参考にしていただくのは光栄だが、引用のルールは守ろう
2022年5月にあった古い話で恐縮だが、自民党の「結婚・出産に対する支援」の提言。
内容に関しては、現状認識として概ね正しいし、なにより少子化の根本的な問題は「非婚化と晩婚化」という結婚問題であると言っているところは評価できます。対策としていろいろ多岐に渡って書かれているのは、関係各位との兼ね合いもあるのでしょう。それでも、「結婚支援」を「子育て支援」より先の第一番目にもってきてる点は、今までの適当な少子化対策では見られなかった、ファクトに基づいたものであると言えます。
ただ、驚いたのは、読んでいて「あれ?どこかで見たことのある文章だな」と思ったら自分の文章だったという話である。課題についてファクトをいろいろと提示している部分で、以下12ページ該当部分の証拠としてしスクショします。
この「46万組」問題は、私が東洋経済だったり、ヤフーだったりのネット連載で書いたものであり(拙著「結婚滅亡」でも書いている)、多分、この視点(婚姻数の減少と見合い+職場婚が同じであるということ)で考察し物を書いた人物は私以外にはいないはず。
引用は以下の記事からだと思う。
まったくのコピペですね。ヤフーの記事は2021年11月に出したものだが、本考察自体の初出は以下の2018年1月の東洋経済の記事である。
さらに、提言書に続くこの部分。
若者は東京集中しているという話も、割と昔から私が定番で言い続けていることで、この中にある「東京・埼玉・神奈川・千葉の首都圏と愛知、大阪、福岡の7都府県の女性未婚者だけで、日本全国の女性未婚者の半分」という物言いは、以下の東洋経済の私の記事の4ページ目にあったものそのまんまコピペです。
統計の数字は誰が取り出しても同じ数字になるのでいいのですが、統計から何を読み取り、どうまとめるかは分析する人間によります。上記文章は、順番や句読点の使い方含めてまったく同じ。これも確実に私の引用というかコピペですよね。
そもそも、引用していただくのは光栄に思います。但し、引用にはルールがあります。引用するのであれば、きちんと出典元である私の名前なり記事や書籍名を提示するのがルールだし、マナーだし、権利上の常識的な振る舞いだと思います。また、政府統計をベースとした独自作成グラフに関しても、それを作った本人には「編集著作権」というものがあります。それを勝手にパクッていいということはないはず。
引用に関しては、もちろんいちいち著者に了解を取る必要はないですが、だからこそ出典と著者名は明記しないといけないのですよ。それなしにやることを無断転載というし、コピペによる剽窃といわれてしまう行為なのではないでしょうか?
それとも、存じ上げないのですが、政党や政府の提言は引用のルールは無視してもよいという法律でもあったんでしょうか?もしそういうものがあったんなら己の無知をお詫びします。が、もしそんな法律があるなら、それはそれでやべえ。
これがそのときの提言書の中身らしいのだが…と、URLを貼ろうとしたら。
https://jimin.jp-east-2.storage.api.nifcloud.com/pdf/news/policy/203484_1.pdf
あれ?いつのまにか削除されている。…と思ったら、こちらら再掲されていた(3/15追記)
https://storage.jimin.jp/pdf/news/policy/203484_1.pdf
実は、この記事を書く前に、この提言を出した研究会のリーダーとされる国会議員にこの引用についての部分を文書にて要返答として問い合わせのメールを出しましたが、まったく回答がありませんでした。これはどうなんですかね?無視ですか?
もともと、別に事を荒らげるつもりはありませんでした。メールに対してご返答いただき、引用の表記をキチンとしていたたけさえすれば、それでこの件はおしまいのつもりだったんですが…。
勿論、どこぞの得体のしれないYouTuberやライターが自分の収益を稼ぐために無断転載するのは、完全に盗用なので法的措置していますが、これは公的な提言書なのでそれとは違います。むしろ提言策定にあたり、随分と熱心に私の記事を読んで頂けているようでありがたいと思います。これだけいろいろ参考にしているのなら、この調査会とやらに呼んでいただければ、もっと実のある話もできます、と思ったのに、さすがに「無視」は酷すぎないですか?
もしかして、メールが届いていないのでしょうか?だとしたら、なんで削除したのでしょう?メールの返答がなかったものですから、記事にしてみました。これでも「なかったことにする」つもりかな?
剽窃に関しては今までもいろいろと問題がありましたよね。過去で有名なところでは小保方さんの論文問題。
この記事にある早稲田大学の「剽窃」についての注意事項を引用紹介します。
実に正しい教育をしていると思います。
論文ではないけど小説でもありました。芥川賞候補にもなった北条裕子氏の「美しい顔」です。
当初、問題が指摘された時版元の講談社は「盗用ではない」とイキっていましたが、
結局、すぐ謝罪することになりました。
https://www.kodansha.co.jp/upload/pr.kodansha.co.jp/files/pdf/2018/180706_Gunzo.pdf
著者本人も謝罪しています。
https://www.kodansha.co.jp/upload/pr.kodansha.co.jp/files/pdf/2018/20180709_gunzo_comment.pdf
いずれにせよ、参考にすることも引用することも悪くはない。ただ、やる場合はルールとマナーを守ろうよ、大人なんだからって話です。てか、立法をする立場の国会議員なんだから。
あと、こういうのもある。
最近、ようやく「少母化」という言葉が一般に知れ渡ってきていて、この言葉とその分析をした当人の私にしてみればうれしい限り。また、「少母化」を使っていただくことも勿論歓迎なのだが、一応この言葉は私の造語なので、こういう記事や書籍にする場合は、一言明記してもらいたいものです。当たり前だが他の著者や出版社はちゃんとそうしている(引用に限らず、参考にした場合でもやる。これは物書きなら当然の常識だし、ちゃんとした校閲担当がいれば指摘するはず)。
記事の内容の少子化の本質は少母化であるという記事の主旨はその通り。てかもともと俺が言ってたことだけど。