音楽を生成させる人工知能への夢
ピアニストのグレン・グールドの演奏をディープラーニングに学習させ、グールドの演奏を現代に蘇らせる実験が行われました。グールドが演奏しなかった曲でも演奏させることができるとのことです。
https://newspicks.com/news/4328816/body/?ref=user_319873
今後に大きな可能性を考えさせる方向で、これはその第一歩だと思います。
私にはこれに関連して、以前から暇になったらやってみたいことがあります。
それは、沢山のミュージシャンの年齢を経ることによる演奏の変化を人工知能技術で学習させることです。人が歳を取ることによる演奏の変化には、明らかに法則性があります。大雑把に分類すると、マイルス・デイビスのように常に時代の変化を肥やしにしながら変化し続けるタイプの人と、ビルエバンスのように自分のスタイルを深め続けた人がいます。
どちらにせよ若いときの、初々しく張り詰めた表情が、年をとるとより円熟して落ち着き、ある種の深味が増していきます。多くの名盤は、そのキャリアの前半のある時期(いわゆる絶頂期〕に生まれます。
その変化、もちろん言葉では表現できない多様な変化がありますが、そのようなことをモデル化することこそ、機械学習が最も得意なことです。
ジャズのベーシストのスコット・ラファロは、ビル・エバンスとの共演が大変有名です。特に、アルバム「ワルツ・フォ・デビー」の冒頭の「マイ・フーリッシュ・ハート」の最初の深いベース音は、今もなお、新たに心を動かされる人を作り続けています。
ラファロは、残念ながら、ビル・エバンスとたったアルバム4枚分の演奏を残したきりで、25才で交通事故で帰らぬ人となりました。
もし、ラファロがその後生きていれば、どれだけ素晴らしい演奏を残しただろう、という思いを持った人は多いと思います。私もその一人です。
もし、上記のような人工知能技術が実現できれば、スコット・ラファロが長生きしていたら、どんな演奏をしていたかを聞けたり、例えば、その後の演奏家と共演させたりすることができないかと妄想しています。
スコット・ラファロがキース・ジャレットと共演したら、どんな名演が生まれるのか。想像しただけでわくわくします。
音楽は、データ化しやすいものなので、十分実現性はあるのではと思う次第です。