見出し画像

「広告ってやった方がいいの?」と聞かれたので、パワポでちゃんと説明してみた話。(前編)

僕は広告会社で働いている。職種はプランナーだ。

ただ、この日経COMEMOでは、恋愛観や結婚観、家族観を中心に、世の中の固定観念に対する問いかけを発信することが多い。

広告の話を書くことは、ほとんどない。

そんな僕が今回はめずらしく、本職の広告について書いてみる。

というのも、先日とある中小企業の社長さんとプライベートで飲んでいた時、こんな会話になった。

「うちって、広告とかやった方がいいのかな?小島さん、本職じゃん。教えてよ。」

なるほど困った。

実は広告会社にいても「広告はやった方がいいのか」という話になることは少ない。

特に僕は職種柄「広告をやる」となってからチームに入ることが多いので、「そもそも広告をやるべきか」というお題に向き合ったことはなかった。


これはいい機会かもしれない。


「意外と考えたことがなかったので、パワポでまとめてみますね」

そう告げて、飲み会は終わった。

2週間後、60枚ほどのパワポを携えて再び社長に会った。

今日はそんな話。

■なんとなく使っている4つのことば

相手の社長は50代。男性。
実直な商売をされている方で、ネットや広告には明るくない。

そんな彼に広告(特にデジタル広告)をどう説明するか。
まずは言葉の整理から。

こんなスライドを提示してみた。

スクリーンショット 2021-04-23 15.38.21

社長相手になんて失礼な質問だろうと思ったが、彼の答えは「マーケティング」

即レスだった。

人によって捉え方は違うが、僕も同じ考え方だ。

マーケティング活動を上位概念として、その下にいわゆる4P
その中の1つの「P」であるプロモーションの中に広告がある、と捉えている。

スクリーンショット 2021-04-23 15.43.19

プレゼンの際、特にカタカナ語が頻出の場合は注意だ。なるべく早く、こうした言葉の認識揃えをする必要がある。同じ言葉でも、全然違う意味で捉えたまま進んでいるケースが多い。

さて、整理すべき言葉はもう1つあった。プレゼンはこう続く。

スクリーンショット 2021-04-23 16.09.56

スクリーンショット 2021-04-23 16.10.03

それが最後の1つ。PRだ。

スクリーンショット 2021-04-23 16.10.54

広告をやるべきか悩んでいる社長に「こんな本もあります」と紹介してみた。

スクリーンショット 2021-04-23 16.11.59

これで4つの言葉の整理が完了。

話をするための役者が出そろった。

■広告と広報と、広告枠と非広告枠。

スライドは続く。

スクリーンショット 2021-04-23 16.14.21

ここでまたクイズを出した。

さて、どんな言葉が当てはまるでしょう?

スクリーンショット 2021-04-23 16.15.00

ちなみに私のプレゼンには、よくクイズが出てくる。

プレゼンと言うと、一方的に話してしまいがち。だが本当は会話に近い方がいい。

人は「聞いている」時間が続くと「話したい」というスイッチが入る。これを無視して続けると「聞かされている」スイッチも入る。こうなってしまうと結局、プレゼン全体が嫌な時間に変わってしまう。もちろんいい話に展開することもない。

「もっと聞きたい!」と惹きこむプレゼンをできる人なんて滅多にいない。私もそうではない。だから、ちょくちょくクイズを挟む。

少しでも発散できれば、ただのプレゼンが生産的な会話に近づくからだ。

さて、そんなクイズの正解はこちら、

と言いたいが「正解」なんて言うのはおこがましい。「僕はこう捉えています」程度でスライドをめくった。

スクリーンショット 2021-04-23 16.23.15

至ってシンプルだが、念のため具体例で補足する。

新聞ならこう。

スクリーンショット 2021-04-23 16.22.32

テレビならこういうことだ。

スクリーンショット 2021-04-23 16.24.10

さて、次はクイズではなく質問を投げかけてみる。

スクリーンショット 2021-04-23 16.29.06

社長の答えは「非広告枠にある情報」。多くの人が同じ答えだと思う。

スクリーンショット 2021-04-23 16.55.39

「広告はいいことしか言わない。それより記事として番組として紹介された情報の方が信頼できる」とのことだった。


そう。だからこそ、メディアには価値がある。



誰だって、新聞記事やテレビ番組内の「非広告枠」で自社の商品を扱ってほしい。だがそう簡単にはいかない。

そんな厳しい目で選ばれた情報が集まっているから、みんながメディアを見る。みんなが見るメディアになると、それがマスメディアになる。

だからマスメディアにお金を払って、広告枠でもいいから自社の広告を載せてもらう。これが広告のビジネスの基本だ。

しかしこの10年で、そんな広告ビジネスは少し変わってきた。

■非広告枠の主体を変えたソーシャルメディア

次のクイズは、こんなスライド。

スクリーンショット 2021-04-23 16.36.49

答えはもちろん「ソーシャルメディア」。SNSをあまりやらない社長でも、すんなり言葉が出てきた。

スクリーンショット 2021-04-23 16.38.51

広告はもう古い。これからはSNSの時代だ。

「そんなことがよく言われますけど、これって間違った言われ方なんです」

僕は続けた。

だって、SNSにも広告はあるから。

スクリーンショット 2021-04-23 16.41.28

広告ビジネスは変わっていない。変わったのは、こういうことだ。

画像17

人は広告枠にある情報より、非広告枠にある情報を求める。

これは変わっていない。

非広告枠にある情報の主体が、メディアから身近な人に変わったのだ。


■プロモーションは四つ巴へ

ここまでで、用意したスライドは約半分。

実際は15分程度で話したことを、読み物にしたら既に2,000字になってしまった。

そこで今日はここまでを前編として、後編では「広告ってやった方がいいの?」の本質に迫る。

マスメディアにも広告枠と非広告枠がある。
ソーシャルメディアにも広告枠と非広告枠がある。

「うちも広告とかした方がいいの?」と悩む社長に、後半はこんな質問をぶつけてみた。

画像18

後半へ続く。


サポートいただけたらグリーンラベルを買います。飲むと筆が進みます。