アメリカでのTikTok利用禁止騒動への中国ネット民の意見
アメリカでのTikTok排除のニュースは日本でも話題になっているそうですね。
TikTokは注目されているサービスなので話題には事欠きません。ByteDanceとの完全事業分離や、ディズニーからKevin MayerをヘッドハンティングしてCEOに任命したことにも驚きました。最近ではインドでのアプリ禁止も話題でしたね。
そして今回は、アメリカでの利用禁止が報道され、急にTikTokのアメリカ事業をマイクソフトに売却する、トランプからコメントが出て中止された、でもやっぱり売却か...と事態が二転三転していて、中国でも議論が盛り上がっています。
中国側の見解はあまり日本で取り上げられてないと思いますので、今回は過去の経緯と中国ネット民たちの意見を中心に紹介しましょう。
実はByteDanceはずいぶん前から国際関係や米中貿易摩擦によるリスクを回避しようと努力していました。TikTokのサーバーをアメリカに置き、バックアップをシンガポールに。また、アメリカの管理陣は中国版TikTokと完全に分離していて、コンテンツやデータの審査基準などももちろん異なります。
2017年8月、中国版TikTok「抖音」の1日あたりの平均再生回数が10億回を超えてから、ByteDanceは国際版「TikTok」をリリースしました。もちろん、コアとする競争力は中国版と同じくAIアルゴリズムです。
TensorTowerのデータによると、海外版TikTokのダウンロード数がすでに20億を超えてます。
サービスの普及もすごいのですが、事業としての成長も驚異的。海外版をリリースしてから2年間ちょっとの間で、すでに30カ国の180以上の都市に進出。総従業員数6万人以上の規模にまで成長。
しかしグローバルでの急速な発展において、各国での管理、ローカル化、プライバシー保護など様々な問題に直面しています。2020年3月までに記事に出たネガティブな内容はざっとこの程度あります↓
・2018年7月に子供に関する内容と宗教問題で、インドネシアでサービス一時停止
・2019年2月にアメリカの「児童プライバシー法」違反で570万ドルの罰金
・2019年4月に児童ポルノでインドでサービス停止、7月に再開したが1億ドルでデータセンターの建設を要求される
・2019年7月に「完全にアクセスできるコンテンツの提供」で未成年ユーザーに不適切なコンテンツへのアクセスリスクが高いとイギリスで調査される
・2019年11月にアメリカがTikTokのmusical.ly買収案についての審査が開始
・2020年1月にアメリカ陸軍のTikTok使用禁止を発表
・2020年3月にアメリカでデータの安全性に関する議論が始まり、政府機関のTikTok使用禁止に
・2020年3月にアメリカ運送安全管理局がTikTokへのPRコンテンツ発信を停止
TikTokが直面している問題のほとんどはデータとコンテンツに集中しています。今回のアメリカでの排除議論の焦点も同様ですね。
まずはデータの安全性について。もしTikTokのアメリカ事業をMicrosoftに渡せば、全てのデータをアメリカ国内に移し保管、アメリカ政府と法律の要求を満たすことができます。
そしてコンテンツの問題について。これはTikTokがUGCプラットフォームなので、それぞれの国の政策に従い丁寧に管理することしかできません。
中国ネット民たちが特に気にしてるのは、事業を完全にMicrosoftに売却するとしたときに、コアの競争力であるアルゴリズムも渡すのか?渡して良いのか?そしてMicrosoftがそれを上手く扱えるのか?です。
また、ByteDance側の弱気な対応にも批判的なコメントが集まっています↓
中でもCEO「张一鸣」の弱気な態度への軽蔑が多いです。コメントをざっとピックアップすると
・何も対抗せず降参している
・今回の無抵抗によって他の国も同様の対応をするかもしれない。イギリスやインドも真似して、ByteDance海外事業が全部売却強要されるかも
・今回こんな対応では次の中国企業が狙われてしまう
・ByteDanceは「節操なし、仁義なし、お金第一」
・CEOがアメリカ寄りと評価される、それは今の米中関係から中国でのByteDanceの評価が落ちることを意味する
また、他にあった面白い視点としては
例えばGoogleやTwitterなどのアメリカ企業が中国の法律に従えず中国市場から撤退したり、ブロックされたりしました。今回のように、中国企業のサービスであるTikTokがアメリカにとって都合が良くない場合、ブロックや撤退ではなく、サービスそのものが売却強要される運命になるのか。。こっちの方が深刻なのでは?
これは中国の人だからこそ持つ感想かと思います。
何れにせよ、TikTokは最も海外進出に成功した中国IT企業と言えるので、今回の騒動の結果は他の中国IT大手の戦略に大きく影響するでしょう。また何か話題があったらシェアしたいと思いますので、ぜひフォローください。
(参考資料)
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