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もし経営コンサルタントが元号を考えたら

新元号の発表は秒読み、4月1日。では、日本中がそわそわと待っているかというと疑問。「何でしょうかね・・・。ま、なんでもいいですけどね~」と先日、クラス前のヨガインストラクターがつぶやいた。

しかし、そう言ってもいられない!政府から学者に委託して「選考中」ということだが、この元号を背負うのは我々日本人全員。皇太子様が59歳ということは、おそらくこれから20年は、新しい元号を目にしない日はないわけだ。生まれる愛おしい子供に名前をつけるように、日本の将来を導くような、意味のある元号にしたい。

確かに元号は国際的に特殊だが、裏を返せば、日本が意志をもって将来を語るツールとして、うまく使えば諸外国へアピールする機会にもなる。

というわけで、「勝手」元号選考。もし、これが(実は私の本業である)コンサルティングプロジェクトのお題だったら?という想定で考察を進めてみた。

まず、基本ルール。実務的に、明治、大正、昭和、平成の頭文字M, T, S, Hは繰り返せない。これは結構大きな縛りで、濁音を除くと子音では「か」「な」「や」「ら」「わ」行または母音で始まる選択肢が残される。いくら流行りが記号的な「キラリナ」や「コピス」とはいえ、新元号が急に「ピョコリン」になることはなさそうだから、ここは伝統を重んじて漢字2文字で行こう。

次に、本題。日本にこう進んでほしいというビジョンをこめたい。昭和の宿題を片付けつつ大きな震災に見舞われ、「(「平に成る」と言いつつ本音は)高成長よ、再び」がついぞ叶わなかった平成その先に、何を我々は期待するのか?

プロジェクトならば、ここでクライアントとブレストを繰り返し、想いを引き出す重要な場面である。これからの20年環境の変化を予想しながら、候補として3つの方向性はどうだろう;

1. ひと回帰と成熟の日本
世界はシンギュラリティを迎え、人間はロボットやAIと共存する。働く意味も問い直される。日本は長寿国として、あくまでもひとを尊重した社会を築いていく・・・こんなビジョンであれば、思い浮かぶ漢字は「」「」「」?

2. 開かれた日本
内向き平成との差異として、日本が外にも内にも、開かれた国になるというビジョンである。江戸末期の開国をもう一度。異なる価値観の共存を尊ぶ多様性のある社会を目指す。思い浮かぶ漢字は「」「」「」「」?残念ながら、なぜか基本ルールで弾かれるものばかり。

3. 女性的な価値観を重んじる日本
昭和が大戦と復興を経ながら一貫して力強く男性的な時代だったとすると、平成では男性優位が大きく揺らいだ。今はビジネスでも「より強く」よりも、柔軟でアジャイルな女性的価値観が意識される。ジェンダー平等性で見劣る日本、男系天皇制と結びついた元号だからこそ、ここで女性をアピールする逆張りは?女の赤ちゃんに人気の名前を参考に(プロジェクトならば「ベンチマーク」と呼ぶだろう)、「」「」「」などはどうだろう?

最後に、仕上げである。二つのビジョンを合わせて例えば「愛翔」のように造語してもいいのだが、なにか宝塚の芸名のよう。白米なしにおかずばかり食べているようなToo much感がある。ここは敢えてひとつのビジョンに絞りたい。とすると、「ひと回帰と成熟の日本」ならば例えば「悠心」、「女性的な価値観を重んじる日本」ならば「恵愛」はいかが?

「悠心元年」。せわしない世の中、少しゆとりを持てそう?

候補を絞り込み、語感を考慮し、経緯とともにクライアント経営陣へプレゼン・・・と行きたいところだが、残念ながら元号プロジェクトは仮想。そもそもあまりに「密室」なその選考プロセスが国民の無関心を呼ぶ気がするが、日本国民の一人として、前向きで時勢にあったビジョンを感じる元号となることを願う。

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