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マイナンバーカードを使わせたければ、デジタル庁は、財布の観察が重要

デジタル庁の方に進める、デパートの財布売り場観察

 2021/9/1に、デジタル庁が開庁した。これにより、日本の行政サービスのデジタル化、そして諸外国にない行政サービスのデジタル・トランスフォーメーションが加速すると思う。本当に期待するところが大きい。

 デジタル庁が進めるプロジェクトの中には、「マイナンバーカード」の有用性を高め、活用度を高める取り組みもあるるだろう。この時に、多くの場合、マインバーカードの「有用性」や「デジタル技術」に焦点が多く当たるが、デジタル・ツールの普及の為には、利用者の理解が重要だ。

 そこで、もしこの記事を、デジタル庁の方が、ご覧になっていたらお願いしたい。「マイナンバーカード」の機能、サービスの議論の前に、「デパートの財布売り場」の観察を、お願いしたいのだ。

マイナンバーカードを、常時携帯させたいならば..

 この「コロナ禍」になり、皆さんの財布の中身、つまりお金の支払い方に変化はあっただろうか?私は、圧倒的に、「通貨・紙幣」の対面での支払いを意識的に減らした。通常の支払いは、携帯電話に入っている電子マネーか、財布に入っているクレジットカードとなった。その結果、私の財布には「通貨・コイン」が入っていない。「紙幣」も入っているが、いつ入れたか不明なくらい、相当前だ。

 通貨・コインがなくても、買い物ができ、紙幣もあまり使わなくなったので、あるとき「財布」を変えた。新しい財布は、紙幣が3つ折りで収納される、小さな財布になった。そして、その財布に変えた結果、私の財布には、カードは3枚しか入らない。選ばれし3枚のカードは、健康保険証とクレジットカード2枚だ。

 マイナンバーカードという、私たちの行政サービス用確認アイテムを、「カード」タイプしたということは、本当は常に携帯してもらう設計だったのだろう。が、私の財布には、「マイナンバーカード」が入る場所はない。

 この財布に、「マイナンバーカード」を入れるにはどうしたら良いだろうか?他のカードを押しのけて、「マイナンバーカード」が入るか、大きな財布に変更させないといけない。

 とこで、デジタル庁の方は、このようなマイナンバーカードの利用者の、マイナンバーを常時携帯できるかの、環境を知っているだろうか?おそらく、生活者は、カードを無限にしまえる「ドラえもん」のポケットを持っていると思っていないだろうか?

 いくら良いサービスを、マイナンバーカードに付帯させても、それがマイナンバーカードの携帯率や普及率につながるかといえば、必ずしもそうではないのだ。

 だから、デジタル庁の方は、まずマイナンバーカードの利用場面、携帯方法など、普通の国民の生活の観察をお願いしたい。それは、他人でも良いし、自分でも良い。だって、デジタル庁の方は、マイナンバーのユーザーなのにも関わらす、どこか他人ごとにマイナンバーのサービス設計や、拡張を考えていると思えるからだ。国民である自分も使いたいサービスにする。そして、自分も持ち続けたくなるカードにすることが重要だろう。

デジタル・ツールの普及は、デジタル・ツールの機能だけではない

 このように、行政サービスをデジタル化する議論を行う時には、そのサービスのデジタルでの「素晴らしさ」の議論も重要だが、利用者の利用環境の観察も重要だということである。

 実は、これは今までの行政サービスの設計と大きく異なる。今までの行政サービスは、提出書類の書式の設計も、提出方法も、行政側で決めて、国民はそれに従ってきた。しかし、デジタルでは、国民がそのデジタル・ツールを使いたいと思わないと、デジタル・ツールは普及しない。そして、せっかく作ったデジタル環境が、全く使われないまま、不要になることもある。

 デジタル庁には、多くの民間人が登用されていると聞いている。ぜひ、その方達は、民間企業の会話である「これ使われる?」という普通の議論を、きちんと行って欲しいと思うのだ。

さらに大事なことは、ツールの良さとツールの信頼度

 行政サービスのデジタル・トランスフォーメーションは、もちろんデジタルの理解は重要だが、それと同様に利用者の理解も重要だ。

 先ほど、財布の話をしたが、本当は、財布にも価格の幅がある。百貨店で財布を買う方は、ある意味、安定収入者だろう。つまり、百貨店での財布の購入観察では、不足部分もある。

 デジタル庁は、まず国民の観察が必要だ。それは、デジタルだけではなく、通常の生活の理解こそが、これから国民の税金を投入して、みんなが利用し続ける、失敗しない、デジタル関連プロジェクトにつながる。




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