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996と揶揄されるブラック企業全盛の中国で6時強制退社を決めたテンセントが注目されてます

ご存知の通り中国のIT企業や新興企業はブラック労働環境が基本なのですが、この一件はそれが変わっていくきっかけになるかもしれません。最近中国で社会問題となっている「内巻」についてのnoteをたくさん書いてきました。

とうとうその内巻のレールを降りようとするITジャイアントが現れました。日本の皆さまにもお馴染みのテンセントです。

テンセントゲームの筆頭チームである「光子工作室」(光子スタジオ)が勤務時間の短縮を強制するようになり、これがネットで一気に話題になりました。

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↑「テンセントが強制6時退社を試行する」はWeiboで当日のトレンド1位に
(正確には毎日18時強制ってことはないんですが、詳細は後ほど)

光子スタジオは世界で大ヒットのモンスターゲーム「和平精英」(PUBG)や、中国の国民的オンラインカードゲーム「斗地主」を開発したスタジオでテンセントの稼ぎ頭の一つです。

スタジオは「従業員の仕事と休養のバランスに配慮し、家族と一緒の時間を大切にして、より良い心身状態で仕事に臨んで効率よく働いて欲しい」と発表。

発表された詳細な内容は下記のとおりです↓

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日本語でざっくり解説しますと

・6月14日から、「水曜日の健康日」制度を厳しく執行し、18時に全員退社しなければならない。
・それ以外の平日も21時までには仕事エリアを離れなければならない。
・残業しなければいけない仕事があれば事前に申し出をすることが必要。
・部門全体で残業した人が10%以上がいれば、次の週は全員が毎日18時に退社しなければならない。
・週末や法定休日は仕事しちゃいけない、違反した場合は連続4週間残業の許可が下りない。

もしかしてグッとホワイト化が進んでいる日本の方の中には「夜9時まで仕事することを“残業してない”とは言えない」と思ったかもしれません。しかし今までの中国の、そしてテンセントの働き方からしたら異例であり、この規定に従う場合は「光子スタジオ」の従業員は毎週49.5時間労働で、以前よりは16.5時間も減ることになります。

また、そもそもテンセントはインターネット大手企業の中では残業が少ない方です。大手IT企業の残業時間のランキングがまとめられていましたので、日本語を追加してシェアします↓

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↑ずらっと並ぶ、聞いたことがあるでしょう中国IT企業たちですが、テンセントはTOP8にすらランクインしてないです。

ちなみに1位のpinduoduoはつい先日過労死事件もありました。

そんなブラック労働化を突き進むIT企業とは異なり、テンセントの今回の決断はトレンド1位になったほど話題で、ネット民も激論してました。

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−めちゃいい会社ですね。まだ求人してますか。
−これが福祉なの?労働法じゃないの
−仕事の量が変わらなければ、仕事をする場所が変われただけじゃん

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−よって、月に電気代50万、残業食事代100万、残業タクシー代400万節約になるかも

中国のIT企業でなぜこんなにみんなが残業しているのかというと、競争が激しいことや求められることが多いということもあるのですが、企業側が残業する従業員に対してたくさんのGiveをしている(推奨しているともとれるが)点があります。

たとえば、残業していると夜食が支給される、帰りのタクシーが無料になる、オフィス内にはジムやシャワーもあって運動してから帰ることもOK、などなど。残業する方がお得だと考える人も中にはいます。ただ、これもかなり議論されている。

日本のSNSでは「まだ日本のブラック企業で疲弊してるの? 海外いっちゃいなよ!」って投稿を未だに目にすることがあります。素晴らしい経験になると思うので本当におすすめですが、必ずしも日本より楽なわけではないですからね(少なくとも中国はね)。ボクのnoteが少しでも視野を広げられるキッカケになれたら嬉しいです。

(参考資料)



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