日本からユニコーン企業が生まれないのは必然

現状の経済規模に比して、日本からユニコーン企業が生まれないのには3つの理由があると考えます。

1. コンピュータサイエンス軽視

ユニコーン企業のリストをながめると、大半がソフトウェア関連企業であることがわかります。

日本の高等教育は、これまで2次産業の発展の土台となってきた反面、スピーディーに現代の経済環境に適合してソフトウェア産業発展の土台になれているとは言い難いです。そのため、周囲を見渡しても、コンピュータサイエンス人材の希少性が高すぎる状況です。

ソフトウェアスタートアップが雨後の竹の子のように生まれるためには、人材の圧倒的な増強が求められます。

2. グローバルを狙う理由がない

ユニコーン規模の時価総額を実現するためには、経済規模と成長性が担保されている米国・中国以外では、グローバルビジネスを志向しなければなりません。

日本は明治維新以降、独立をかけて西欧列強に追いつくために世界進出を目指しました。また戦後、国内が焼け野原となった後に、国内産業を復活させるためには海外の需要をあてにする必然性がありました。

しかし、今の日本では起業する際には、短期的に食べていくには十二分な国内市場があります。そのため、あえてリスクを冒してグローバルを視野に入れる理由が見当たりません。

3. リスクを取りづらい

世界のユニコーン企業の資本金を見ると数百億円規模がざらです。反対に、日本のベンチャー企業は上場時でも、資本金は数億円程度の企業が多いです。

最近、日本でも投資額が増えており多少変化はしてきていますが、日本における投資に対するリスク許容度の低さが伺えます。

経済が右肩上がりならいざ知らず、人口減少時代において国内志向の新規事業に対して、引き受けられる投資資金には限界があるのは当然です。資金が少なければ、集められるタレントも少なく、挑戦できる量も減り、成功確率が下がります。

これら3つの課題を乗り越えて日本からも世界をリードする新興企業を育成していくためには、国家も個人も、変化を恐れず、長期的で広い視野を持ち、日本だけを捉えるのではなく世界水準で事業を創造する意義を考えなければなりません。

いまこそ、クラーク博士を現代風に「子どもたちよ、大志を抱け!」を声高に叫ぶべきです。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO32191750V20C18A6I10000/

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遠藤 直紀(ビービット 代表)
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