鉄道・タクシー等を定額乗り放題に。MaaSは日本で普及するのか?
こんにちは、電脳コラムニストの村上です。「MaaS」という言葉をご存知でしょうか?
電車やバス・タクシーなどの異なる交通事業者が提供する移動手段を、あたかも1つのサービスかのように利用するのがMobility as a ServiceーMaaSです。現在でも移動手段を横断的に検索できるアプリはありますが、予約や乗車のための支払いはそれぞれのオンラインサービスで行ったり、現地で個別に支払う必要があります。MaaSはこれらを1つのアプリですべてを一気通貫で行うことが可能です。難しいことはナシに「現在地からあそこまで行きたい!」という希望を叶えてくれます。
海外では北欧などで社会実装が進み始めていますが、日本では地方での実証実験がいくつかはじまったばかり。そのような中で高速バス大手のWILLER(大阪市)が国内初のサービスに乗り出します。
ウィラーの子会社が運行する京都丹後鉄道の沿線地域である京都府の宮津市や舞鶴市、福知山市、兵庫県豊岡市など5市2町で調整に入った。地元の主要なバス会社やタクシー会社とも連携し、20年春に実証実験を始める。
交通事業者には決済用のQRコードを導入してもらい、利用者は鉄道やバスなど対象の移動手段ならどれに乗っても定額で使える。サービス内容は今後詰める。実用化する段階では利用できる上限回数を定めるなどして、1カ月5000円前後を目指す。人工知能(AI)などで効率的に運行する相乗り車両の活用も検討する。
日本版MaaSは地方が先行していると言われています。その背景として、高齢化と人口減があり、需要の変化に対して供給側がその変化に追いついていないという状況があるようです。
「高齢化と人口減に悩むのはどの地方都市でも同じ。タクシー事業者の6割は経営が厳しい。タクシー市場は28年連続で縮小が続いている状態だ。地方のバス会社は赤字が常態化し、地方鉄道会社も収益環境の厳しさは増している」
「移動手段として公共交通に対する需要が変化しているにもかかわらず、供給側はその変化に追いついていない。この需給関係のミスマッチは交通インフラの従来計画が実態に合わなくなっている証左だ。地方の交通インフラはいちから再設計する時期に来ている」
この課題を解決するのが、MaaS。関係省庁である国土交通省でも、民間と連携して新たなモビリティサービスの推進をしています。
日本版MaaSのポイントは3つ
・ユニバーサルなMaaS(MaaS相互の連携によるユニバーサル化)
・高付加価値なMaaS(移動と多様なサービスの連携による高付加価値化)
・交通結節点の整備などまちづくりと連携したMaaS
地域特性に分けて日本版MaaSを進めていきたいと考えています。中間とりまとめでは大都市型、大都市近郊型、地方都市型、地方郊外・過疎地型、観光地型の5つの地域特性で分けました。大きく分けると3つ「都市」「地方」「観光」になります。
都市での主な課題は、モビリティサービスを提供するステークホルダーが多いので、うまく一つにまとめることです。地方の課題は、移動やその手段の見える化と今ある資源の有効活用です。観光地は、訪日外国人を意識していて、海外からの旅行客にとっても使いやすいものをつくることです。
MaaSもこのまま進むと大手連合(鉄道系、自動車系など)が主要プラットフォーマーとなり、QRコード決済のような乱立状態で相互連携もない状況になり得ます。国交省には、相互連携を必須にするなどのガイドラインを出しながら、国民が真に使いやすいモビリティサービスを享受できるように音頭をとってもらいたいと思います。
個人的には「交通結節点の整備などまちづくりと連携したMaaS」に期待しています。今の社会ではターミナル駅にすべてが集中し、ラッシュや渋滞を巻き起こしています。また、不動産価格もそれらを反映しています。カーシェアやその他の新モビリティの組み合わせにより「仮想的なターミナル」をつくれば、人の流れが大きく変わります。
例えば、自然豊かで車禁止の街。町中は電動スクーターなどを乗り放題にし、離れた駅に行くにはカーシェアや乗り合いバス・タクシーをオンデマンドで使いたいときに呼ぶなど。このようにまちづくりと一体化したMaaSには、これまでの生活を一新させるようなインパクトがあります。
MaaSについてもっと知りたい!という方は、海外の事例などがまとまった以下の記事をおすすめします。
MaaSに向けたささやかな第一歩として、JR各社においては「新幹線予約と受け取りの共通化」からお願いしたいなと思います!(えきねっと(JR東日本)で予約したきっぷが出張先の関西で受け取れないなんて、、、罠すぎる)
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タイトル画像提供:tiquitaca / PIXTA(ピクスタ)
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