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配偶者の転勤でキャリアを途絶えさせない

海外駐在は、会社員にとって重要なキャリアステップの1つだ。組織内でのキャリアアップという意味でも、個人の付加価値を上げるという意味でも大きな意味を持つ。また、海外駐在のあるようなグローバル展開をしている企業で働く人々は、多かれ少なかれ、グローバルな環境で活躍したいという欲求を持っていることも珍しくない。海外駐在は、辞令を受け取った本人にとっては、明るい未来となることが多い。
しかし、それは当事者の仕事人生に限った話だ。
海外駐在となったとき、その配偶者にとっては難しい選択を迫られることになる。自分のキャリアを中断して配偶者に付き添うか、もしくは単身赴任として離れ離れになることを許容するかだ。
そのような状況に陥った従業員のために、特別に休業を許可する企業も増えている。また、リモートワークで対応可能な部署や業務に割り振り、海外から勤務することが可能なケースも出てきた。

私の知り合いでも、オーストラリアに住みながら、日本の企業で人事として勤務する女性がいる。働き方の柔軟性が広がるとともに、配偶者の海外駐在でキャリアをあきらめないという選択肢も出てきた。
しかし、配偶者の海外駐在には問題もまだまだ山積している。
例えば、ビザの問題もある。配偶者の赴任先によっては、渡航先の国が帯同ビザでの配偶者の就労を認めていないケースもある。アジアの多くの国では、帯同ビザでの就労が認められていない。また、配偶者の勤務する会社で、一緒に住む家族が現地で働くことを許容しないということもある。
それでは、単身赴任が良いかというと、それによってプライベートで問題が発生すると、海外駐在中の従業員のパフォーマンスに悪影響を及ぼす危険性も高い。INSEADのスチュアート・ブラック教授をはじめとした数多くの駐在員研究で、駐在員のパフォーマンスを左右する大きな要因として家族の存在をあげている。家族が海外駐在による変化したライフスタイルに適応できるかどうかが重要だ。
そうといって、独り身が良いかというとそうでもない。家族で海外に渡航し、そこでうまく適応できたケースが最も好ましいという研究結果も報告されている。
海外駐在を従業員に命じる企業は、その家族も含めて、キャリアと変化するライフスタイルへの適応をどうするのか、サポート体制を整えることが肝要だ。

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