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フリーランスになったら「休み」がなくなって、休まないと休めなくなった話。

17年間の会社員生活を辞めて、2年目に突入した。
昨年から中小企業の社外取締役と、フリーランスをやっている。

1年目だった去年は、限界まで働いてみようと思った。

「1年目を一番しんどくしておく」

そのメリットは会社員生活で知っていて、その経験があったから会社員の頃は2年目からだいぶ精神的に楽になった。

昨年の仕事は、ほとんどが社外取締役としての活動だった。その上に、休日や平日の合間を縫ってフリーランスとしての講演や執筆、コンサル案件を詰め込んだ。日によって時間は違うが、仕事をしなかった日(≒PCを開けなかった日)は、1日もなかった気がする。自分で言うのもなんだが、正直死ぬほど働いた。

それをなんとか乗り越えて、さて2年目。

昨年の疲れ具合を考えると、今年は少しだけ落ち着かせようと思った。ただ数ヶ月経過しても、あまり変わらない。

なぜだろう。

そう考えていたら、当たり前のことに気がついた。

「わかった、休みがないんだ」


今日はそんな話。

◾️会社員ってめちゃくちゃ「休み」をもらえている

改めて会社員時代の自分と、今の自分を比較してみた。会社員の頃は土日がほぼ休みで、それに加えて有給休暇や年末年始の休暇があった。

調べてみると、会社員の平均年間休日は114日。1年の3分の1は休みだった。

自分が手放したもの大きさに、今更ながら愕然とした。

さらに昨今は週休三日制の導入も検討されている。AIの活用などにより、会社員の年間休日はこれからも増え続けるだろう。

もちろんこのスタイルを逆に捉えると「仕事をする日」を定められている、とも受け取れる。会社員は「日」や「時間」という単位で、会社から管理されている。その代わりとして「休み」も定められている(確約されている)。成果を出しても出さなくても、休みの量は変わらない。

逆に経営者やフリーランスは「タスク」を定められている
経営者なら株主やステークホルダーから「会社を成長させること」をタスクとして背負わされているし、フリーランスなら基本は業務委託で依頼された「業務」を背負わされている。
ただし「いつやっても自由」、「何時間やっても自由」だ。

そう考えると、会社員とフリーランスとは「全く別のもの」だ。

「働く」という意味では同じだが、その構造が根本的に違う。頭ではなんとなく理解していたつもりだったが、実感を伴うとその違いに改めておどろかされた。

◾️経営者やフリーランスには誰も「休み」をくれない

また、経営者やフリーランスは個人事業主だ。
つまり誰からも雇われていない。自分を管理する人も、管理してくれる人もいない。

そこで気づく。

誰も自分に「休み」を与えてくれないのだ。

これもまた当たり前のことだが「休み」「休む」は違う。会社員が休むことができるのは、会社から休みを与えられているからだ。

では経営者やフリーランスはどうだろう。誰からも「休み」をもらえないので、「休む」きっかけがないのだ。

土日祝日のように、共通認識の「休み」は存在しない。ずっと休みかもしれないが、ずっと休めているわけではない。

育休中だからと言って、休めているわけではないのと同じ構造だ。

だから経営者やフリーランスが休もうと思ったら、「休む」という強い意志を持たないといけない。私の例で言えば、今年に入ってスマホロッカーなるものを買った。

こうでもしないと、仕事のメールを常に確認してしまうからだ。

また、私の場合は1階に社外取締役を務めている酒屋の店舗があり、2階が仕事場なので仕事とプライベートが混ざりやすい。

さらに基本はリモートワークなので、これまでは3階のリビングでも仕事をしていた。どこでも仕事場になり得たので、最近は「仕事をするのは2階だけ」と場所の制約を着けた。物理的に切り離さないと、ずっと仕事をしてしまうからだ。

会社にオフィスというものが存在する理由がよくわかる。

◾️「休む力」を養う

働き方の多様化、なんて言葉を聞くようになってからもう何年経っただろう。

フリーランス人口は増え続け、2020年から2025年でも2倍以上になっていると言うデータもある。現在は労働人口の約3割がフリーランスだ。

つまり会社から「休み」をもらえないビジネスパーソンが3割もいるということだ。これからの時代、もっとフリーランスが増えるとしたら、彼らに必要なのはスキルよりも自ら「休む力」だろう。

今、積極的な休養力が問われている気がする。




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小島 雄一郎
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