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国産クラウド?

こんにちは。グローバルでDXの調査・支援をしている柿崎です。
今回は「国産クラウド」について書きます。
私は、国産クラウドに4年前から関与してきました。4年前はメディアで取り上げられることが全くありませんでしたが、昨年2021年からメディアで記事を見かけるようになりました。日本経済新聞でも、今年の4月以降、国産クラウドに関する記事をいくつか見るようになりました。
今回のnoteでは、すでに公開されている情報を基に、国産クラウドの基本、主に定義について考察します。

まず、デジタル庁、経済産業省、自由民主党の資料(以下リンク参照)等を読むと、国産クラウド以外に、ガバメントクラウド、超分散クラウド・分散型データセンター(データセンターを地方に分散させて立地すること)、セキュリティクラウド、などの言葉が散見されます。
今回は詳細な説明を省きますが、資料を読むと、これらの言葉は「国産クラウド」を指していると考えて問題ないでしょう。

デジタル庁:「政府情報システムにおけるクラウドサービスの適切な利用に係る基本方針」の改定について(2022年5月24日)

経済産業省:第4回 半導体・デジタル産業戦略検討会議「デジタル産業政策の新機軸」(2021年11月)

自由民主党:デジタル・ニッポン 2022~デジタルによる新しい資本主義への挑戦~(2022 年 4 月 26 日 )

「国産クラウド」という言葉に集約できたところで、次に「国産」について考察したいと思います。
国産クラウドを取り上げているメディアとして、日本経済新聞と日経クロステックがあります。
双方の記事を読むと、国産である必要性について触れつつ、国産であることに疑問を持つ記載も見受けられます。現実的に考えると疑問を持つほうが自然に思うことでしょう。

5月に成立した経済安全保障推進法に基づき官民協議会を設立して準備を進める。必要な経費は5000億円規模をめざす「経済安全保障基金」から出す見込みだ。国内の大手システム会社などとの協力を視野に入れる。
こうした海外企業のサービスを使うとサイバー攻撃などが発生した際に米国側の干渉を受けたり対応が遅れたりする懸念がある。日本人の個人情報を海外企業に委ねるリスクを指摘する声もあり、日本独自の設計が必要だと判断した。
国民データを国産クラウドに載せるのは当然と考えつつも肝心の国産勢がこれまで頼りなかったことから歯切れが悪くなる。改めて国民のデータを委ねる業務に絞り、クラウドの必要条件と十分条件を考えてみよう。

現在、日本のクラウド市場は米大手3社のアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)、マイクロソフト、グーグルによって寡占されていて、3社だけで国内市場の6~7割程度を占めています。この状況で「国産の技術のみで実際に利用されるクラウドをつくれるのか?」、「今さら国産クラウドを構築する必要があるのか?」という声が上がるのは当然のことでしょう。

また、ハードウエア、OS、アプリケーションの全てを国産で賄うことは現実的でしょうか。CPUをゼロから日本企業のみで製造したり、オープンソースを使わずに全てのソフトウェアを日本の技術のみで開発することは、非現実的であることは少し考えただけでお分かり頂けると思います。

まとめると、「国産クラウド」は、「日本主導クラウド」と読み替えると良いでしょう。とうことで、今後は「日本主導クラウド」という言葉を用いて説明していきます。

今回は、「国産クラウド」の定義についてのみ書きました。次回以降は、「日本主導クラウド」という言葉を使って、必要な理由、今後の方向性について書きたいと思います。

この記事の見出し画像は、「国産AIクラウド」と言われている「ABCI(AI Bridging Cloud Infrastructure )」です。国立研究開発法人 産業技術総合研究所(産総研)が構築し、2018年8月に本格運用を開始しました。2021年5月からは一般提供も開始しています。すでに「国産クラウド」が存在することをご存知ない方が多いのではないでしょうか。このABCIとの関係も整理していきたいと思います。

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