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変化する旅の概念

コロナ渦が始まってからはや2年。
今が結局快方に向かっているのかよくわからないけれども、街には人が戻って来ているように感じるし、「県をまたいでの移動はだめ!」みたいな話も今はあるような無いような、なんとも曖昧な状況になってきている気がする。

裏を返せば、強制的ななにかに従うというのではなくて、個人個人が節度を持ちつつ自分たちの判断で、感染対策を行いつつ自分たちの判断によっての外出や移動が行える環境になっているとも言えるかもしれない。

そうなってくると、俄然「旅行に行きたい!」と思う今日このごろなのですが、
2年もの厳冬を過ごした観光業界では着実に変化が起こっている模様。

――今後熱海市の観光業が回復していく上で必要な取り組みは。
「新型コロナ禍で観光業に対するニーズが確実に変化している。1グループの人数が減るなか、従来の団体旅行や宴会の需要だけでなく、ワーケーションによる長期滞在や旅行商品の高付加価値化などに取り込む必要が出てきている。また、ウィズコロナの観光業という意味合いでは従業員の数や働き方を考えていく必要が出てくるだろう」

実生活で、なるべく密にならずに分散してすごす、移動頻度を下げる、みたいな行動がこの2年で染み付いてしまっているからか、たしかに自分も「旅行しよう」と思ってもこれまでとはその概念は少し変わってしまった気がしている。
それこそ「弾丸ツアー」みたいなことはもう念頭に無くなっている。どこでも働けるリモートワークも浸透した今となっては、せっかく移動するなら「長期で」と思うわけで、どうやら実際に”旅”するあり方が変わって来ているようであり、観光業界も変化が求められているとの事。

そんな中、私が心動かされているサービスが最近ある。
初期のエントリーにはもれなく抽選漏れし会員になれていないものの、最初に募集のニュースを見て、すぐに申し込みをしてしまった。

セカンドハウスのサブスクリプション(定額課金)サービスを手掛けるスタートアップのSanu(サヌ、東京・中央)は山梨県や長野県に大規模な拠点を開設する。春までに総額22億円を投じ、セカンドハウスを50棟と現状の10倍に増やす。新型コロナウイルス禍で在宅勤務が普及するなか、都市部に住みながら、自然の中での暮らしも気軽に体験したい需要を取り込む。
サヌは2019年の創業。21年11月に白樺湖(長野県)などに5棟を設けてサービスを始めた。広さは1棟あたり約65平方メートル。入会金は無料で、毎月5万5千円を支払えば、何度でも使うことができる。
手軽さが人気で申し込みが相次ぎ、現在会員登録の待機者が約1500人いるという。旺盛な需要に応えるため、3月に山中湖(山梨県)近くで大規模拠点を開設するほか、北軽井沢(群馬県)や河口湖(山梨県)の周辺などにもセカンドハウスを設ける。24年までに首都圏を中心に400棟体制に拡充し、25年以降は関西や九州など全国に広げる。
コロナ禍で在宅勤務が普及し、郊外物件の人気は高まっている。だが、さらに遠方で暮らしたり、別荘を持ったりするのはハードルが高い場合が多い。サヌは都市部から2~3時間の距離にセカンドハウスを設け、時には都心から離れて暮らしたいという消費者のニーズを捉える。

この「Sanu」は本当に今時代の本当に凄いバランスの上に成り立つニーズを捉えたサービスなんじゃないかって気がしています。このサービスを「別荘」と捉えることもできれば「アドレスホッパー」と捉えることもできれば「リモートワーク用オフィス」と捉えることもできるし、そして何より「旅行」として捉えることもできる、そんなコロナ禍で多様化した「移動」にまつわるもののそれぞれの一番交わるところをピンポイントで突いたサービスなのではないかと思いました。
それは「値段設定」と「立地」に反映されているサービス設計思想から来ていると思うけども、「(憧れるが)アドレスホッパーほどガチなノマドワーカーにはなれそうにない」けど「いつもの日常を離れて、さっと手軽に安全に移動しつつトンボ返りはしないで2拠点生活に近い体験をしたい」みたいな、多くの社会人が感じている思いをすくい上げるサービスに感じている。南の島にあるタイムシェアリゾートとも違うものである。

リモートワークの浸透で、仕事とそうでない時間との境界も曖昧になってきているなかで、もしかしたら、コロナ禍を経て、旅は「日頃のストレスを短期的に晴らす為の消費的」なものではなく、もっと生活に直接活かされるような創造的な体験が深まって来ている・求められて来ているのかもしれない。そんなふとした問いを聞きたくなって、先月のMOTION GALLLERY CROSSINGでは、そのSanuの本間さん、そして岡田悠さん(ライター)をお招きしてお話を伺った。是非ご視聴をおすすめします!

#095 早く帰りたいと思っていた

旅を人生の軸のひとつとされているゲストお二人ということで、やはり気になる、旅を好きになったきっかけや印象に残っている旅についてお話しいただきながら、旅、特にバックパッカーの面白さやスリル、そしてそこからくる中毒性(!?)を掘り下げていく特集初回。

意外だったのは、岡田さんも本間さんも「早く帰りたい」と思っていたこと…!初めての海外で、バックパッカー。リュックを盗まれたり、プライベート空間のない長期旅にしんどくなったり、きらびやかなイメージとは逆の実像だったのですが、思う通りにはいかない現実・世界にぶちあたることは、快感にも変わり、知らなかった自分の感情と出会い、五感の感度が上がることで日常の見え方も変わる。帰りたいと思っていたのに、しばらくするとまた旅に出たくなるという、旅の虜となった意外な理由があった。

#096 消費の旅行、創造の旅

集2回目。古地図にある道しか歩かないルールを課してみた、という岡田さんのお話から、角度を少し変えるだけでまた新たな日常に出会うこと、そしてその原点には小学校の帰り道の道草があるという発見が。山登りは旅と近いという本間さんの気づきから、旅は距離ではないこと、そして旅行と旅には、消費的な行為と創造的な行為という決定的な違いがある、というさらなる発見があった。

#097 ワガママであるリスクをとる

特集3回目は、危機管理しながら旅を楽しむ方法についての長井さんの質問からスタート。生きて帰ることがプライオリティでそれ以外は解放する(岡田さん)、ここまでやったら大丈夫かなという自分のボーダーまでなるべく情報を集める(本間さん)という回答に、ネガティブをなくす情報収集という旅の備えのポイントが。長井さんの中国でのちょっと危なっかしい経験や、「助けて!」の紙のエピソードも、まさに、というもの!

旅を楽しむゲストがアイデアを生み出すヒントを聞いていくと、意識的にわがままであるリスクをとる、個人的なWANTを優先する、という本間さん。本業では周りからのリクエストに応える立場にあるという岡田さんは、最終的には自分がどうしたいかを大切にする、情報が溢れる今の社会で、自分の中での判断基準を大切にするゲストお二人の姿勢にも共通項が。

#098 自転車を漕いでGoogleを動かした男

いよいよ特集最終回。番組を通してゲストのみなさんにお聞きしている、お金とクリエイティビティの両立へのアイデアについて、岡田さんからはなんと、自らの企画がGoogleを動かすことになったという驚きのエピソードが…!本間さんの「70点がちょうどいい」という考え方は、事前に旅の情報は集め過ぎないことも大事、というトピックにも回帰し、さらには岡田さんがGoogleを動かしたことにも繋がる、という発見が。悩みながらも70点を目指したことが功を奏したという長井さんのエピソードも一同納得でした。WANTベースでまずは走り始めること、臆せず掛け合えば動かせるものがあると信じること、という、旅にも、目標実現にも通じるお話。

頂いたサポートは、積み立てた上で「これは社会をより面白い場所にしそう!」と感じたプロジェクトに理由付きでクラウドファンディングさせて頂くつもりです!