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500人のEQ分析で判明した「新規事業をやり切れる人は飽きっぽい」という事実

 Potage代表 コミュニティ・アクセラレーターの河原あずさです。ちょうど先日、このようなイベントにファシリテーターとして登壇してきました。

↑河原が登壇しているステージにタイムスタンプを置いたリンクです。

 セッション3:「日本を救う最後のクスリとは」
お家芸といわれたものづくりにおいて新興国の後塵を拝する状況も散見される日本において、成熟社会となったいまこそ注目したいのが医薬品市場。日本は長寿高齢化が進行する課題先進国であり、現段階ではアメリカと中国に続く第3位の市場規模を持っている。

しかし、その存在感を維持し高めるためには課題も散見される。そこで、これまでのセッションの議論も参考にしつつ、医薬品市場がイノベーションの生まれる場所であり続けるために必要なことはなんなのかを、河原あずさ氏のファシリテートのもと、一般社団法人シェアリングエコノミー協会 代表理事/一般社団法人Public Meets Innovation 代表理事の石山アンジュ氏と早稲田大学理工学術院教授の宮田俊男氏が、視聴者参加型でディスカッションする。

https://www.businessinsider.jp/post-263731

 このような趣旨のセッションで、宮田俊男さん、石山アンジュさんという、それぞれの業界に見識が深いお2人から非常に示唆に富んだ話が飛び出し、とても好評を得ることができました。

 セッションの中で印象に残ったのが「製薬業界に優秀な人材が入ってこない」という宮田さんの課題意識でした。欧米では人気職種の製薬研究者ですが、日本では人気とは言えず、優秀な学生が集まっていないという現状があります。転職市場における人材の流動性も非常に乏しいと宮田さんは指摘します。結果的に「イノベーションを起こせる人材が少ない」と言うのです。

 ただこれは、製薬に限らず、様々な業界に言える話かと思います。私見ですが、イノベーションの聖地・サンフランシスコで様々な起業家や学生と交流してきた身からすると、日本における人口に占める新しい価値創造に向いた人材の割合は、かなり低いと感じています。

 ところで、イノベーターについて考えるときに、自然とこのような問いが浮かび上がってきます。「そもそもイノベーターの資質とはどのようなものなのか」

 僕は、EQPIというEQ(感情知性・感情知能指数)をベースとしたパーソナリティー判定のアセスメントの資格を持っていて、延べ500名の方の性格データを分析して、受検いただいた皆様にフィードバックをしています

 その500名の方の中で多く含まれる属性が「起業家」「社内起業家」「プロジェクトリーダー」「経営者」といった、何かしらのアウトプットをしっかりと世の中に提示し続けている方々です。これらの新規事業やっている方や、事業を引っ張っている方は、ある事業を立ち上げて、ある程度のところまでやり切った経験のある「イノベーター」だと言い換えられます。

 今回の記事ではそのイノベーターの方々の特徴を見たときに見えてきたある傾向についてお話できればと思います。ぜひ最後までお付き合いください。

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「0→1人材」の多くは「飽きっぽくて多動症」

 先述したEQPIで分析して見たときに「0から新しい価値を形にできるイノベーター」わかりやすく言い換えると「0→1(ゼロイチ)人材」の性格データはどのような傾向があると想像できますか?そのような問いかけをしたときに「やり抜く力が強いに違いない」「投げ出さない志向が強いはずだ」という仮説が浮かぶ方も少なくないかと思います。

 しかし、そんな仮説を持って「0→1人材」の実際の性格データを見ると、共通の傾向として、驚きの結果が見えてきました。

 実は「0→1人材」の多くが「飽きっぽい」性質を持っていたのです。

 飽きっぽい上に「多動傾向」も確認できました。フットワーク軽く色々なことに手を出す志向です。つまり「あることをやっていたら、別のことをやりたくなり、途中で違うことを始める」そしてそんな行動の繰り返しでもって、細かく細かくとにかく動き回るタイプの方が、起業家や社内起業家にはとても多いのです。

 これはEQPIの中の「役割意識」や「完遂」というパラメーターの値をみると分かります。自分の今の役割に集中して、最後までプロジェクトをやり切る志向がここで見えるのですが、「0→1人材」のそれをみると、一様に数値が低いのです。

 加えて「要求指示耐性」というパラメーターも低い傾向があります。これは「人から言われたことを、決められたプロセス通り、淡々と粛々ととこなす力」のことです。

 つまり、社会に対して新しい価値を創造している起業家や、社内起業家などの「0→1人材」は、多くの方が飽きっぽくて、多動症で、そして、人から言われたことはやらずに、自分に興味があることに邁進しているということを、EQPIの分析データが示しているのです。

「0→1人材」は「期限を区切ってやり切る」

 僕自身もそういうタイプなのでよくわかるのですが「0→1人材」の行動を見てみると、とにかく自分が「これ面白いな」と思ったことがあったら、すぐそこに飛びついて、何か新しいものを作りたがるのです。そして、作ってみたものを人に対して見せて「ねえねえ、これ見て!面白くない!?」という感じで、発信を繰り返します。結果生まれる周りからの「面白いね!」という反応が連鎖していくと、いつの間に事がだんだん大きくなって、いつのまにか売上が立ったり、大きなプレスリリースが出ることになったり、世の中を揺るがすような発明に至ったりするケースがとても多いのです。

 ここまで読むと「じゃあ、なんでそんな飽きっぽい人たちが、プロジェクトを形にできるまで頑張れるんだ?」と思う方もいるかもしれないですよね。この問いかけには、実は、僕なりの結論があります。

 飽きっぽくて、色々なことをやりたがる、新しいもの好きな方々が、新しいプロジェクトが何かしらの形になるまで頑張れる理由は「期限を区切っている」からです。「この構想が、いったん形になって人に渡せる状態になるまでは、私がやりきらなくては」とか「この仕事に関しては、1年じゃ結果は出ないから、まずは3年間は頑張って邁進してみよう」とか、自分の心の中で決めて、決めたからには無我夢中になって努力を重ねて、事業に取り組める傾向があるように思うのです。

 自分にとって「ここまではやりきるぞ」というゴールが見えていると、自分のリソースを投下しやすいですし、仮に投げ出したくなっても「いや、でも待て。自分への約束として、ここまではやるって決めたんだ。だから、ちょっと自分にとっては不慣れかもしれないけれども、ここはもう一踏ん張りの時だぞ」という感じに自分を奮い立たせて、決めた期間の間はやりきることができると思うのです

 起業や新規事業において、何もないところから企画を立てて、事業を立ち上げていくフェーズを「0→1のフェーズ」と呼んでいます。「0→1人材」は、このフェーズを短距離走、もしくは中距離走層で全力疾走できるという特性があります。

 その事業を大きくするために、次に必要なのが「1→10(イチジュウ)のフェーズ」です。小さく立ち上がった1の状態から、10の規模まで事業を持っていく力が必要になります。

 更に10まで成長した事業を100の規模まで育てるフェーズを「10→100(ジュウヒャク)のフェーズ」と呼んでいます。このような段階分けで、小さく立ち上がった事業は、徐々に成長させていきます。

 大事なことは、このフェーズによって、適している人材のタイプがまったく異なるということです。

 もちろん、起業家の中にも、自分で立ち上げた事業をイグジット(株式上場やM&Aによる事業の売却)まで見続けて、長く事業に関わり続ける方もいます。しかし、その中でも、たとえば「CEO」という肩書は変わらずに残り続けるけれども、役割は事業成長のフェーズ毎に変わっていくケースがほとんどなのです。

 会社を創業する起業家は「0→1人材」が割合として多いですが、自社の事業が「1→10」「10→100」のフェーズに近づくごとに、自分からメインの事業を積極的に手放していく傾向が見受けられます。

 会社が成熟してきた後に、会社の中で新しい事業をはじめられる、会社の創業に関わった起業家さんはたくさんいます。ABEMAを通じて動画事業に果敢にチャレンジしているサイバーエージェントの藤田さん、みてねという育児に特化した写真共有アプリをつくっているmixiの笠原さん、鹿島アントラーズの社長に就任して、サッカークラブ運営にチャレンジしているメルカリの小泉さんなどがその一例です。

 0→1のフェーズをやり切る人たちは、新しいものを矢継ぎ早に生み出し続けて、ある程度形になったところで他の人にパスをして身をあけて、また新しいことを始めるというサイクルを繰り返していくことによって、事業を育て続けていくことができるし、自身の立ち上げた事業の成長を「やり切る」ことができているのだとぼくは考えています。

やり切った経験が「0→1人材」を成長させる

 この「0→1のフェーズを期間限定でやり切る」という「0→1人材」の行動には、1つ大きな効能があります。1年なら1年、3年なら3年と「この期間はここまでやるぞ」と決めてアクセルを踏み込んで事業を「やりきった経験」は、 自分の経験値として大きな蓄積を残してくれるのです。

 例えば、僕は、2013年から2016年の間、アメリカのサンフランシスコ・シリコンバレーに3年間駐在していました。そして、最初に会社から設定された任期は1年でした。その時、僕は「1年はあっという間に終わる。とにかく、やれることは全部やろう!」と、ジャンル問わず、ビジネスに役立つ役立たない関係なく、とにかくいろいろなことにチャレンジしました。イベントを主催したり、メディアを持って起業家にインタビューして原稿をまとめたり、さまざまなミートアップにボランティアとして関わったり……

 そこで目が出たから、任期がまず2年に延び、最終的に3年まで延びたのですが、これは「1年でやりきる」と最初に期限を区切ってがむしゃらにチャレンジできたからこそ、つかめた成果だと思うのです。そして、そのチャレンジの繰り返しで、自分自身、ビジネスパーソンとして大きく成長できた気がしています。

 漫然と日常の中で生きていると、もともと飽きっぽい僕のような人間は「やっては投げ出し、やっては投げ出しの繰り返し」で、結果何も身につかないということになりがちです。しかし、期限を区切って、一念発起してアクセルを踏むと「本来はやり切るのは苦手だけど、今が頑張り時だからこの間だけは投げ出さないぞ」というフロー状態に、自分を持っていけるのです。

 結果的にその時に「やりきった経験」が自分の中に残って「自分はここまでやれる人間だったんだ!飽きっぽくて、多動症だけど、腰をすえて1年間やれたぞ!やる気になったら、自分は何か新しいことを形にできる人間なんだ!」という自信が身につき、また次の新しいプロジェクトに向かっていく馬力が生まれてきます。

 もし、読者の方の中に「飽きっぽいし、自分は何事も続かないな」と思ってる方がいたら、それは「新しい価値を生み出せる人材としてのポテンシャルが自分にはある」ということかもしれません。飽きっぽさは、天が与えたギフトなのです。「0→1人材」として自分を開花させられるよう、まずは新しい価値づくりの種まきから、はじめてみてはいかがでしょうか。

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※編集協力 横田真弓(THE MODERATORS & FACILITATORS受講生)


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