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アニメ配信とディスク販売の行方=ドイツの事例

動画配信大手ネットフリックスはドイツで今月、『コードギアス 反逆のルルーシュ』などアニメ6タイトルの配信を終了すると発表しました。(発表を伝えるドイツのニュースサイトの記事

今回はアニメ配信とディスク販売の行方についてドイツの事例から将来を探ってみたいと思います。

アニメの海外進出についてはソニーが米アニメ配信大手のクランチロールを買収するなどとても勢いがあります。

アニメ配信は今後とも成長軌道を確保しそうですが、一方でDVDやBlu-rayのディスク版の販売は減少傾向にあります。日本動画協会は「アニメ産業レポート2020」で、アニメ配信は2018年にアニメビデオパッケージの売上高を追い越し差は開き続けていると報告しています。DVDやBlu-rayの売上高は不振が続くものの一部のコレクター向けのニーズによって下げ止まっているそうです。

では、ドイツではどうなのでしょうか。ドイツ映画振興協会(FFA)の報告(ドイツ語)で示された以下のグラフを見てみましょう。動画市場は2015年に初めて登場した動画配信(SVoD)の売上高は2億2800万ユーロで動画購入(Kaufvideos)の13億4900万ユーロに全く及びませんでしたが、年々増加し2019年の動画配信部門は売上高全体で最大勢力に成長しました。注目したいのは動画購入は減少しつつも、市場全体としては拡大していることです。

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大まかな傾向は日本とドイツは変わらなさそうです。注意したいのは、この動画市場はアニメだけでなく映画やドラマなどすべてのジャンルを含んでいる点です。

そこでアニメ分野に引きつけて考えてみます。ドイツにおけるアニメ配信は、米クランチロールやフランスのWakanim、ネットフリックスにAmazonプライムと非常に賑わっています。一方で、ディスク販売も活発に行われています。筆者が昨年発売したタイトルを数えてみたところ、ざっと100タイトルのアニメがドイツでディスク化されています。

100タイトルという数はもはやニッチな「コレクターのニーズ」の範疇を超えているようにも思えます。

そこで思い出されるのは、ドイツのアニメ販売会社Peppermintへのインタビューです。ディスク化の需要をこのように語っていたました。

ドイツには日本と同様にものを大事にする文化があるという。DVDのブックレットなど、こだわりをもって制作すると応えてくれるファンがいる。今後もさまざまなアニメを販売したいと語ってくれた。

そこで筆者の考えをまとめみます。

ドイツではアニメ配信によりディスク販売が押しやられるといった現象は起こっているのでしょうか?

アニメ配信かディスク販売か、といった対立ではなく補完的に機能しているのではないでしょうか。

つまり、アニメ配信によりカジュアルな視聴者が増加し視聴者全体の裾野を大きく広げている。そして、配信が終了すれば視聴できなくなることから、視聴して良いと思った作品はディスク版も購入するといった視聴者の存在があるのではないでしょうか。それは従来、視聴せずにディスク版を購入していたコアなファン層に積み増す形で存在しているのかもしれません。

このようにアニメ配信で作品をチェックして、気に入った作品はディスク版を購入するといった流れがドイツにはあるのではと思いました。

今回は以上です。皆さんはアニメ配信とディスク版の関係は今後、どうなると思いますか?


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タイトル画像は「みんなのフォトギャラリー」からお借りしました。


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