のNO1(笑)。監督がジェームズ・マンゴールドだったのは見てから気づきました。知らんかった。見逃す所だった・・・。)

しかしそんな、牧歌的で楽観的な黄金時代もいつしか終わりを迎え、格差と分断が広がるアメリカになった。その契機は「シャロン・テート事件」だったのではないかという問い、というか怒りをぶちまけた様な映画が、昨年公開のタランティーノの『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』だった。

経済がどんどん発展し、富めるものはハリウッドでセレブな生活をおくる一方で、そんな価値観をダサいと思う若者も多くなりウーマンリブやヒッピー文化が広がっていた、そんな多様な時代を迎えていたアメリカ。格差ははあれど分断はしていなかった事が映画では描かれている様に思う。

そこに現れたチャールズ・マンソンとその信者たちの凶行により、人々の社会の見る目が変わってしまった。牧歌的に信じられていた「連帯」や「安全」というものが全く共有されない人間が社会にいたということに慄き、自分たちの身を守ることにとてもコンシャスになっていく。後にうまれるゲーテッドコミュニティなどがわかりやすい例だろう。金持ちは自分たちの住まいの周辺に檻を建て、異質なものと自分たちを分断することで、安全を確保しようとする。

この流れは至極当然だと思う。
「どんな人でも人類みな兄弟」とオープンマインドでいるとマンソンの様な者達に襲われてしまうリスクが上がるなら、自分の身を守ることを第一にクローズドになるのは当然。しかしその当然の流れのなかで、分断が進み社会の共通言語だったり他者へのイマジネーションが失われた社会になってしまった。
こんなアメリカ、こんなハリウッドになちまったのは全部テメーのせいだマンソン。そんなタランティーノの怒りすら感じた。

「セキュリティ」は、分断と連帯を考える上で本当に重要なキーワードだ。

自分がそんな系統の映画ばっかり見ているからなんだろうけど、最近こんな感じで社会の分断をテーマに据えている映画が増えてきたなあと思っていたところ、2019年の後半からは更にドライブが掛かった映画が次々に出てきた。

「ゲット・アウト」がアカデミー賞にノミネートされ、脚本賞を受賞するなど大きな話題を集めたジョーダン・ピール監督による『アス』

社会現象にもなった『ジョーカー』

そして、第72回カンヌ国際映画祭パルムドール受賞したポン・ジュノ監督の『パラサイト』

まちがいなく映画史に残るこの3作には多くの共通点があると思う。
・これまでの格差社会の問題を描いて来た映画と違い、その先の「格差が固定化された社会」を描いている。

・これまで多かった第三者的視点だったり「”我々(=観客)”は多様性を受け入れるべき」という正義の視点ではなく、格差に追いやられた側からの視点、そして「自己責任」の論理により行き場を無くした彼らがもつ”我々(=観客)”への憤怒を物語の主軸に置いている
・コメディアンだったジョーダン・ピール、『ハングオーバー』などのお馬鹿コメディー映画を監督してきたはずのトッド・フィリップスがもはや笑えない映画を撮り始めた
・『アス』も『パラサイト』も、地下に住まわされた貧しい家族と、地上に住む富める家族との物語である

と信じられないほどの共通点がある。
『アス』も『パラサイト』に至っては、映画祭でそれぞれの作品をみたジョーダン・ピールとポン・ジュノ双方が、アメリカと韓国と違う社会を描いているはずがおんなじモチーフおんなじ問題意識の映画が同時期にうまれたことに驚きあっていたという話もあるらしい。

ここ1〜2年に生まれ、話題になっている傑作が、どれも社会の分断にフォーカスを当てて何かを掬い取ろうとしているという共通点に関して深く考えざるを得ないと思っている。

そんな中、この分断を連帯に変える”つなぐ”という行為について、とある作品を見て考えされられた。これが「分断から連帯へ」という社会課題に対してMOTIONGALLERYが取り組むことが出来るのではと考えるに至った出会いであった。

次回のエントリーはそのことについて書きたいと思う。

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大高健志@MOTION GALLERY
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