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「頼まれたらやってみる」の効能

大学の恩師である、著名な劇作家の宮沢章夫さんが、ぜんぶ「頼まれたらやる」というスタンスで活動の幅を広げてきた、という話を学生時代に知ったときは衝撃的だったのをふと思い出しました。

これまで名作を次々と生み出してきた演劇の演出でさえも、俳優の竹中直人さんに頼まれてやりはじめた、と聞いて当時ビックリした記憶が。
それまでに膨大な読書量などのインプットがあったのと、それぞれ全力を出して取り組んだのも大前提だと思いますが……。

小説やエッセイも同様で、とある雑誌の編集長に「書いてみないか」と言われて書いてみたのだとか。宮沢先生のエッセイは本当に秀逸で大好きなので、編集者という仕事は人の才能を取り扱うプロで、重要な仕事だなと改めて感じたり……。

そんな話を思い出し、今年の方針は「なにか頼まれたら全力でやる」にしようと思いました。
そもそも自分が会社員時代にデザイナーの職を得たのも、学生時代に色んな場面でデザインを頼まれてホイホイやっていたのがきっかけだし、
今では大事な収益源のひとつになっている講演業も、もともとは人前で話すのが超苦手なのに、イベントでのプレゼンを頼まれ、5分間のプレゼンを猛練習するところから始まったのでした(今ではアドリブで大分もつように)。

やったことのないことを頼まれると一瞬ひるみますが、
案外周囲というのはその人の適性を見抜いているもので、その先には意外といろいろな果実が待っていることに、若輩の自分であっても気付いてきております。
今年度はこれを改めて肝に銘じ、新しいことも積極的にやっていきたい所存です。


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市原えつこ(アーティスト)
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