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2022年北京五輪の経済効果のデータ。中国“氷雪経済”の威力

北京オリンピック&パラリンピックが閉会しました。ボクが今住んでいるところは会場の鳥の巣からも遠くないため、オリンピックもパラリンピックも開閉会式の盛大な花火の音がよく聞こえました。

オリンピックパラリンピックについての話題を度々発信してきましたが、今回は経済の話を。多くの国が五輪では赤字で、中国も赤字でしょう、国威のアピールのためにやったのでは?との投稿もよく目にします。

オリンピックの経済効果は多岐にわたると思うので一部分になりますが、北京冬季五輪では広告や中継収入以外の経済効果がすでにたくさん分析されています。この期待をデータで見てみたいと思います。

新華網のシンクタンク「思客」が データに基づき、冬五輪開催による冬経済への活躍効果を分析しました。(データ画像は全部新華網から)

■冬のスポーツ関連のレジャー人口と収入の増加

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↑中国旅行研究院の統計によると、中国全土の冬季スポーツレジャー人口数が2016〜2017シーズンの延べ人数1.7億から、2020〜2021シーズンの2.54億に成長しました。昨年のはコロナ禍の影響での数字で、五輪本番の2021〜2022シーズンでは3.05億までに伸びると予想されています。

そして冬季スポーツレジャーによる収入が3233億元に達すると予想され、2025年には延べ人数が5億を超え、収入も1.1兆元までに成長するとの予想が出ています。凄まじい成長ですね。

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国営テレビ局の報道では、冬季五輪によって国民の冬季スポーツへの情熱が大きく高まったと評価されています。これは関連商品の売れ行きにも反映されていて、スキー用品の販売額が322%増でゴーグルの販売量は例年の15倍、スケート用品の販売額は430%増を実現しました。

このチャンスを掴もうと参加企業数も増えています。2022年1月時点で中国現存の冬季スポーツ関連企業は2.15万。そのうち2020年の3632個、2021年の3933個が新設された企業だそうです。また、資金調達現状では2021年に10社の関連プロジェクトが新たな資金調達を実現し、調達総額が3億元に達しました。

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↑EC大手JDの消費と産業開発研究院のデータによると、今まで北方中心の冬季スポーツが南方でも勢いよく伸びています。室内のスケート場やスキー場の建設によって、最も冬季スポーツ利用者の多い省では、浙江や四川のような南の都市も上位にランクインしました。


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旧暦春節期間には冬季スポーツ消費で成長率TOP5の省では、広西、安徽、雲南、湖北、湖南。これらは全部南にありますね。

■スキー場の新規建設

3億の冬季スポーツ人口を達成することも北京の冬五輪の目標の一つと掲げられています。国家体育総局の統計によると、中国のスキー場の建設も好調です。

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↑2015年には568個でしたが、2022年にはスキー場の数は1000個を越えると推測されています。

スキー場の開設に合わせて、建設やスポーツ大会の開催だけでなく関連スポーツのトレーニングや教育、技術開発、旅行など幅広い面での経済効果が現れます。中でも子供に冬季スポーツに興味を持たせることが最も重要で、施設の利用や学びにお金がかかる以外にも親が一緒にいることで複数の消費が実現でき、収益が一気に高まります。

■地域経済の成長にも期待

今まで冬は寒いけど経済の発展が進んでいない中国の地方都市はたくさんありました。冬季スポーツ経済の波は貧困な状態から一気に「脱贫」を実現したい地域も産んでいます。

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(2月20日、新華社記者吴剛撮影)

北の寒い農村部では、今までは寒すぎる冬に仕事がなく冬には仕事を休むところも多かった。それが、冬季スポーツ関連施設の建設によって新たな仕事と経済源が生まれ、レジャー施設による消費の場も造られ新たな経済循環の実現が期待されます。

またネット民の分析では冬季のスポーツが盛んになることで今まで予想していなかった出費=医療出費も増えているそうです

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↑国営テレビの報道では、スキーが人気なスポーツになりつつも、骨外科では1日9件のオペでは、7件の原因がスキーであるとニュースになり話題となりました。

オリンピックの経済効果って何を含めるかなど定義も曖昧で報道されるし、結局よくわからないってケースが多いですが、今回のオリンピックでは少なくとも中国国内経済にはプラスのことが多そうです。

東京オリンピックの考察を以前記事で見ましたがけっこう渋い結果だったと思います。日本も頑張ってほしい。

コロナ禍でレジャーやスポーツは苦戦してるのかと勝手に思い込んでましたが全然そんなことなさそうで、ビジネスチャンスがありそうですね。今後も北京オリンピックの効果や変化が次々現れてくるでしょうから、また新たな情報があったらシェアしたいと思います。

(参考資料)


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中国情報局@北京オフィス
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