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"推奨度"+"必要不可欠"+"純粋想起"で計測する"ブランド力"

NPSという指標を聞いたことがあるでしょうか?

マーケティングに関わる方の多くは実際に使ったり目にして来たのではないかと思います。今回はこれまで長らく使われてきた顧客ロイヤリティを指標化したNPS、そしてこれからの顧客ロイヤリティ、ブランド力をどのように計測していくのが良いかについて考えていきたいと思います。

NPSとは

NPSとはNet Promoter Scoreの略で、顧客ロイヤリティ(企業やブランド、サービスなどに対する愛着や信頼)を数値化するための指標のことを示しているのですが、知り合いや家族などにその商品やサービス、企業そのものを薦めたいと思うかの度合い(推奨度)をスコアに表しています。

下記が具体的な算出方法となります。

対象者に「商品をどの程度親しい人にすすめたいと思うか」を問い、0~10点の11段階で答えてもらう。その点数で回答者を「批判者(0~6点)」「中立者(7、8点)」「推奨者(9、10点)」の3つに分類し、回答者全体の「推奨者」の割合から「批判者」の割合を引いたもので表される。

シナジーマーケティング マーケティング用語集

MARKITONEによると、NPSを使えば、"今後得られる可能性のある顧客の存在や収益の予想が立てられるため、経営に活かしやすいことが大きなメリットとなります。また、お客様だけでなく従業員に活用することで働く側の不満を明らかにし、離職を防ぐことにも役立つ"と言います。

また、NPSは、商品、サービス、企業への指標プロダクトに対してのだけでなく企業が主催するイベントを含むコミュニティ活動に対しての参加者のロイヤリティを計測する際にも長く使われてきました。

NPSの新たな真実

マーケターや経営者に広く使われてきたNPSですが、最近その指標に関して驚きの調査結果が発表されました。

"コンサルティング会社M-Force(東京・渋谷)が実施した6カテゴリー、54ブランドを対象とした調査で、NPSは市場シェアの推移との相関性が最も低かったのだ。顧客のNPSが高くても、本人が当該ブランドを選ぶかどうかとはほぼ無関係であることを表している。" と記事の中では書かれています。

この調査を実施したM-Forceディレクターの竹中野歩氏はその要因を下記のように分析しています。

「NPSは商品やブランドの第三者への推奨度を示す指標だが、人に薦めるからといって、本人が買うわけではない。そんな消費者心理が、調査結果となって表れたのではないか」。

日経XTREND

NPSは自分の知人、周りの人にその商品、サービス、企業を薦めるかを数値化することによって、”未来"の状態を予測し経営判断に活かすことが出来る指標であると考えてきていました。確かに"人に薦める"というのはサービスの広がりを予測する上で重要な指標になると思います。しかし、今回の調査で、"人に薦めること"と"自分自身が利用すること"は異なることが分かったのです。

今後考えるべき指標とは

NPSが製品、サービス、企業の未来を予測する上で必ずしも正しい指標ではないとすると、どのような指標を追いかけていくのが良いのでしょうか。

NPSの指標である"誰か人に薦めたい"という状態はポジティブであることは確かです。しかし、その指標だけだと、当の本人がそのサービスを利用しないという状況があるため、異なる指標を見ていく必要があると考えています。

では何を追いかけるべきなのか?

それは、その製品、サービス、企業が存在していないと"困る"かどうかではないかと思うのです。そのブランドがないと困る状況で、その上誰かに薦めようと考えてもらえるのであれば、そのブランドの成長可能性は十分にあると考えられます。

純粋想起されるブランドに

人にとって存在していないと困るブランドであることに加え、そのジャンルにおいて、最初に想起されるブランドであるかどうかも大切な指標だと考えています。

ちょうどこの記事を書いている最中に、「どのようにすれば自分に合う魅力的なイベント、コミュニティを見つけたいと思った時にPeatixが純粋想起されるようになるか考えよう!」とPeatixのメンバーで話していました。
純粋想起」とは商品のパッケージ画像やロゴ、サイトの画像などのヒントがない状況でそのブランド名を挙げられるかということを意味しますが、そのブランドがサービスを提供している領域において純粋想起される状態は、ブランドの発展にとって非常にポジティブだと言えます。

まとめ

その商品、サービス、企業を他の人に薦めたいかどうかというNPSだけでなく、そのブランドが生活していく上で無くては困るかどうかの指標、そしてそのブランドがサービスを提供している領域で純粋想起されるかどうかの指標を合わせて見ていくことで、そのブランドの未来の状況を読むことが出来、正しい経営判断につながっていくのではないでしょうか。

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