タピオカが流行ったように唐揚げ店の流行は日本でも起こる?中国で唐揚げ店大流行の分析
最近の日本はタピオカブームが落ち着き、代わりに唐揚げ専門店が増えているそうですね。
この現象は実に面白いと思いました。なぜなら、少なくとも五、六年前から中国のあちこちで唐揚げのお店が出現していて、種類も豊富。僕や周りの友達たちもけっこうな頻度でテイクアウトしてお酒のつまみにしてます。
今日は中国の唐揚げのお店事情を紹介します。日本でビジネストレンドが加速する際のヒントがあるかもしれませんよ!
まずはイメージしやすいようにメニューの画像を持ってきました。
↑チェーン店から独立経営やチェーン店の偽物まで様々あるのですが、これらのメニューが基本です。13元で手のひらより大きい「大鸡排」が看板メニューで、カットせずに食べることを主張する店では絶対カットしてくれないです。でもそうじゃない店はお客の要望に応じます。
他にも、とろとろチーズが入ってる鶏や、砂肝の素揚げ、いかの天ぷら、ドラムやウィングの唐揚げ、芋やかまぼこがあります。また、店によって串の素揚げやチキンバーガー、ミルクティーなども提供しています。ちなみに中国は食べ歩き天国なのでみんな普通に揚げたてのを食べてます。
この盛況ぶりには中国メディアやビジネス界隈も注目。いつも利用している論文のデータベースでもまさかの唐揚げチェーン店についての文章を発見しました。
↑2013年から2020年に新規登録された唐揚げの店舗数を年別に。2016年から一気に普及した形ですね。ぼくの住んでるところでは2014年ころからぼちぼち出店されていた感じですね。
そして文章によると、2014年から中国の唐揚げのお店の工商登録数がものすごい勢いで伸びてました。2020年末時点で営業している店はなんと5万店舗を超えてます。
↑また、全国で100以上の店舗の大手チェーン店は約10ブランドがあります。一番トップである「正新鸡排」は全国で2.2万店を超えていて、よく見かけますね。ぼくがいつも利用している「第1佳大鸡排」も全国で1000店舗以上を持ってます。
↑最初にブームに火をつけた「正新鸡排」では唐揚げ以外にも人気な商品があります。ミニ串の素揚げもかなり美味しい。店のデザインとメニューの表示はちょっと地味。提供している商品の種類が多いので、このサイズのお店が多いです。
↑こちらは創業9年でちょっと出遅れた2番手の「第1佳」。少し今時風なデザインのお店ですが、基本的に店が狭いです。
↑普通は注文してから揚げますので、ショッピングモールの飲食フロアや学校の近くにあるお店はよく行列になります。注文してから揚げるまで道端で待って、番号が呼ばれたらもらいに行きます。待つのがいやであれば、時間を計算してデリバリーアプリで注文して、会計するときに「自ら取りに行く」を選べばリモート注文が完成。
もちろん、揚げたてにこだわなければ、デリバリのお兄さんに送ってもらうこともできて非常に便利です。
ではなぜこのような店が中国で一気に広がったかについて、調査した論文ではいくつかの理由が提示されておりました。その論文や自分の分析をシェアしましょう。
まず、業界最大手の「正新鸡排」の成長ぶりに注目が集まり、資本がこの市場全体に注目しました。唐揚げ店は利潤率が高いため、ある程度の人通りがあるところでそこそこ集客できれば商売が繁盛するといいます。
原材料となる鶏肉が安く、店には席やテーブルを用意する必要もなく店舗の家賃も安く抑えることができる。大手に加盟することができる(し易い)とお店のデザインやブランドのイメージ、メニューやスタッフのトレーニングまでシステム化されたものを活用することができるため、少ないお金でもきちんとした店舗で起業できます。
普通の中華料理店や火鍋のお店を作るには、初期費用としてだいたい100万-300万元が必要となります。しかし唐揚げのお店の場合ははるかにコストを抑えられます。
「正新鸡排」のオフィシャル資料によると、加盟費、保証金、管理費、店舗デザイン費、最初の仕入れ費用など、加盟店一つを作るなら11万元があれば大丈夫です。また、ある程度調理済みのものを揚げるだけなので、品質の管理が簡単(基本的にあげるだけなので唐揚げってコツさえ掴めば誰でもある程度のものは作れますよね)で、ほかの料理などのように特別な腕は必要ない。投資資本の面でも、技術の面でも、条件をクリアしやすいのです。
また、鶏肉が中国人が大好きなことも理由としてあげられます。鶏肉は中国で2番目に消費量の多いお肉で幅広く食べられてます。さらに長年で発展したサプライチェーンが成熟しています。マクドナルドやケンタッキーなどのフライドチキン市場も育成されました。それに安価で客単価が低いため消費頻度が高い。一級二級都市でも、ちょっと小さい町でも、と消費市場がとても大きいです。
ちょっと前の記事ですが、最王手の「正新鸡排」は2016年時点ですでに年商で70億元を超えていた。2013年の鳥インフルエンザを乗り越えて成長してきたストーリーはとても面白いのでまた機会があったら紹介したいと思います。
もちろんリスクもあり、今から始めたとしても大成功できるかは保証されません。「鸡排」市場が急成長している中、いくつかの問題にも直面しているのです。
その一つはすでに競争が激化してること。参入するハードルが低いということは参入者が益々増えることを意味しますね。加盟方式の選択肢も多いから訳も分からない店も乱立しています。なかには加盟費用やトレーニング費を目当てにするところ(詐欺業者)も現れてます。
そして、数が増えれば増えるほど、偽物が増えます。例えば台湾企業である「正豪大大鸡排」が大陸に出店してから、「豪正大大香鸡排」、「豪大大鸡排」、「正豪大鸡排」、「豪大鸡大大排」、「大大豪大鸡排」などの店舗が次々と現れました笑
また、管理不十分の加盟店は、一部の原材料は本部から仕入れをして他はタオバオなどのルートで安く品質の良くないものを仕入れ、混ぜて販売するケースも発覚しています。
低い客単価と同質化の商品は参入店が増えれば増えるほど問題になるでしょう。いかに他店舗との競争から生き残られるかはまだこれからの大きな課題の一つとなります。日本ではどのくらい流行しているのでしょうか?乱立したタピオカドリンク店はまだしぶとく商売してるのか、それとも記事で読んだように唐揚げ店にチェンジしてるのか。今回紹介した点を踏まえてビジネスをアップデートしてみては。
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(出典、参考資料)
周洪楚. 鸡排市场体量巨大 升级品牌和创新产品者才能赢得市场. 中国食品. 2020, 23, p. 83-85.
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