悪広告が良広告を駆逐する 〜海賊版サイト問題から改めて考える〜
漫画村やアニメ動画の海賊版サイトAnitubeへのアクセスが制限され、海賊版ネットコンテンツの話題が改めて話題になっています。
様々な視点から語られているこの問題ですが、今回は
広告としての立場
から考えさせて頂ければと思います。※自分が長い間ネット広告に関わっているためです
悪広告が良広告を駆逐する
広告業界ではたまに
「悪広告が良広告を駆逐する」
という言葉が使われます。「悪貨が良貨を駆逐する」と同じ意味です。まじめにコンプライアンスを守った綺麗なサイトに綺麗な広告を出すよりも、怪しいサイトに過激な広告を出したほうが獲得コストが安かったり、話題になったりすることがあるため、結果的に悪広告にお金が集まることが往々にしてあるためです。
広告主のCPA(獲得コスト)絶対主義が全ての根源
なぜ、こういうことになるかというと全ての源流は
広告主のCPA(獲得コスト)絶対主義
というところはまず言えます。広告主の商品の獲得コストが下がれば、商品自体の単価も下げることに長い目ではつながり、消費者にとってもハッピーかもしれません。
しかし、
「1円でも安く0.1円でも安く!」
という
執拗なCPAのこだわり
は結果として、
掲載単価が安い違法なサイトへの広告配信を産みます。
盗んだ野菜を売っている八百屋は儲かり、しっかり育てて売っている八百屋は潰れる
違法なサイトは、
コンテンツの調達費が無料or極めて低い(盗む等で仕入れるため)ため、広告単価を下げても薄利多売で儲かります。
逆に
まじめにコンテンツを作成している会社は、広告の安売りはできないため、結果としてCPAは悪くなってしまい収益が減るという問題も産んでいます。
まさに
悪広告が良広告を駆逐する、悪メディアが良メディアを駆逐する構図
になっています。この構図はDIGIDAYでも述べられているようにMERY問題のときも起こりました。
広告業界の拘束力の弱さも原因
ネット広告業界の中にもまじめにサイトや広告主を選んでいるプレイヤーはたくさいいます。業界団体も作っています。
しかし、偽サイトだろうと海賊版サイトだろうとフェイクニュースだろうと1円でもお金になればいいとほぼポリシーなしで事業を行っているプレイヤーもたくさんいます。
ネット広告業界すべてが共犯者という味方はまじめなプレイヤーには気の毒ですし、とばっちりだとは思うのですが、とはいえ、
ネット広告業界全体として、横一列になれずに、悪いプレイヤーを排除できないことは問題であるため、連帯責任と言われても仕方ないのかもしれません。
強制排除しても意味はない、収益源の根絶が重要
長くなりましたが、ぼくが好きなアニメや漫画の制作サイドに正しくお金が回るためには、海賊版サイトの追放は重要です。
しかし強制排除をしても次の闇サイトを生むだけなので、そもそも
闇サイトが儲からなくなるようにネット広告業界として手綱を引き締めて頂く必要
があります。そしてネット広告業界が手綱を引き締めるためには、そもそも彼らに
お金を落とす広告主がCPA絶対主義から脱却し、高い倫理性をもって広告運用することが求められます。(当然運用者だけでなく、その上の決裁する偉い方が倫理性を持つことが重要)
https://digiday.jp/brands/manga-mura-internet-advertisement-literacy/