日経世界シェア 成長産業に弱い日本、忍び寄る韓国
毎年、夏になると日経が「主要商品・サービスシェア調査」の結果を公表している。今年は、昨年の74品目よりも6品目減り、代わりに2品目(車載電池、電気自動車)が増え、70品目の結果がでている。日本勢の首位は7品目にとどまり、米国と中国企業の強さが際立つ結果となっている。また、2020年度はコロナ禍にあって影響が大きいかと思いきや、対象となっている品目では市場の成長性や順位変動などで大きな影響を見て取ることができなかった。
このNOTEでは、2017年度から毎年の結果をまとめているが、今年の結果を過去と比較してみてみたい。下図は、各品目で1位を5点、2位を4点、3位を3点、4位を2点、5位を1点に振り分け、上位6カ国をまとめた。各国のデータに含まれている品目数が多少異なるために単純比較はできないが、おおよその傾向を見て取ることができる。
米中の二強体制となっている世界市場
4年連続で首位のアメリカは、スコアに多少の増減はあるものの、他国を寄せ付けない強さをみせている。
2位は中国だ。中国は2017年までは第3位だったものの2018年に浮上し、年々、スコアを上昇させている。しかし、アメリカとの差も縮小する傾向にあり、中国企業の勢いを感じさせる。
3位は日本である。日本は2017年までは第2位だったが、中国に抜かれてからは第3位に甘んじている。そして、年々、スコアは減少傾向にあり、国際競争力がじわじわと減じている様子がわかる。
4位は韓国だ。韓国も大きな変動はないものの、少しずつスコアを伸ばしている。特に、日本企業が得意としていた市場での順位変動という形が多く、日本企業の国際競争力を失った分を韓国がそのまま獲っている側面が強い。
5位はスイスだ。小国でありながら、企業の国際競争力が強い。また、競争力のある市場では圧倒的な強さをみせるため、経年でのスコアに変動がないところも特徴だ。
6位はドイツである。ドイツは日本と似ており、スコアが毎年減少傾向にある。特に、先端技術が求められる分野で米国企業と中国企業に押されている。例えば、電気自動車ではフォルクスワーゲンは米中企業の後塵を拝している。新産業創造に課題があることがわかる。
成長市場で勝てない日本とドイツ
次に、対前年比で成長している品目と減少(低迷)している品目で分け、各国の比較をしてみた。区分けをしてみると、競争力を落としている国と競争力を維持ないし向上させている国では優位性をもっている品目に違いがあることがわかる。
競争力を維持しているアメリカとスイス、向上させている中国と韓国では、成長市場での品目でシェアを獲得していることがわかる。反面、競争力を落としている日本とドイツは低迷市場でのシェアが高く、成長市場でのシェアが低い。つまり、成長市場での産業創造や事業投資ができていない。
日韓が逆転する日が笑い話ではなくなってきた
今回のグラフには出てきていないが、ドイツの次点にはオランダが位置している。韓国、スイス、オランダが高順位につけているということは、国際競争力に国の規模は大きな影響を与えないということを意味する。特に、対前年比で品目数が減っているにも関わらず、トップ10の国で中国と韓国のみがスコアを伸ばしている。つまり、単純な数値の変化以上に、中国と韓国企業の国際競争力が伸びていることを意味する。
このままいくと、日本と韓国の順位が逆転する日も遠くない。韓国企業は成長市場に集中投資し、限られたリソースを配分することに非常に長けている。企業単位でみたときの韓国は、日本と欧州の企業にとって脅威だ。特に、成長市場では日韓の差はほとんどない。何も手段を講じないままでいると、日本は東アジアの劣等生となる未来が待っているだけだ。