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「マンガ」と「Webtoon」、「プリクラ」と「人生4カット」の違いから見える、日本のエンタメを広げる為のヒント。

MintoのCEO 水野です。SNS・Web3領域で漫画・アニメ・キャラクターなどをクリエイターと共に創っています。[会社紹介はこちら]

今回は、海外出張中に感じた日本発エンタメをどうやって世界への広げていくべきかについて、徒然と思った事を書いてみたいと思います。

マンガ vs Webtoon

Webtoonは、縦スクロールでオールカラー、デバイスに特化した新しいマンガの形態です。韓国発で20年ほど前に生み出されたフォーマットで、ピッコマやLINEマンガなどで多くのWebtoon作品を読むことができます。

Minto社も2022年からWebtoon制作を始めて約1年半経ち、現在は年間10本以上の新作を生み出しているのですが、今月ついにピッコマのWebtoon総合ランキング1位作品「おデブ悪女に転生したら、なぜかラスボス王子様に執着されています」(出資:NTTドコモ社、原作:琴子さん)を、生み出す事ができました…嬉しい!

Mintoスタジオ作品が、ピッコマSmartoonランキング1位に。
Webtoon業界の現状とMintoスタジオは以下の記事もぜひお読みください↓

さて、上記のランキングを見ていただけるとわかりますが、Mintoスタジオ以外は、韓国スタジオの作品が占めています。韓国のWebtoonスタジオが多いというのもありますが、Webtoonの特徴の一つでもある、海外ローカライズが容易/スピーディーにできる点も大きいと思います。

日本の従来のマンガは、モノクロ、右開き(右から左へ進行する)、尚且つ複雑なコマ割りによって成立しています。英語圏に向けて、ローカライズ・作品展開をしようとする場合、左開きにする、コマ割りの読み方を説明するなどのハードルがありました。

一方で、Webtoonは、カラーで、縦読み(左右関係ない)、コマ割りもシンプル。それが故に海外ローカライズし易く、海外のユーザーに広げやすい点が大きなメリットとしてあると思っています。事実、Webtoon作品は、中国、米国へもローカライズされ、ものすごいスピードで読者を増やしています。

プリクラ vs 人生4カット(セルフ・フォトブース)

さて、全然話が飛びますが、日本発の独自文化の象徴的な存在でもある「プリクラ」が、この数年で韓国で「セルフ・フォトブース」として形を変えて広がっているのをご存知でしょうか?

僕が、韓国のセルフ・フォトブースが海外で広がってることを実感したのは、タイ支社とベトナム支社への出張時でした。Mintoはタイ・ベトナム・中国に支社がありますが、コロナの影響もあり、2023年1月に実に3年ぶりにタイ・ベトナム出張に。

バンコク・サイアムのショッピングモールに設置されています。
ベトナムにもありました。

コロナ前の2020年前にも、あったのかもしれませんが、少なくとも、今回は、普通に歩いていて気がつくレベルでかなりの数になっていて、最初は日本のプリクラかな?と思ったのですが、現地のMintoタイメンバーに確認したら「韓国から輸入されてるものだと思いますよ〜」とのこと。

実際、韓国のセルフ・フォトブースは、この数年で韓国内外で、大きなブームになっていて、インセンネッコ(日本語では、人生4カット)という名称で広がっています。人生4カットってすごいパワーワードだ。

特徴は、4枚の写真が縦に連なっている事。この4枚の写真で人生を表現するので「人生4カット」。加工なし、落書きもなしで、全く盛れない事も大きな特徴です。ブースに置いてある被り物などを使って、今を表現する。

盛らない、ありのままの4枚写真(PR Times記事より)

加工機能がないというと、プリクラの下位互換のような印象を与えますが、プリクラが流行ってから20年経ち、SNSでの自己表現・価値観が変わった上で、プリクラの概念に近いが、新しい別のエンタメとして成立してます。(先日、自分で撮ってみてやっと腹落ちした…)

また、ビジネス的な視点で見ると、日本のプリクラ機は加工・落書きなど様々な機能があるので機械自体の価格が高額だと思います。それに対して、韓国のセルフ・フォトブースは機能がシンプルなので、おそらく機械の価格は安いはず。

機械の価格が安ければ、導入される場所や店舗も増やしやすいので、おそらく、これが東南アジアでも一気に広がっている一因かもしれません。(東南アジアで広がってるフォトブースは、実際は、韓国からの輸入なのか中国からなのか現地企業なのかは分かりませんが…w)

創ること vs 広げること

マンガ/Webtoon、プリクラ/セルフ・フォトブース、それぞれは、全く関係ないような話ですが、共通して感じたのは、Webtoonやセルフ・フォトブースは、テクノロジーや価値観の変化に合わせて、コンテンツを受け入れられやすい形にフィットさせ、広げている点です。

マンガもプリクラも、ユーザー目線で見れば「気軽にストーリーコンテンツを読みたい」「手軽に友達や推しと一緒に写真で記録を残したい」という根源的なエンタメ欲求が満たせれば、フォーマット自体への拘りはないはずです。

日本のエンタメ産業を俯瞰して他国と比較すると、広げることより、創ることに重きが置かれています。モノ創りこそ日本のエンタメの真髄なので、創ることを大事にすることに全く異論はないのですが、コンテンツ創りがあまりに職人的になっていくとユーザー不在になってしまうことがあります。

「創ったものをどう広げるか?」という視点だけでなく、
「広げるためにどう創るか?」という視点も大事なのでは?
と思うわけです。

そう考えると、Webtoonやセルフ・フォトブース(人生4カット)の広がりには、日本のエンタメが世界に広がっていくためのヒントも沢山あると思っています。

と、いうことで、今回は、タイで、セルフ・フォトブースを見たことをきっかけに、徒然とまとめてみました。

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