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中国NFTで新たな動き。テンセントがプラットフォーム閉鎖に向かっている

日本でも盛り上がっていたNFTの熱狂はTwitterなどを見ると落ち着いた感じがありますかね。中国ではそこまでNFTで熱狂は起きていませんということを何度か伝えてきましたが、つい先日大きなニュースが。

それは、大手のテンセントがNFTプラットフォーム事業から撤退するのではないかというもの。

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8月16日に「デジタルコレクションの提供を停止しプラットフォームからデジタルコレクションを購入したユーザーが返金を受けられるようにする」と発表した後はテンセントのTMEデジタルコレクションも最近「ほぼ停止状態」であることが話題に。TMEが発売した最新のデジタルコレクションは6月30日に発売された後3ヶ月何も発売されていないとのこと。

(※TMEというのは主にテンセントの音楽アプリQQ音楽と超有名カラオケアプリ全民K歌のことで、2016年にテンセントに買収された酷我音楽と酷狗音楽も含まれている)

その少し前の6月には恒生电子のマーケットプレイス「予藏」(Yǔ cáng)が停止。さらに8月以来は10以上のマーケットプレイスがデジタルコレクションを発行停止にしています。下の画像は8/1以降停止しているプラットフォーム一覧↓

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停止した場合の払い戻しについても問題に。販売価格で払い戻しをするところもあるが、プラットフォームが開発コスト、サーバー、オフィス、SMSの実名認証コスト、人事賃金、広報、マーケティングコスト...などたくさんのコストをかけたから販売価格の3割で購入者に返金するしかできないと発表しました。さらに返金されたにもかかわらず管理部門にクレームを入れる場合は返金が取り戻されているという理不尽も。また、ほとんどのプラットフォームは基本的に期限を設けているので期限切れにより機会を失うユーザーも続出。

この閉鎖ラッシュの前にはいくつかの取引所で価格が暴落したことも話題でした。

これらの出来事を経て、NFTアートや取引に関しては関連法規や政策文書の不透明さ、投機の対象とみなされ不安定な市場になっていること、デジタル・コレクティブルの新しい分野としての不確実性とリスクなどが議論されています。

そんな逆風の中にあるデジタルアートやNFT業界ですが、依然として資本の注目は高いです。9月には新たに2社がラウンドAで数千万元の出資を受け、今年に入ってから合計31社が大規模な資金獲得を行っているとのこと(詳細は下部の参考資料からご覧ください)

たくさんの取り組みや作品が出ている中で個人的に面白いなと思った企業の一つは元大陸。

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元大陸(MetaMainland)はデジタルアートをベースにするマーケットプレイスで、メタバース関連アプリのまとめ機能も設計されている。VR作品のIP運営やデジタルアートの取引に対応した支払い機能などMetaMainlandで完結できるエコロジーを示していて、キャッチフレーズとしてうたう”世界”のイメージが感じられます。

また民間企業だけでなく国有企業でもNFTマーケットプレイスが生まれてきています。9月2日に開催された2022 World AI ConferenceのGlobal Industry Blockchain Summitで発表された報告書では、現在中国国内のマーケットプレイスは700以上あり、そのなかには「NFT中国」、「Hi 元宇宙」(Hiメタバース)、「海豹数藏」(Seal Digital Collection)など20ほど国有のものがあることが記載されていました。

ただ、注目されていて資本と新しいプレイヤーが参加してきているとはいえ、テンセントのようにクロージングを検討している人たちもいるという状況。そして、冒頭のnoteのリンク先でも紹介したように中国のネット民の大半は冷静な評価と慎重な行動です。

実際に周りの友達と話してみると、「プロジェクトが乱立していて本当に次世代インターネットとして期待できるのか騙しなのか判別できない」って人がとても多い。「簡単に儲かる美味しい話はそんなにないから」という警察の騙しキャンペーンのセリフがあまりにも宣伝されていて、「どうせ騙しだろう」と勝手な先入観を持っている人も多いと感じています。

騙される人もかわいそうだけど、このような市場環境において本当に真剣にメタバース事業を行う人たちもかわいそうだなと。

日本メディアで中国のNFTのことを紹介する記事をちらほら見つけました。世界でも一時期の熱狂はだいぶ冷めていて、OpenSeaの取引額がピークから90%以上減少している、今年上半期の世界のNFT市場の取引額は10億4000万ドルで前年比74%減などの記事も目にしてます。中国は規制などもあり独自な進化をしていくのか、それともシュリンクしていくのか。

今後どうなっていくかは注目しています、また紹介したいと思いますのでぜひフォローしてお待ち下さい!

(参考資料)


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