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防災を日常に浸透させるためにマーケティングができること

防災を生活に根付かせる可能性を探ることが最近のライフワークです。

こんな取り組みを始めています。

先日に上記プロジェクト「防災×マーケティング」をテーマとしたイベントを行った際に、興味深い意見がありました。

平常時に防災の準備をしようとは思わない

イベント時の防災に対する意見

この意見の中に、マーケティングの役割とは何か?を考えるヒントがあると思っています。

必要なタイミングで必要なものを届けることがマーケティングの役割

Googleトレンドで防災グッズの検索ボリュームが高まる時期を調べると、大きな災害があった際に検索・購買行動が起こっていることがわかります。

Googleトレンドのデータを加工
防災グッズ(ここでは非常食)は大きな災害が発生すると検索ボリュームが高まる

でも、本来は、防災は「備えて何かが起こった時に被害を最小限にする」ことが大切です。
なので、購買行動も「災害が起こる前」に発生することが理想です。

つまり、平常時に防災のことを考えることが大切ということですね。

この「平常時に多くの人が防災を考える機会をつくる」ためにマーケティング視点で何ができるかを考えていきたいと思っています。

いくつか考えていることを書いていきます。

日常で想起される機会を増やす

マーケティングの世界では「CEP:カテゴリーエントリーポイント」と言われる考え方があります。

CEP:カテゴリーエントリポイント
●そのブランドが持つ購買機会に基づく記憶連想のこと
●そのブランドが想起される入り口となる要素の数

(筆者の整理)
カテゴリーポイントを増やすことのイメージ

選ばれるブランドは、カテゴリーエントリーポイントが複数あり、想い出される確率が高い特徴があります。

カテゴリーエントリーポイントの重要性はこちらの記事に詳細が書かれています。

売り上げ = 利用機会の数 × 各利用機会での購入回数 × 単価

日経クロストレンド:未顧客を顧客にする入り口「CEP」とは 既存顧客も取り込める

防災を日常に浸透させるためには、
1. カテゴリーエントリーポイントを増やす
2. カテゴリーエントリーポイントを強くする
この2つが重要になるということですね。

カテゴリーエントリーポイントを増やして防災を日常に浸透させている事例

非常食の中でも、日常に浸透しているブランドは、カテゴリーエントリーポイントを増やす工夫がされています。

素晴らしいのがみんな大好き日清商品のカップヌードルです。

カップヌードルは、非常食としての定期便サービスを提供しています。

「もしもの非常食に、いつものカップヌードル。」
「いつもともしもにそなえるローリングストックをはじめよう」

日清食品のサイトより引用

カップヌードルは防災シーンだけではなく、日常生活の中で多くの想起されるシーンがつくられています。

・日常で食べる(気軽に食事をとりたいときに食べる)
・キャンプ時に食べる
・防災・非常時に食べる
・栄養補給のために隙間時間に食べる
・忙しいとき、時間がないときに食べる
・海外旅行時に食べる etc

カップヌードルのカテゴリーエントリーポイント

このように、カップヌードルは、多くのカテゴリーエントリーポイントを持っており、選ばれる確率を高めていることがわかります。そのひとつに「防災・非常時」の想起シーンが入っています。

社会課題解決のためには想起シーンを増やす

防災に限らず社会課題解決は、ニッチに攻めて関心をもっている人だけに届けるだけでは根底の問題解決につながらないと考えています。

おにぎりアクションは、この想起シーンを増やして社会課題解決につなげる素晴らしい事例です。
(一緒に活動している、防災ベンチャーKOKUAのメンバーに教えてもらいました)

おにぎりアクションとは
写真を投稿することで、
アフリカ・アジアの子どもたちに給食を届けることができます。

おにぎりアクションとは

当事者意識を持ちにくい食糧問題に対して、
・強いカテゴリーエントリーポイント(おにぎり)をつくる
・おにぎりのレシピの豊富さ、手軽さが想起シーンを広げる
→関心をもつ人が増えるという仕掛けになっています。

まとめ

マーケティングが社会にとって何ができるかをまとめます。

想起シーンを増やす仕掛けをする
=その社会問題を自分ゴトと捉えることを増やすこと。

これが、社会課題に対してマーケティング視点でできることの一つだと思っています。
(もっとたくさんありますが)

防災に関しても、より未関心・未対策の人の認識を変えるためのアプローチができるかが鍵になると思っており、ここを動かすアプローチの可能性を探っていきたいと思います!

防災に対する必要性を感じていない、未対策の人にどこまで届けることができるかが重要

社会にとってマーケティングは何ができるのか?

この問いと楽しく真剣に向き合っていきます。

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