あの日々ポスター

映画『あの日々の話』の公開によせて

実はこのnote、本当は前回に続くのは大学でのアートとの出会いやMOTIONGALLERYの立ち上げについて時系列で紹介していくはずだった。しかし、今取り組んでいる映画『あの日々の話』の劇場公開初日を迎え、この作品の良さを伝えなくてはといてもたってもいられない。

今回からは特別編としてこの映画について書くことにする。
僕は映画『あの日々の話』のプロデューサーをしている。これは東京藝大以来、初めての事だ。

始まりは、監督・玉田真也との出会い。オリジナルショートムービー『シェアハウス』(監督:内田英治)完成披露イベントの時だった。

「この人めちゃくちゃ面白い本を書ける人で、絶対変な人だ」

強烈な印象を持ったのを今でも覚えている。聞けば青年団所属の演出家とのことで、演劇界では大注目の舞台演出家。しかも独立映画鍋にも所属したと聞き、近い将来映画監督になるだろうという期待に胸が高鳴った。そしてその機会は思ったよりも早く訪れたのだ。

もともと舞台だった『あの日々の話』の再演の知らせと共に、クラウドファンディングの相談があると言う。それが『あの日々の話』映画化プロジェクトの始まりだった。

ここでストーリーを簡単にご紹介しよう。大学のサークルの男女がカラオケでオールする、というシンプルなワンシチュエーション。シンプルな設定のなかで人間臭いドラマが繰り広げられるコメディだ。

その面白さは舞台ならではのものも多く、映画化の難易度が高いことはわかっていた。それを含めて面白さを感じ、クラウドファンディングを一緒に取り組み始めた。

映画化の話が進み始めチーム編成について話が至ると、偶然にも立ち上げたばかりのMOTION GALLERY STUDIO(映像制作などを専門に行う別会社)に所属している鈴木徳至プロデューサーにオファーをするという。この偶然に強烈な縁を感じ、MOTION GALLERY STUDIO の第一段作品として全面的にバックアップしていこうと決断した。

いざ撮影が始まってみればさすが、舞台で経験を積んだ役者陣と監督。さらに映画美学校の素晴らしいスタッフが揃ったことで恐ろしいくらいスムーズに撮影が進んだ。プロデューサーとしての苦労はほぼないと言っても過言ではなかった。映画が完成すればトントン拍子に「東京国際映画祭」に入選。もちろん待ち受けていた困難はあったけれど、それは次回書くとして、この作品の「持ってる」具合は神がかっていたのだ。

それにはこの作品にしかない魅力があるからだと僕は確信している。
「この映画に切り取られた”あの日々の話”は気味が悪いほど観客の体験と符号する」ということだ。
この映画を観れば、おそらくほとんどの人が「私の大学時代だ!」「なんで私のサークルで起きた事を知っているの?」と困惑にも似た気持ちを抱くだろう。実際の体験のように思わせるほど細部まで煮詰めた緻密な描写力が、この作品の凄みなのである。

30年前に大学生だった人、現役の大学生、大学に行かなかった人、もっと言えばくだらない青春の日々を送った全ての人に突き刺さる汗臭く、甘酸っぱく、どうにもならない「若さ」がそこにある。

「学生の内輪盛り上がりの話」という声もある。社会批評性がこの映画にあるのか?という問いだ。もちろん僕は確信を持って「ある」と言えるが、それも含めぜひ劇場に来て確かめて頂きたい。すくなくとも、あなた自身の青春を振り返る至高の一夜、いや100分になるはずだ。

お陰様で4月27日の劇場公開初日は19時の回、21時の回共に満席御礼でした!
上映後のトークショーも、舞台から考えると何年も取り組んできた『あの日々の話』のキャストと監督とのやり取りが会場を爆笑の渦に!遂にスタートした劇場公開、はまだまだこれから。

ぜひゴールデンウィークは渋谷ユーロスペースに!


頂いたサポートは、積み立てた上で「これは社会をより面白い場所にしそう!」と感じたプロジェクトに理由付きでクラウドファンディングさせて頂くつもりです!