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僕にとっての「マインドフルネス」は、石庭であり現代アートである。

唐突ですが、今回のエントリーは、
日経COMEMOテーマ企画『あなたにとって「マインドフルネス」とは?』
に参加してみたいと思います。

 マインドフルネス=禅、瞑想のイメージが強いですが、本来マインドフルネスは「今の自分の状態に意識を向け、今に集中し、感情や思考を判断せず、自分を受け入れる心の状態のこと」を指しています。

ここ数年話題の「マインドフルネス」。
スティーブ・ジョブズを筆頭に、クリエイティブ・クラスの著名人が実践していたりした事から、ビジネスパーソンの間でかなり注目されていますよね。
リラックス効果のほか集中力を高めたりクリエイティビティを向上させる効果もあると言われてます。

「マインドフルネス」に特段の興味を持っていなかった僕ですが、社会人になってからなんにも運動していなかった自分が、ランニングコミュニティに入って体を動かすようになってから、心や体を整えなきゃなと思う機会が最近増えていて、本屋に行った時にふと「マインドフルネス」というワードに目がとまった次の瞬間稲妻が走りました。

なんと、なんと、大好きで敬愛する映画監督、鬼才と呼ばれるにふさわしい、デビット・リンチが実践し、あのクリエイティビティを生み出しているという本が本棚にありました。

2018年8月21日、ステラ マッカートニー(Stella McCartney)はデヴィッド リンチ(David Lynch)をフィーチャーした、超越瞑想の実践と映画製作を讃えるショートフィルム『Curtains Up』を発表した。
「超越瞑想」とは、1日2回、各20分間、目を閉じた状態で心地よく椅子に座り実践する。超越瞑想中は、体が深いリラクゼーション状態となり、精神が安定かつ覚醒し、秩序と一貫性を保った思考を行うことができるという。高血圧、不安感、うつ病、不眠症などのストレス関連障害や、ストレスを低下させ、創造性、エネルギー、集中力を促し、心身の健康向上につながることを400以上の査読済み研究が検証しているという。


それまでは「なんとなく意識高いビジネスパーソンではやってるんですね〜」くらいな認識だったのが、いきなり「これは僕もマインドフルネスを生活にとりくめばデビット・リンチの様なクリエイティビティが溢れ出すかもしれない!!」という勘違いも多分に含んだ興味津々になってしまっています。

なにか奇跡的な一石で人生が変わる!みたいな事を信じていられた年齢を過ぎ、もう一日一歩の積み重ねの延長線上にしか「何かがない」と感じる今、日々一日一日のマインドフルネスで心身を整え脳を活性化する積み重ねが、
私の中で三十年後ってことを考えた時に、三十年後の自分は何歳なのかなと、健康でいられればその三十年後の約束を守ることにつながるんじゃないかなあとか思います。

そんなこんなで、にわかにマインドフルネスに興味を持ち、そして実践を積み重ねようとしている今、そんなにわかマインドフルネス男子として、ちょっと勝手に感じている事があります。

それは、あるいみ、実はこれまで知らない間にマインドフルネスしていたのかもしれないということ。

アート作品と向き合うことはマインドフルネスではないか?

それは、現代アートと向き合う時間、それはまさにマインドフルネスと同じなのではないかという、勝手な素人仮説であります。

まず、マインドフルネスは当然ながら禅・瞑想から派生しているので、
禅とのつながりは自明のことかと思います。

そして、そこに紐づくのが、僕の長年の自説として唱えている、
禅は現代アートであるという説。

禅とは、禅問答という単語でもわかる通り、答えのあるかどうか分からないものに対して、メタ化と自己思考の客観化を繰り返しながら問い続け答え続けたり、自我と向き合い手放したりするトレーニングだと考えています。

とてもわかり易い有名なのは、龍安寺の石庭。

石庭にあると言われてる15個の石。しかしどこからみても15個を数えきることができないとう石庭です。この庭の謎は一体なんなのか、どの様な意味がある庭なのかというのがこの石庭の面白いところですが、最も面白いのは、その問いかけへの答えは「人それぞれ」として明示されていないのです。

ちなみに僕は、この石庭の反対側にある鹿威しの石の器に「吾唯足知」と書かれている事から、その反対側の石庭はその反語である「我唯足らざることを知る」を示していると解釈し、「七五三(全部足すと15)」つまり成人(十分に成長した大人の人間)であるはずの自分と向き合う庭であるという説に賛同しています。

でも、この様な視覚表現と向き合う事に時間を掛けて集中し、その表現が投げかけている問いに対して、答えが明示されないことがわかっていながら、しかもそもそも問い自体を疑いながら考え続ける行為、はまさに現代アートを鑑賞する態度と一緒です。

なので、禅は現代アートであるという説をいつも唱えているのですが、
ほら、そうなると、現代アートと向き合うことはマインドフルネスと同じ様な時間を過ごすことと同義に思えて来ませんか?!

振り返ると、現代アートと向き合っていると、自分で時間を掛けて考え出した一種の回答を自分でまた否定して考え直したりという行為も、自我と向き合い手放したりするのと近い気もしますし、同時に深いリラクゼーションを得ている気もしています。鑑賞後に頭がスッキリした気がすることも多々ありました。

もちろん、休日の人であふれる美術館でそんな時間は過ごせませんが、平日とか人気が少ないときや郊外の美術館などだとそんな時間がすごせるはずです。

このマインドフルネスブームの波を機に、現代アートを鑑賞することも同様の効能として盛り上がると嬉しいなと思ったりします。とてもオススメです!

ちなみに私のオススメの美術館は、千葉の川村記念美術館です。
企画展も素晴らしいですが、常設展のマーク・ロスコやバーネット・ニューマンは本当にオススメです。
是非ドライブがてら、そして愛する千葉の復興の為のボランティアのついでなどにお寄りいただけますと幸いです。





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