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ECBの利下げは”やはり”4月

向こう数ヶ月間で食品とコア財のディスインフレが急ピッチで進み、欧州の総合インフレ率が徐々に改善する可能性は大きい。特に、電力料金とガス料金は依然として卸売価格ほど下落しておらず、今後、卸売価格の下落に追い着く余地が残っていることを考えると、ユーロ圏の総合インフレ率が2024年第3四半期にECBの目標である2%を一時的に下回ると考えられる。BNPパリバの基本シナリオでは、2024年の平均コアインフレ率が2.2%、2025年には2.1%になると見込んでいる。


インフレが抑制的になるという見通しに対しては、2つの反対方向のリスクがあるとみている。1つは、我々が想定しているよりも速いペースでディスインフレが進む可能性で、もう1つのリスクは、ユーロ圏の賃金上昇が予想以上に強くサービス・インフレを下支えする可能性である。

前者については、ここに来て、紅海経由の海上輸送に障害が生じていることにより、世界的サプライチェーンの緊張が再び高まっていることが指摘できる。ただし、最終財価格にその影響が現れるのは6ヶ月以上先になる可能性が高く、こちらのリスクを過度に見る必要はないのではないか。一方、短期的に見れば、ECB政策理事会が後者のリスク(即ち、賃金の伸び)を重要視し、ディスインフレ傾向の継続を裏付けるより多くの確かな材料を確認してから、金融政策の緩和を進めようとすると考えている。この考え方からすると、向こう数週間、現在の利下げを織り込んだ市場のプライシングをECB理事会メンバーが積極的に支持する可能性は低いであろう。まさにラガルド総裁が言う通りである。

しかし、さまざまな点を総合した上で、これまで通り、ECBが4月に利下げを開始し、今年中に合計75bpの利下げが行われるのではないかと見る。とはいえ、現在のインフレ環境と成長環境は大幅な利下げ局面を正当化するものではなく、むしろ利下げは政策金利をより中立水準に近づけるための調整の色彩が強いということも指摘しておきたい。


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