安倍首相、3選後に待つもの
市場では安倍三選という事実よりも、総裁選の過程で安倍首相が発した金融政策正常化を示唆する発言の方が物議を醸しています。麻生財務大臣も類似の発言をしていることから察するに政府・与党、日銀の狙いが形振り構わない物価上上昇から離れ、副作用抑制(ないし糊代確保)としての正常化に向かい始めている公算は大きいでしょう。
しかし、それが現実的に可能かどうかは別の話です。最後の任期となる安倍首相の思いはまずは初年度が雇用制度改革、2~3年目が社会保障制度改革にあると目され、言わずもがなの論点として改憲問題もあります。発議&国民投票、天皇交代、参院選という重要なイベントを並べた場合、スムースに改憲を行うにはあと半年以内に発議と国民投票の日程まではフィックスしたいところでしょう。政治日程の読みは私の専門分野ではありませんが、それは難しいという声も多いようです。安倍首相の限りある政治資源を日銀の金融政策という世論からすれば恐らくニッチなテーマに配分する可能性は、私は高くないように思います。
何より、安倍首相の発言を額面通り解釈しても、増税前にそのような挙動はとれないでしょうし、直後も無理でしょう。とすれば早くて2020年Q1でしょうか。その頃に米経済が元気でFRBの利上げも順調に続いており、しかも改憲問題も済んでいるという状況が必要な訳ですが・・・いうほど簡単ではないでしょう。