「PdCa」ーPの計画とCの評価ばかり偏重され、dの実行とaの改善に手が回らないこと。
日経新聞電子版の2つの記事を読み比べ、ぼくは「さて」と腕を組みました。
一つ目は「グリーンウォッシュ」排除のため、EUが厳しい規制をかけるとの方針を報じた記事です。前々からこの件はフォローしていましたが、いよいよシビアになってきました。
エコ表示などの半数以上は誤解を招く可能性があると判断されているのですが、ここで「環境意識の高い消費者ほど誤認しやすい傾向にあり、EUは規制を大幅に強める」という点が目をひきます。つまり、環境に関心の低い人にとってはどう表示されようが、そもそも読まないから実害が逆に少ないのですが、関心の高い、表示に敏感な人たちの誤解を避けるのが、今回の規制のひとつの狙いと読めます。
サステナビリティが必須の方針として人々から受け止められれば、企業として無理することもあるでしょう。「無理する」には2つあり、とにかく投資をして何処からも批判がこないように準備をすることがひとつ。もう一つは、実質以上に見せるための背伸びです。後者にグレーゾーンが生じるわけです。
よって、下記の例にあるように、意図的な虚偽か、ビジネス繁盛のための「穏当な(?)」誇張なのか、これらの2つを区別するのが至難であることをどの程度に人々が認識しているか?が、戦略を決めるときの前提になるはずです。
ただ生真面目に対応すればよいという話ではない、ということが薄々想像できます。文化的な理解やコミュニケーションの力が試される、といってよいでしょう。
さて、ここで冒頭に書いた2つの記事の2つ目の内容が気になるのです。それは、野中郁次郎一橋大名誉教授の指摘です。
EUのグリーンウォッシュへの規制に過剰反応せず、適切に解釈して行動していくことが大切なところにあって、日本の企業活動に特徴的な傾向、「過剰に走る」点が、そうとうに右往左往する要因になるだろうと推察できます。
EUの規制がどのような感覚で作成され、どのような感覚で運用されることが期待されているのかを知るためには投資をせず、すべて順守するために身を捧げやしないか、とぼくは危惧するのです。特に、日本の人のタイプとして抽象度の高い言葉を仰ぎみて「酔いすぎる」傾向もあるので、これは要注意案件だなあと思います。