僕ビール君ビールの「どっち推し?」から考える、親しみやすさをつくるブランドコミュニケーション
人は「どっち派?」論争が大好きです。
イヌ派・ネコ派?
夏派?冬派?
ごはん派?パン派?
AとBどっちが好き?
は誰でも答えられる問いであり、コミュニケーションの定番の型です。
僕ビール君ビールのどっち推し?コミュニケーション
家の近くにローソンがあり、疲れたからビールでも買おうかな…と考えたときに「面白いどっち派?」の問いかけを見つけました。
ヤッホーブルーイングの僕ビール君ビールです。
新しいパッケージで青色の「ジョーカーくん」を登場させて、以前からある「かえるくん」と比較して
どっち推し?
を聞くコミュニケーション設計がされていました。
ヤッホーブルーイングのブランドコミュニケーションは、さすがだな…学び多いな…と感じることが多かったので、学びと考察をまとめていきます。
どっち推しを問うことで、ブランドに親しみやすさをつくる
素晴らしいと感じたのが、単に認知拡大のために「どっち派」をつくっているわけではなく、
顧客との距離感を縮める・親しみやすさをもってもらうコミュニケーション設計になっている点です。
SNSのコメントを確認すると、
・ヤッホーブルーイングの新商品を探しに行く
ではなく
・ジョーカーくんに「会いに行きたい…」
・カエルくん、ごめんなさい、浮気してしまいました…
といった「ブランドに愛着をもった言葉」が複数出ている状態になっていました。
きのこの山 VS たけのこの里も同じ
これは何かに似ているな…と考えていたところお菓子の棚にヒントがありました。
きのこの山VSたけのこの里です。
2018年ごろから、国民総選挙が盛り上がっていますね。
きのこの山、たけのこの里の
どっち党?
も、たくさんの意見が生まれて、
単なるお菓子を超えたブランドづくりにつながっています。
親しみやすさをつくるブランドコミュニケーション
これらのどっち派のコミュニケーションって何で有効なのだろう?
と抽象化して整理をしたくなってきました。
心理学の世界で言われる「内発的動機づけ」と呼ばれる考え方にヒントがあるのではと考えました。
内発的動機づけの考え方では、人は3つの心理的欲求をもっているとされています。
自律性:自ら主体的に行動したい
有能性 :自らに能力があると認識したい
関連性:周囲の人と関わりを持ちたい
ヤッホーブルーイングや明治のような、親しみやすさを生み出すことが上手なブランドは、この3つを抑えてコミュニケーションをとっていると仮説を考えてみました。
どっち派のブランドコミュニケーションも、この3つの要素を抑えていると整理することができます。
1. 自立性:どっち派かを選ぶ(例:私は--派!)
2.有能性:違いを認識してもらう(自分は味やデザインの違いがわかる)
3.関連性:参加して他者とつながる(同じ派の人とつながる)
コミュニケーションが上手なブランドは、人の心理的欲求を抑えて
「人が楽しく、納得感ある比較検討→自己決定ができる環境を提案している」
のではないでしょうか?
ユニークな争点をブランド自らつくる
つまらない機械的なブランドコミュニケーションから脱却するために意識したい視点をまとめていきます。
顧客が能動的にブランドと関われるようにするためには、争点をつくることは非常に有効だと考えています。
日経新聞のMarketing Edgeの中に、非常にわかりやすい解説がありました。
ブランド側からの一方的な発信ではなく、
人が根源でもっている心理的欲求を踏まえて、
・人が主体的に関わる争点をつくる
・わかりやすく違いを認識して選択できるよう情報を発信する
・ブランドを通じて、他者とつながれる環境をつくる
といった工夫をしていけると、顧客との距離を縮めたり、親しみをもってもらえるブランドづくりにつながると考えています。
ブランドコミュニケーションは、一方的につまらない発信にならないようしたいものです。
推奨アクション
まずは、
・ヤッホーブルーイングの僕ビール君ビール
・明治のきのこの山とたけのこの里
をコンビニ(ローソン)で購入して、
自分たちはどうやって、顧客が喜ぶ争点をつくり出すことができるか?
どうやって、顧客が楽しく、嬉しく比較検討ができるか?
チームで飲みながら、食べながら、これらの問いと向き合ってみてください。
ユニークなブランドコミュニケーションを考える参考にしていただけていたら嬉しいです。