DXとかじゃなくて、社員にやさしくしてほしい。
いつからだろう。
デジタルトランスフォーメーション(DX)という言葉が使われるようになったのは。
なんて考えるとすぐに調べるタイプなので、さっそくGoogleトレンドに聞いてみた。
今から5年前の2016年頃から日本で言われはじめ、ちょうど今年の4月に話題のピークを迎えていた。
今や企業の中期経営計画には、必ずと言っていいほどDXというキーワードが入り、DX推進部なんて部署も当たり前になってきた。
一方でトレンドがピークアウトした感もあり、失敗に終わるケースも見えはじめた。
なぜDXがうまくいかないのか。
僕はDXにとって重要なファクターを「やさしさ」だと捉えている。
今日はそんな話。
■与えているものを奪わない、というやさしさ
とある社長が言っていた。
「うちは社員の雇用を守るために、DXなんてやらないんです」
この発言、あなたならどう感じるだろう。
「そんなこと言ってると、
時代に取り残されて、
競争力を失って、
結局、雇用も守れなくなりますよ」
と、アドバイスするのがDX的には適切だろうか。
もちろん表面的にはその通りだが、僕はこの発言に「仕事」と「やさしさ」に対する根本的なズレを感じた。
まず、この社長は、おそらく仕事をこの黄色い部分だと捉えている。
AさんでもBさんでも、できることが仕事。もっと言えば、誰でもできる作業のことを仕事と捉えている。だからそれをデジタルに渡さない、渡さないことで社員の雇用を守る。
その背景には自分が仕事を与えている、という意識が見え隠れしている。
自分が与えているものを、社員から奪わない。
それが社長にとってのやさしさだろうか。
■価値を追求させる、というやさしさ
先ほどの図を使って、仕事を4つに分解してみる。
Bさんができる仕事は①〜④の4つある。
① Bさんにしかできない仕事
② Aさんにもできるが、デジタルにはできない仕事
③ Aさんにも、デジタルにも、できる仕事
④ デジタルにもできるが、Aさんにはできない仕事
この中で、Bさんの市場価値に大きな影響を及ぼす仕事はなんだろうか。
もちろん①だ。仕事とは本来、①のことを指すべきだろう。
そして僕はDXを「社員に①を追求してもらうための手段」だと捉えている。
つまり、DXを進めることで、社員は自らの価値について考えるようになる。
「自分にしかできないこと」について考えるようになる。
誰でもできる仕事をする社員が多い会社。
ではなく、
その人にしかできない仕事をする社員が多い会社へ。
そんな体質変化こそがDXの本質だ。
必要なのは、やさしさの認識を変えること。
仕事は、与えるものじゃない。
ただ与えることが、やさしさではない。
やさしさとは何か。
まずは、それをしっかりと考えた先にあるのが、DXの在るべき姿だと思う。
サポートいただけたらグリーンラベルを買います。飲むと筆が進みます。